第2話―つまり、出掛ける
感想、お待ちしてます。
休日の過ごし方としてはただ惰眠を貪り、貴重な時間を贅沢に浪費するのが好ましいと思う。
朝食の後片付けも済ませて一段落ついた頃、僕はソファーの上で寛いでいた。
今日は水曜日だけど、高校も既に春休みに入ったので行かなくてもいい。特に誰と遊ぶ約束をしたわけでもないから、今日はゆっくりできる。
「おーきーろっ!」
と思ってたのに……。
華は僕の額に躊躇いなく踵を振り下ろした。間一髪でそれをかわす僕。その後聞こえてくる風を切る音とソファーの軋む音。
「華さん? 僕に何か恨みでもあるのかな? 朝からこんなじゃ身が持たないよ」
「別に恨みがあるわけじゃないのよ。ただ気に食わないだけ」
「それはもっと悪いんじゃないでしょうか」
腰も低くければ、目線も低い僕。ソファーから落ちて床に寝そべっている。つまり、華を自然と下から見上げるわけで、アレがスカートの中から見えちゃ……とか考える暇もなく振り下ろされる第二撃。
そこで僕の意識は途絶えた。
「つまり華は買い物に行きたいんだ」
「わかればよろしい」
華はケタケタと笑ってみせた。
「だけど知っての通り、僕は金なんか持ってないよ」
「バイトの給料が入ったでしょ?」
華はニヤニヤと悪役のような笑みを浮かべている。
「何故それを……」
「私に隠し事はできないよ。忘れたの?」
華はいつのまにやら僕の財布を握り締めていた。僕は本日何度目かのため息をついた。
「さあ、行こう!」
華は近所迷惑よろしく、高らかに叫ぶのだった。