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仮定のアーリィは今日も異世界の空を飛ぶ  作者: 田園風景
滅びた街フィーディング
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第九十九話 過去からのメッセージ6

  予言されていた最後の災厄が降り注がれる。

 我々の手の届かなった、いや通されることのなかった神の世界から、それが降ってくる。

 その正体は不明だ。予言でも世界を破壊するということしか明らかになっていなかったもの。

 ただ一つの救いは、それが未開発の荒野に落ちる事が解っていたという点だ。


  宇宙より飛来してきたそれは、火の玉となって落下してくる。


「迎撃するな! 落下するままにするんだ!」

「え? 迎撃しないんですか? 目標物は明らかに無防備に落下しています。破壊できなくとも、多少なりともダメージを期待して攻撃すれば……」

「中途半端な攻撃をするより、予定通りの地点に落下して貰う方が良い。それより、予定配置は済んでいるな?」

「はい。環境省のお偉方から多少クレームが来ましたが、なんとか完了しました」


  中将と総司令が見つめるデータMAPに、目標物が衝撃を伴って落下。落下の勢いのまま、目標物は地下へと落下していった。

 目標物の落下地点には事前に大穴を掘っていたのである。地殻変動があろうと津波が来ようと問題無いほどの大穴を。


「目標地点に到達しました!」

「よし、全て発動せよ! 現地を直視するなよ、目がやられる」


  全てを白く染め上げる光の如き爆炎が穴から立ち上った。

 先程の隕石破壊の再来かと思えるほどの音と振動も発生し、衝撃波が天空へと突き抜ける。

 爆炎は収まる様子も無く、その熱波で大穴数キロに火災を発生させている。

 この世界最高の爆弾を使用していた。「どうせ使う予定も無いから」という理由で、安全が確保できるギリギリまで穴の底に敷き詰めた結果がこれだ。

 この爆炎に耐えられるものはこの世界に無いと、算出データが出ている。目標物がこの世界の物であれば……


「次だ。延焼ジェルグレネードをありったけぶち込め」

「は、はい!」


  現状でも過剰であると思うが、手を緩めるわけにはいかない。

 万が一があれば世界は終わるのだ。であれば、持てる全てを最初の一撃に注ぐ方が良い。

 過剰であろうと目標を倒せたのであれば、中将と総司令の責任を追及されるだけで済む。倒せなければ、全て終わるのだ。


  遠くから発射された夥しい量のグレネードが、火炎と衝撃を吐き出し続ける大穴に打ち込まれた。

 余りの熱量にグレネードは穴の中に入る前に爆発を起こすが、その燃料は大穴の中に入り、全体の熱量を更に増幅させる。


「これで少なくとも一日は燃焼が続くな。さらに次だ」

「おお、前に相談していたあれじゃな。あんなもの、何に使うのかと思っておったが、これじゃったか」

「ええ。目標が我々の想像以上で手に負えない物だとしても、これで何とかなります」


  凄まじい火炎を吐き続ける大穴を塞ぐように、空間の歪みが生まれた。

 その歪みは大穴を完全に包み、先程まで吐き続けていた火炎が消え去り、変わって全く見通せない闇が留まっている。


「無限連鎖封印。閉じ込められれば最後、天も地も壁も境界も無い無限に広がる閉鎖空間に対象は囚われ続ける。目標と一緒に爆発した兵器も送っている。それで蒸発すればそれで良し。それすら耐えられたとしても境界の無い閉鎖空間から出る術は無い」

「例え目標が空間を超える能力を持っていたとしても、封印内部で広がり続ける術式も組み込んでいるため出られん。念の入った事じゃ」

「よし仕上げだ。術式をセメントと鉛で固めるぞ。外部からも干渉できないようにするんだ」


  闇が蠢く封印の周囲に鉄柱が投下される。

 これを支えに鉛板とコンクリートで固めるのだ。

 最初は強度よりスピード優先だ。乱雑に投下された何枚もの鉛板が封印周囲の灰を盛大に巻き上げる。

 続いて速乾性のコンクリートが乱暴に投下されて、瞬く間にコンクリートの山が出来上がった。


「ふう、これでとりあえずの対応は完了だ。後はより厳重な封印を重ねないとな。魔法司長殿、補助いただけますか?」

「やれやれ、老人の扱いが荒いのぉ」


  作戦指令室に穏やかな空気が流れた。

 これで予言されていた災害は全て乗り越えたのだ。封印した目標物の確認をどうするか悩ましい所だが、それは街を復興させてからゆっくりと考えれば済む話。


「さあ皆。パーティをするにはまだ早いぞ。後片付けが色々とあるのだからな」


  局員がやれやれと首を振った時だった。

 ピシりと、何かがひび割れる音が響き渡った。

 何の音かと局員がモニターを確認すると、封印を埋めた速乾性コンクリートからだった。コンクリートは周囲の火災と高温によって既に固まっていたのだが、それにひびが入っている。

 ひびは徐々に広がっていた。


「あのひび……周囲が高温だから、ですよね?」

「嫌な予感がする……皆、準備だ」


  その予感が正しいとばかりにひびは大きな亀裂となり、中から火炎が噴き出してきた。

 噴き出した火炎は広がり、コンクリートや鉛を吹き飛ばす。そして火炎の中から出てきたものがデータとして、作戦指令室に送られてきた。

 それを見た総司令は呟くように告げる。


「目標物……今後は『魔獣カオス・ダンプティ』と命名する」

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