追いかける時間
書いてしまってから言うのもなんですが時間ものって書くのむずかしぃ~(汗)
「はぁ~今日も疲れた」
仕事が終わりただいま最寄の駅から家に向かって帰る途中。
いつも通っている道をスタスタと進んでいるとあるものが目に付いた。
それは電柱に貼り付けてあるペットを探してほしいという張り紙だった。これだけならそんなに珍しくもないだろう。しかしこの張り紙に書いてあることそしてそのペットの写真が普通とは違っていた。
「なんだこれ?蛇?」
しかも、恐らく日本の蛇ではない。体全体が黄緑色のすこし明るい色をしていた。
こんなのが逃げ出したのかよ。見つけたらすぐに分かりそうだな。
そしてその写真のしたにはこう書かれていた。
‘私の大事な可愛いペットが逃げ出してしまいました。誰か私のペットのことを保護または見かけていましたらこちらまでご連絡ください。なおもしも私のペットを見つけてくださり私の家まで送り届けていただいた方には謝礼として現金1000万円を差し上げます'
「へぇ~1000万円ねぇー・・・・」
・・・・・ん?ちょっと待て。なんかおかしなことが書いてないか?
目が疲れているのかと思いもう一度よく読み返す。しかしそこには確かに1000万円と書かれていた。
「ま、マジかよ・・・・」
たかだか蛇一匹に1000万って・・・・とんでもない金持ちのペットなんだろうかこの蛇は。
「にしても1000万かぁ~・・・・どっかその辺にいねえかなぁ~」
そんなこと考えて辺りをきょろきょろする。まぁ、いるわけないよな。
そう思いつつも少し周りを気にしながら俺は家に帰ってきた。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
俺が家の玄関を開けて中に入るとなぜかそこにはメイドのような服を着たクレムちゃんが正座して座っていた。
あまりの出来事に俺は絶句したまま呆然と立ち尽くしてしまった。
「・・・・な、なにしてるんですか?」
「今日朝日とお買い物に行ったときに買ってくれた服。正午にも見せてあげようと思って着てまってたなの」
あんのクソバカ姉貴のしわざか!ってかなんてもん買ってるんだあの人は!
「そ、そのご主人様っていうのは?」
「朝日がこれを着たときは男の人はそう呼ばないといけないって言ってたなの」
余計な知識を教え込むんじゃないよ!!なにしてんだよあの人は!
「あら正午お帰りなさい」
「ちょっと姉ちゃん!クレムちゃんに何やらせてるんだよ!」
「え~いいじゃない。小さくて可愛いメイドさん。もう今日は私一日中クレムちゃんとお買い物楽しんできちゃったんだから~」
その場でクルクル回りながら姉ちゃんは嬉しそうな顔をしていた。
「楽しんできちゃったんだから~じゃないよ!何でこんなもん買ってきたんだよ」
「え?正午が喜ぶと思って」
「喜ばねぇーよ!」
「そんなこといって本当は嬉しいくせにー」
「だから嬉しくねぇーっての!」
「正午・・・」
ふいにクレムちゃんが俺のことを見上げながら話しかけてきた。
「この服嬉しくないの?」
「え?いやその・・・」
「似合ってなかったなの?」
「あ、だからその・・・」
え、なんで瞳がうるうるしてるの。これじゃまるで俺が悪いみたいじゃないか。
「正午に見せたら喜んでくれると思ってたのに・・・・」
涙目になり今にも泣き出しそうなクレムちゃん。
「あ~~~!!うそうそ!超よく似合ってる!うんすごく可愛い!俺めちゃくちゃ嬉しいなぁ~クレムちゃんがこういう服着てくれて!!」
もはや必死だった。何せ小さい女の子が泣き出しそうになったときの対処法など俺は知らなかったからである。
「ほんとなの?」
「ほんともほんと!すっごく可愛い!まじ女神様!」
俺がしどろもどろになりながらそう言うといつの間にかクレムちゃんの瞳には涙などなかった。
「朝日、やったなの!私にもできたのなの」
「へ?」
「よくできましたクレムちゃん。男は大抵泣きに入れば落ちるからよく覚えておくのよ」
「わかったなの」
「あの~一体何の話をしていらっしゃるんでしょうか?」
「正午さっきのは全部演技なの。正午が文句を言ってきたらやってみてって朝日に言われてたなの」
「・・・・・・・・・・・・」
「ふっ、正午私の完・全・勝・利ね!」
姉ちゃんが偉そうな顔で言ってきた。
それを聞いた俺はもはや何かを言い返す気力もなくなってしまった。
「はい・・・俺の完全敗北です・・・・」
それから少しして姉ちゃんが家の台所で夜飯を作ってくれた。
その際毎日カップラーメンばかりじゃいつか体を壊すわよとお叱りをうけてしまった。
「は~い、おまたせ。今日は私特性のキムチ鍋でーす」
「「おぉーーーーー!」」
おいしそうにぐつぐつと音をたてながらいい匂いを放つ鍋がテーブルの真ん中に置かれた。
鍋の中にはホタテや牡蠣などの魚介類やニラやもやし、白菜などいろんな野菜においしそうな肉団子が入っていた。
確かにここ最近はほぼ毎日カップラーメンだった俺にとっては最高のご馳走だった。
「さぁ、冷めないうちにいただきましょ」
「うっす!」
「はーいなの!」
「ふぅー美味かったー」
「美味しかったなの朝日」
「それはよかった。そう言ってくれると私も作りがいがあるわ」
後片付けをしてくれている姉ちゃんは台所で食器を洗ってくれていた。
俺が結婚したら嫁さんがあんなふうに後片付けしてくれるんだろうかとふと思ってしまった。
「あ、そういえば正午」
「ん?何姉ちゃん」
「今日ね買い物に行く途中で珍しい生き物見つけちゃってね」
「珍しい生き物?」
なんだ珍しい生き物って。
「実はさ蛇見つけちゃったのよ」
「へ、蛇?」
「そう。しかもなんだか変な色したやつでさびっくりしちゃったわよ」
変な色した蛇か。その時さっき帰る途中でみつけたあの張り紙のことを思い出した。
「そうなの。体がなんか黄緑色のすこし明るめの色をしててね・・・・」
・・・・・・ん?
「ちょ、ちょっとまって姉ちゃん。今なんて言った?」
「え、だから体が黄緑色の少し明るい色をしてて・・・・」
「姉ちゃん!」
俺は思わず台所の姉ちゃんのところまで詰め寄っていた。
「な、なによ!どうしたのよ正午」
「その蛇どこで見かけた!」
「うえ?えっとたしかクレムちゃんと買い物の途中に遊んだ公園だったかしら」
「それは何時ごろだった!」
「だ、だいたい3時くらいだったと思うけど」
それを聞いた俺はクレムちゃんに頼み込むような形でお願いをした。
「お願いクレムちゃん!今日の3時まで時間を戻してください」
「ちょ、ちょっと正午どうしたのよ」
「別にいいけど・・・・正午どうしたなの?」
「理由は後で話すから早く!」
「なんだかよく分からないけれど・・・じゃあいくの」
もしかしたらもしかしたら・・・・・・
俺1000万円手に入れちゃうかも!
そうして俺はクレムちゃんの呪文とともに今日の3時まで時間を戻したのだった。




