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スレ 洒落にならないくらい怖い話集めてみない? 【廃墟の絵】

【廃墟の絵】


 廃墟巡りが趣味だった時に体験したヤバい物を見た話をする。


 その時行ったのは、K市の温泉街。高度経済成長期~バブルの時は相当栄えたらしいけど、今は閉館した旅館やホテルの廃墟だらけ。バブル崩壊やら温泉偽装問題で客足が遠のいたことが原因らしい。


 K市は廃墟内にある「鬼の絵」も有名で、それも気になってて。四つ目の鬼の絵が突然廃墟に現れるらしくてさ。絵の話は旅館で働いている人にはタブーで、住民は迷惑&畏れているって記事ができるくらい有名でさ。一度見てみようってことで、俺らはドライブも兼ねてK市の温泉街に行ったの。


 K市に付いたら、山と緑に囲まれた温泉街なんだけど、寂れ具合が凄くてさ。田舎に住んでいる奴なら分かると思うけど、ハトの鳴く「ぽっぽー」って音が反響してるわけ。メインストリートも人の気配がなくて、レトロな商店が並んでるんだけど、どこも閉店してるの。それに巨大化しすぎたホテルが解体できずに残っていて、それが不気味でさ。塗装が剥げて、全体的に白くなって、なんか大きな墓みたいでさ。割れた窓の奥とか、昼間なのに真っ暗なの。


 そんな現状のせいか、老舗旅館も割に安く泊まれてさ。そこに行ったら、友人が「ここには鬼の絵を描いた人物が働いている」って言うのよ。俺も噂では聞いていたけど、相当に電波なおじさんらしくて、ここではAさんって呼ぶんだけど。ここで清掃員をやってるらしい。


 旅館の入り口で、噂をしてたら、それらしきおじさんが現れてさ。確かに、猫背で、おどおどしてて、足取りも少しそーっと、何かを探るように歩く感じでさ。「あの人だ!」ってすぐに分かった。で、他の従業員と話してる時も、めっちゃ早口で、ぼそぼそ要領を得ない話をしててさ、何かミスをしたらしく平謝りしてるの。その時の掠れた声とか、過剰に細かくて速い動作とか、ちょっと普通じゃないのよね。友人と二人、ちょっと嫌な物を見ちゃったなって感じだった。


 気を取り直して夜に廃墟に行くことになったの。怖い物は夜見た方が怖いじゃん。今回泊まっている旅館の別館(閉鎖済み)が廃墟としては有名で、そこに行こうってことになったの。で、夜の20時、ほろ酔いで二人、廃墟に向かったわけ。そしたら、営業してる旅館がある場所以外は、本当に光なんてない。塗りつぶしたみたいな闇でさ。これ物理的に危ないんじゃねって思ったけど、ここまで来たしさおそるおそる老舗旅館の旧館に入っていったの。


 別館は男性特化型の娯楽施設だったらしくて、旅館専属のコンパニオンによるショーや、風俗業で栄えていたんだって。でも、かつては光を放っていたネオン看板は、今や鉄骨が骨みたいになっていて、入口は嫌な雰囲気を漂わせていた。


 建物に入ると、少しひんやりしていて妙な匂いがするの。流石にヤバいなってなって、友人と二人、帰るかってなったんだけど。奥から「えっ」「えっ」って荒くて短い息が聞こえてきてさ。ヒトか動物か絶妙に分からないラインなの。全身を不快感がめぐって、鳥肌がばっーって出て。やばいやばいって思ったんだけど、友人が行くぞって言ってさ、音の方へ行ったら、小さな影が小刻みに震えてるの。もう俺、怖くて頭が真っ白になっちゃって。呆然と友人に着いて行くだけになってたの。


 で、電灯で音の方を照らすと、鬼の顔が壁に真赤な絵の具で描かれててさ。その四つの目が俺達を睨んでるわけ。流石に、友人もビビったらしく、帰るぞって、速足になった時、ふと電灯が絵の下を照らしたの。そしたら、昼間のおじさんが、一心不乱に「えいっ」「えいっ」てブラシみたいなので、鬼の絵を擦ってるの。その見開かれた充血した眼と細い腕を折れそうなほど、激しく早く動かしてる姿が不気味でさ。指も真赤になってて、血が滲んでるんだよね。


 気が付いたら宿に付いてて、二人とも茫然。どうやって帰ってきたかなんて覚えてなくてさ。もう、二度と廃墟は行かないって決めたね。



洒落にならないくらい怖い話集めてみない? スレ数不明 初出不明

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