零次元の星界門(アストラルゲート・ゼロディメンジョン)
光が裂ける。空間が捻じれ、星々が共鳴する。 「これが俺の辿り着いた――双子座の究極‼」 斗馬の右手に、銀河の渦が収束する。
「アストラルゲート・ゼロディメンジョン‼‼」
星界の門が開く――それは、宇宙の理すら捻じ曲げるほどの零次元の一撃。 その技は、放たれた瞬間、冥界の闇を断ち、全ての重力、空間、時間すら狂わせた。
「くっ……この俺が――避けきれん、だと⁉」
神速の名を誇るアイアコスが、初めて顔を歪めた。
ドォォォォォン‼‼‼
地響きが走る。アイアコスの全身が閃光に包まれ、天雄星の冥衣が軋みを上げる。
「グ、ウウウウウッ‼‼‼」
技が炸裂した後、2人は離れて対峙していた。
斗馬は肩で息をしながら、それでも仁王立ちしている。 アイアコスもまた、かろうじて立っていたが、左腕の冥衣は砕け、黒き翼は片方が折れていた。
沈黙が続いた後――
「フッ……聖闘士の力、か。認めざるを得まい……」 アイアコスが、ゆっくりと通路の脇へ退いた。 「この先……“ジュデッカ”に辿り着いたなら、貴様たちが冥界に導かれた真実を、目にすることになるだろう。」
「真実……?」 斗馬が眉をひそめるが、それ以上の言葉はなかった。 「行け、双子座の聖闘士よ。」 斗馬は一礼し、アイアコスの横を通り抜ける。 (――待っていろ、邪武……!) その小宇宙は、まだ消えてはいなかった。
一方その頃、先行していた射手座の邪武、牡牛座の檄、獅子座の蛮、蟹座の市、山羊座の那智の5人は、第五獄へと辿り着いていた。 その地は、黒き灰が降り注ぐ、焼け焦げた死の谷。 そして、地を割るような大音響とともに、そこに現れたのは――
「我は、天醜星・デッドリービートルのスタンド‼」
ドォン……ドォン……と地を踏みしめ、姿を現す。 全身を黒曜石の甲冑に覆われたかのような、冥闘士一の巨体。その存在感は、かつての巨獣フレギアスすら凌ぐ。
「フッ、ようやく来たか黄金聖闘士共……この第五獄の先へは、誰一人通さん‼」
邪武が、他の仲間を制した。 「檄、市、蛮、那智……お前らは先に行ってくれ。」
「ここに来るまで相当消耗してるはずだ。無駄な戦いは避けろ。今の俺なら、十分にやれる!」 ――射手座の黄金聖衣が、邪武の背に力強く輝いている。 檄が頷く。 「分かった。ここは任せたぞ、邪武!」 「必ず来いよ!」 仲間たちは先を急ぎ、邪武だけが、スタンドと対峙する。 巨体の冥闘士が、禍々しい光を放ち始める。
「フッ、まあいい。さあ来い、射手座の小僧……お前の矢が、俺を貫けるものか‼」
「試してみるがいい。俺の矢は、正義のためにだけ放たれる……!」
冥界第五獄、射手座・邪武 VS 天醜星・デッドリービートルのスタンド――死闘の幕が今、上がる‼