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仮定のアーリィは今日も異世界の空を飛ぶ  作者: 田園風景
滅びた街フィーディング
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第九十八話 過去からのメッセージ5

  報告が上がってきていないという事は、地表ではまだ地震と噴火が続いているのだろう。

 まだ浮遊させた全地域を降ろすわけには行かない。幸い、浮遊魔法は解除しない限り半永久的に効果が永続するらしいから、万が一問題が起こるとすれば土台や街の方が先だろう。

 そして、この状態で次の予言が現実となる。

 隕石が降りかかってきた。それも一つや二つではない。二十以上の、まるで隕石の雨だ。それに対応してくれるというのが、突然訪れた魔法司長だった。


「皆、済まない。魔法司長が窓から外を見易いよう、荷物を退けてくれ」


  これで飛来する隕石全てを、魔法司長の視界に納めて貰うことが出来たはずだ。

 あの隕石が街に降り注がれると、一体どれだけの被害が出るだろうか? 市民が避難している施設は設計上、核爆発にすら耐えられる。隕石だって一撃なら耐えられるだろう。しかし、あの隕石群に耐えられるかどうか……一応此方でも対応は準備するが、取りあえずは任せてみよう。


「さて、やるかね……」


   魔法司長は緩やかだが複雑な手仕草を行い魔力の開放を行う。


「開かれるは生命と精神の経路。四方八方の彼方へと繋がりを広げよう……」


  全身から放たれる魔力の奔流は作戦指令室を満たし、それを超え、あっという間に世界全てに広がる。

 そして近付きつつある隕石群の先頭にも、それは届いた。


「宙を飛来する星の子らを我は呼ぶ。理の呼び掛けに其方は応える他無し。礫となりて集い、その身を捧げよ!」


  圧倒的な魔力の圧力が魔法司長から放たれる。その圧力があるはずなのに、周囲の小物一つすら揺れ動かない不思議な光景だ。

 魔法が完成した。


 究極魔法が一つ、サモン・メテオ


 飛来してきた隕石群が次々と消失したかと思うと、残った隕石群にぶつかる様にそれが現れ、隕石同士がぶつかり、互いに衝突して粉々に砕けた。

 その破壊音は、まるで世界の終わりを思わせるような凄まじい音となり響き渡る。身構えていた中将や局員たちですら、その音に一瞬身が竦んだ。


「! 直ぐにカバーケース2発動! その5秒後にカバーケース17を充電の続く限り発動せよ!」

「は、はい!」


  中将が何かに気付くとすぐに指示を出し、局員がそれに応えた。

 各地より小型ミサイル群が砕けた隕石に向かって飛来し、隕石はさらに細かい岩塊となる。

 そして地上に広く降り注ぐ前に、上空に広範囲で展開された不可視の電磁障壁がそれらを消滅させた。

 この結果に、局員たちは皆喜び、中将も総司令も魔法司長も安堵を覚える。


「中将! 地表の地震及び火山活動の終息を確認しました」

「よし、良いぞ。緊急コード866Gを解除する。区画を地表に降ろす前に、地表に人が居ない事の確認と状態の記録を忘れないようにな」

「了解しました! 緊急コード866Gを解除します」


  作戦指令室からでは判り辛いが、この区画はゆっくり地表に降りている。それを裏付けているのは、各端末に表示されるデータの変化と窓に映る空の様子だけだった。

 中将は端末を忙しなく操作し、各地の状況を確認。地形が変化してしまった所は仕方ないが、それ以外に大きな被害は見られない。被害があっても復旧は見通せる範囲だ。

 避難場所も想定通り、被害に耐えており、事態の大きさに発作を起こした人は居るが、避難住民の死者は出ていない。上出来の結果と言えよう。


「魔法司長。ご助力感謝します。貴方のお力添えがが無ければ、今の難局を乗り越える事は出来なかったでしょう」

「礼は要らないよ。あんた達だけでも恐らく乗り越えられただろうさ。けど、この次。最後の予言に力を残して欲しかったからねぇ」


  総司令の礼に対して、出されたお茶を啜り、椅子に座って魔法司長は休憩に入った。


「隕石を防いだ後の対応は振るつもりだったけど、振られるまでも無く対処してくれたのは、良かったよ」

「それは……どうも」


  中将もどう反応したら良いものか、多少引き攣りながら答えた。

 とにもかくにも、これで予言の事柄は後一つ。だが、これが一番の難所に違いないだろう。

 それに対する準備は中将の指示により既に進められていた。先程の災害の最中に来られ無かったのは不幸中の幸いだ。お陰で最後で最大の難所に集中して対応できる。


  一時の平穏が訪れた。局員にとってはやるべきことが多く、未だに忙しなく働いていたが、問題が追加されない時間があるという意味では平穏なのだ。

 このまま予言されていた災害は終わりで、世界の終わりを迎えることなく対処できた……という結果であれば、幸せだっただろう。

 だが、そうはならなかった。

 終わりが一つ、宇宙空間に作り出される。それは、局員もすぐ把握した。


「宇宙空間に正体不明の物質?が、突如出現しました。予言通りです。大きさは約10m。狼のような形で武装は確認できません!」

「来たか……総員、第一種戦闘配置」

「せ、戦闘配置ですか!?」

「そうだ。これまでの自然災害相手では無く、最後の相手は明確な敵だ。我らの総力を持って対応しなければならない」

「了解しました。第一種戦闘配置を発令します!」


  この記録の、最後の相手がこの地に落とされてくる。

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