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仮定のアーリィは今日も異世界の空を飛ぶ  作者: 田園風景
滅びた街フィーディング
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第九十二話 着地完了!

「……見えてきた!」


  かなりの上空へと浮かび、台の中にいるレン代表の支持する方向へ暫く進んでいた。台に居る調査団からは直接には見えないと思うが、サテラ君に座っている私からは、地上に広がる緑の海が広がっている。

 その中に溶け込むように佇む山があった。なだらかな裾を広げたその山を注意深く見ると、木の隙間から建物が見える。山に見えたのは、植物にすっかり埋もれてしまった超巨大な建築物群だったのだ。その山だけで街トースアースを超える大きさを誇っており、それ以外の所もよく見ると建築物があることが解る。つまり、山だけでなくこの周辺、恐らく見える限り全てが、元は街だったのだ。その規模はこの世界の現状とは比べようが無い程。


「アーリィ君! 前方の高台に広場が見えるか? そこに降ろしてくれ!」


  レン代表から指示が来た。確かに、緑の山の中腹辺りに平地になっている所がある。木々に囲まれて元が何だったか確かな事は判らないが、恐らく空中庭園か何かだったのだろう。広さ的には十分。


「分かりました! これから降ろしますので接地した時の衝撃に注意してください! もし、降ろして台がグラつく様なら再度引き上げますので、直ぐに降りない様にお願いします!」

「宜しく頼む! 皆さん、これから着地します。衝撃と降りる時の揺れに注意を!」


  そう言ってレン代表がベルトに掴まった。見回したが皆用意が出来ているようだ。ルシードは私にOKの合図を送ってくれる。

 ゆっくり慎重に台を降ろす。台が乗った木々がベキベキと音を立て激しい物音を立てた。それに呼応するように、周囲の木々の中から奇怪な叫び声が幾つも上がる。

 ここに住み着いている魔物だろうか? それとも魔獣か?


  台が着地し、ワイヤーを緩めても台はグラつかなかった。うん、安定したようね。


「着地完了です!」


  皆に着地完了の報を告げる。まず動き出したのはキョウスティンの騎士団だ。

 動き難そうな鎧を着て居るにも関わらず、ささっと台から降り盾を構えて周囲を警戒する。

 早速現れたコボルドとジャイアントバットが数匹ずつ。姿を見せた途端に盾により叩き伏せられ、速やかに息の根を止めた。この淀みのない対応を見て、皆には安心感が広まる。


「周囲の安全確保! 今は周囲になにも居ません!」

「了解! 各員速やかに台から降りてください」


  まず降りたのは我らがヒョーベイのギルドメンバー。荷物を直ぐに置いてカラムさんと、レン代表、トースアースの研究者が降りるのをサポートする。変な居り方をして足場が崩落したら嫌だしね。

 全員が無事に降りたので、私も降りる事にした。サテラ君はワイヤーから外し、なにかあった時に使えるように待機。予備の剣はワイヤーを掛けたまま台に置いて置く。いざという時に素早く離陸するためにね。これで私の手持ちは腰に帯びた剣のみだ。少し心元無い。私が戦うような状況にならなければ良いんだけど。


  調査用の荷物も全て降ろし、出発の準備が整った。


「では行きます! アレクシス卿とキョウスティン騎士団の皆様、私が指示する方向の先導をお願いします。ヒョーベイのギルドメンバーの皆様は左右後方の安全確保を。研究員は守りの輪から出ないように! もし何かあったら小さい事でも声を挙げてください。良いですね?」


  レン代表の指示の下、一丸となって木々を切り裂きながら進んでいった。この山の中央、より高い位置へ。

 道中、魔物が散発的に姿を現し、私達を脅かしてくる。


「普通の魔物も居るが……キメラ種も居るな」


  襲ってくるのは魔物だけでは無かった。進むにつれ姿を現し始めたのが小型のキメラ種。

 小さいとはいえそのタフネスと複数の出現により倒すのに手間取り、足止めを食ってしまった。

 慎重に対応したため重傷者は出ていないが、騎士団の中に手傷を負ったものが居る。

 今は私の役割が無いので手傷を負った騎士に応急処置を施した。血を拭いて消毒して包帯を巻くだけだけどね。「ありがとう、助かったよ」と感謝して再び前列に戻る姿を見るとちょっと嬉しい。




  慎重に慎重に進む。

 そして辿り着いた所が大きめの部屋だ。感じからして作戦指令室っぽい。

 この部屋に緑は浸食されておらず、比較的密閉された状態だったためか、機器の状態は良く見える。ただ、埃が厚く積もっており、空気が動く度に埃が舞ってしまった。


「この部屋を調査します! 調査前に空気を送って埃を除去しますよ!」


  ここからは研究員の出番だ。送風機を使い一定方向に風を流して、部屋の埃を緩やかに流している。その間にも騎士団の皆さんは外部を警戒してくれる。頼もしい限りだ。

 ギルドメンバーは少々手持ち無沙汰だが完全に気を抜くわけにもいかない。極端な話、天井や壁を抜いて魔物が現れないとも限らないのだから。なので適当にしながらでも、体は動けるようにしている。

 結局魔物の襲撃は無かった。警戒の苦労が無駄になったと言えるが、無駄になるに越したことはないのだ。

 送風により埃の除去がある程度完了したので、そろそろ調査に入るらしい。


「調査を開始します。どんなトラブルが発生するか判りません。緊急時は全てを捨て退避するつもりでいてください。では開始!」


  研究員が思い思いに散らばる。外はアレクシス様の指揮で騎士団が見てくれているので大丈夫だろう。ギルドメンバーは内側、研究員に異常が発生していないか目を配っている。

 私は行き帰りが仕事なので、特に何もしなくても良いんだけど、折角だしちょっと見させて貰おう。

 何か面白いものがあると良いな。

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