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ヒドラの市編第2章 幻影を裂く毒爪

 細身の身体に、白銀のマント。仮面のように整いすぎた顔。まるで夢の彫像のような神秘を纏ったその魔将が、微笑む。 「ようこそ、毒蛇の聖闘士。私は夢幻の魔将アミー。この地は、あなたの意識と私の力が織りなす、終わりなき夢の檻です」 「ふざけるなザンス! 勝手に人の記憶に入り込みやがって!そんなの、夢でもなんでもねえザンス!!」

  叫ぶ市が、ヒドラの聖衣から無数の毒爪を伸ばす! 「喰らえザンス! メロウポイズン・スプレッド!!」 無数の蛇のようにうねる毒の爪が、アミーを包み込む――が、次の瞬間、市の視界が再び揺らぐ。 「……なっ!? なんで……アタシの爪が……自分に向かって……!?」 幻術は既に深く市の五感を支配していた。毒爪は反転し、市の身体をかすめるようにして通り過ぎる。 肩を裂く痛みとともに、地面に血が滲む。 「お前の“攻撃”は、私の夢では届かない。なぜなら――お前自身が、現実の自分を見失っているから」 「……チッ、だったら……現実ってやつを……思い知らせてやるザンス!」

 荒い息の中、市は拳を握り締める。まだ倒れるわけにはいかない。 氷河の幻に打ち勝ち、アテナの行方を知るためにも――自分の“牙”が、まだ通用すると証明するためにも。 「こんな夢、アタシの牙で喰い破ってやるザンスよ!!」 その瞬間――市の小宇宙が、爆発的に膨れ上がる! 氷と毒、幻と現実を一閃する新たな必殺技が、その牙を剥いた。 「トキシックポイズン・ミラージュ!!(Toxic Poison Mirage)」 無数の毒爪が、現実と幻の境界線を裂くようにして放たれ、アミーを包囲する! 「この幻は……消えぬ……夢は永遠……!」 だが、その言葉も束の間。 毒爪はアミーの周囲を螺旋状に駆け、風のような加速を得て中心へ―― そして爆裂!! ズゥゥン!!

  霧が晴れ、氷を砕く風の中に立つのは、膝をつきながらも立ち上がるヒドラの市のみ。 「アタシはまだ終わっちゃいねぇザンス……誰かの幻なんかで、アタシを消せると思うなザンスよ……!」 やがて景色は戻り、シベリアの静寂が辺りを包む。 アミーの姿は消えた――だが、確かにその気配は、どこかへ退いていった。


一方その頃―― カース・スローン。 夢幻の魔将アミーは、朽ちた玉座の前に姿を見せていた。

「……あの毒蛇、私の夢幻の檻を突破するとは……」 アドラメレクは、玉座の影で微笑みを浮かべる。 「やはりアテナに選ばれし者たちは侮れぬ。だが構わぬ。今は力を蓄える時。聖闘士が進化するのならば……我らもまた、進化を遂げよう」

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