第11話 旧友の会話
RESTA様回です
「話?なんだ?」
レノが反発するように言う。
「私はあなたたちに興味があって仕方がないのよ。」
「なら、周りを綺麗にしろ。ルアナが暴れる。」
おい、と思いながら軽く吼える。
「んじゃ、退いてね。」
軽く指を振って指示を送る。彼女は王女だ。命令は絶対で、指を振るサインは命令だ。
それを横目で見ていたレノはこっそり後ろに指を立てた。これはもし何か危険なことになったときに退くサインだ。
「今、逃げようとしたでしょう?」
「なんで?ルアナは他の連中に見つかると面倒だろ?んだし、秘密の場所と行こうじゃないか?」
「滝?」
「そうだよ」
なんとかレノが誤魔化し、結局二人の出会いの地でもある滝に行くことになった。
「んで話だっけ?何を言うんだ?」
「あなたったら急ぎすぎなのよ。変わらないわね。」
森のなかに滝が有った。それほど落差は無いようだが、綺麗だ。
フローナはそれから気に入らなかったのか消え去り、結局三人だ。正確には二人と一匹だろうか。
「竜騎士…だったね。」
サーシャはそう小さな声で言った。
「それがどうしたの?」
「その騎士は今は誰も居ないの。しかも、それを保管していたのも消え去り、結局誰も見たことが無い本として有るだけなのよ。言わば私しか知らないの。」
「なんだそりゃ…」
呆れて口が開いているレノ。
「まず、その事なんだけど…言った方が良いか否か。バカな騎士さん出来ると嫌だからね。」
「だから…そんなにも反発してたんだな。了解。」
恐らくともレノが我慢強い性格じゃなければ殴ってるだろう。
「けど、お前はルアナがどうだのこうだの思わないのか?」
要するに私、ドラゴンを見て怖くないのかという事だ。大抵は恐れて逃げ帰るのだが…
「私もあの頃よりは心強くはなりましたよ?ドラゴンさんを見ても差別のようなものはしたくないです。」
「なら、もう少し統べてくれないかしら?迷惑だけど?」
私が釘を指す。
「申し訳ございません。」
さすがに生半可な口を聞いたら踏み潰されると思ったんだろう。清楚にしてくれた。気分晴らしに尻尾を大きく振る。
「つーか、早いな。お前が王族と知って数年しか経ってないぞ?なるには早くないか?」
「そうかしら…」
「気のせいか…失敬よっと。」
そっと水に触れる。少し掬ってサーシャに投げるようにかけた。
「これが始まりだっけ?」
「や、止めてよね…ひ弱な「一語一句間違えずに言ってるお前の方が強いよ。」
そう言ってレノは私にもかけてきた。鱗だからどうってことはない。
「なあ、なんだ。お前は城に戻らなくて良いのか?」
「え?」
「大臣だのに任せてるとか無いよな?」
「そういうことね。」
やり取りしながら私の背中を撫でてくれる。少し退屈だった私は目が覚めた。やはりこの人の手は落ち着く。ドラゴンとかいう怪獣なのに愛されてる感じが…何言ってるんだ。
「野生の熊出るぞ?」
そう言うと本当に出てきた。レノはニヤニヤしていた。サーシャは少し驚いた顔をしていた。その熊はというと絶対の覇者であるドラゴンを見て後退り…
「早く帰れよ。それと、明日に地下図書行くから待ってくれよ。」
「はいはい。」
帰りの一触れで背中を撫でる。やっぱりレノが良い。ちょっと違うのが私にとっては駄目みたいだ。
「厄介だな…」
レノは溜め息を吐いた。
「じゃあさ、レノが新しく竜騎士としてのものを作れば?というか、既にそうしてるよ。私はね。」
そう言うと私は誇りに思っているように咆哮を轟かせた。




