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貴鬼の記憶──継がれし意志と新たなる命題

──あの激しい戦いの後、私は一人、ジャミールの地へ戻った。 星矢たち青銅聖闘士、そして黄金たちが命を懸けて挑んだ冥王ハーデスとの戦い。 その終焉は、英雄たちの“消失”という形で幕を閉じた。 貴鬼は、その最後の瞬間を見届けることはなかった。 しかし、心のどこかで分かっていた。これは“終わり”ではない、“始まり”なのだと──。

ジャミールの高地。風が空を切り裂くように吹き抜ける聖なる山岳地帯。 ここで貴鬼は、破壊された聖衣の修復に全精力を注いでいた。 かつての師・牡羊座のムウから継承した、聖衣修復の技。そして戦士としての矜持。 ハーデスとの戦いを前に、ムウから渡された言葉が、胸に今も響く。 「貴鬼……この戦いの後、もしも我らが戻らなかった場合、お前がすべてを継げ。 聖域も、聖衣も、そして……アテナの意志も」 そしてもう一つ──アテナ・城戸沙織が、冥王戦前に貴鬼にだけ密かに託した“命題”。 「私は近いうちに“人としての選択”をするでしょう。 それは、神としてではなく、この地上に生きる一人の存在としての覚悟。 でも、その時……この大地を見守る者は、必要なのです。 貴鬼……あなたに、戦力の再構築を託します。聖域の“新たなる柱”を……」

その“柱”となるべき戦士たちが、今、彼の前にいる。 ユニコーン邪武、クレイン静真、ライオネット蛮── かつて“第二陣”として見られていた男たちが、それぞれの想いと決意を持って聖域へ戻ってきた。 貴鬼は、ジャミールで日々感じ取っていた“異変”について語り出す。 「……星矢たちが消えたあの日から、世界の“秩序”は静かに揺らぎ始めた。 冥王の力が消えたことで、今まで抑えられていた“何か”が目覚めつつある。 それは、古代に封じられたはずの存在──“魔神”と呼ばれし者たち」 その言葉に、静寂が訪れる。

「アテナはそれを予期していた。だからこそ、君たちを“次なる戦い”に備えて欲しいと願っていた。 ──邪武、静真、蛮……君たちは、この大地を守る者として、もう一度立ち上がってくれるか?」 蛮が静かに拳を握りしめる。「オレはもう、誰かの後ろに立つつもりはねぇ」 静真も、冷ややかな瞳に微かに情熱を宿し、「……運命なら、逃げずに受け入れるだけさ」と答える。 そして邪武は、まっすぐに貴鬼を見つめた。 「もちろんだ。オレたちはまだ終わっちゃいねぇ。星矢たちが背負ってたものを、今度はオレたちが受け継ぐ番なんだ!」 その瞬間、再び風が吹き抜ける。 聖域の大地に、新たなる戦いの鼓動が確かに鳴り始めた。

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