第10話 王女降臨
新神優亜回です。
遅くなってしまい申し訳ありませんでした
「ねぇ……レノはさ……」
「なんだ?」
「……なんでもない」
やはり勇気が出るはずがない。
私はでかかった言葉を飲み込んだ。
「ルアナ、レノ、久しぶりに来たみたいだよ」
「まじかよ……俺は何も聞いてないんだが」
「レノ、とりあえず隠れてて」
「ん、任せた」
ザッザッと音を立てて整列した部隊が私の前に来た。
「レノ、そこにいるのはわかっている。出てこい」
レノ……。
出てきちゃだめ。
火薬の匂いがする……。
「……出てこないのならいい。この竜だけ連れていく」
「それはっ……」
「出てきたな。レノ」
前に出ていた男がニヤッと笑った。
すると、後ろにいた部隊から何かがレノが隠れていた茂みに投げられる。
「レノっ」
『しょうがないなぁ』
フローナが両手の甲を合わせ、何かを唱える。
大地から水が出てきて宙へ浮かぶ。
それがレノにかかる。
レノだけではなくレノの仲間によって投げられたものにも。
「爆弾……か」
「水が出てくるとはでこのドラゴンは何者だ……」
「そんなことより……レノを殺そうとしたのよね?仲間じゃないの?」
「竜騎士がどうとか言ってるけどな、そんなもの存在しないんだよ」
「……え?」
竜騎士が存在しない……?
どういうこと……?
私はレノのほうを向く。
「嘘だ!俺は王宮の地下にある図書室で見たんだ。かつて、竜騎士がこの世界を救ったって。そんな存在になりたいわけではないけど、ルアナを、こいつらを守れるなら俺は……」
「王宮の地下に図書室?何を言ってるんだ」
「……え?あるだろ?入ってまっすぐ進んだところにある階段を下りれば」
「階段なんてない。はぐらかそうとしているのか?それなら、お前を殺して任務完了だ」
レノが嘘を言ってるようには見えない。
今までたくさん話してきて嘘をついてるときは大体わかる。
でも……レノと話してる相手の人も嘘をついてるようには見えないんだよなぁ。
「レノ、この人は?」
「……俺の同期で、親友だった。今は王室の護衛だ。護衛隊のお前がなぜここに」
「私が連れて行ってほしいと頼んだのです」
凛とし、透き通った声。
声のした方向には白とピンクのロリ……じゃない。
少女が立っていた。
「綺麗な……竜ね」
そっと私のお腹に触れる。
触り方のせいかレノとは違う……何かを感じた。
「あなたは?」
「私は王女よ。サーシャ・フローライト。サーシャって呼んで頂戴」
「サーシャ、なんでここにきたかったの?」
「あなたに……会いたかったからよ」




