『法印さんの速記術』
掲載日:2026/10/30
安房国に法印さんと呼ばれるお坊さんがいました。不思議な術を使うと評判でした。若いころは船乗りだったそうで、漁師が、船の上で正月を迎え、餅が食べたいとつぶやくと、船まで餅を届けたり、別のとき別の船が、嵐に遭ったときも、巨大化して波を防いでくれたり、特に船乗りのために不思議な術を使ってくれるのでした。
もちろん、それ以外の術も使えたらしく、ある娘が、父親の遺言を書きとめたいと願ったとき、窓からプレスマンが飛び込んできて、壁中に遺言を書き残したということがあったのですが、壁を台なしにしたことで、娘は全く感謝せず、これは不思議な術の数には数えないのだそうです。
教訓:文字や絵は、どこに書くかが大切である。そのへんの壁に絵をかいて評判になるのは、相当な絵がかける者だけである。




