第八十六話 閑話:超振動ナイフは浪漫
「この街の騒ぎに巻き込んでしまい、申し訳ない。これをお詫びとして受け取って欲しい」
レン代表が医務室で養生している私達を訪ねてきたのだ。
謝罪と共にお金と共に一本のナイフをくれた。
「お金は判るとして、このナイフは?」
鞘に収まった外見は、非常に近未来的だった。
うっすらと光るラインが長めのグリップを走り、鞘に収まる刀身に吸い込まれている。
鞘の大きさから、ナイフと言うには刀身は少し長く少し太いと思われる。
「発掘された兵器の一つで超振動ナイフだ。これなら君達でも簡単に扱えるだろう」
超振動! 良くある近未来的な兵器だ!
実際にこの目で見られるとは……
鞘からナイフを抜くと、鉄では無い……かな? 金属質の良く判らない刀身が現れた。ラインが走るそれは、ワクワク感が止まらない。
「これはどうやって使うんですか?」
「グリップを強く握ると刀身が超振動を開始する。グリップを離して数秒経つか鞘に納めると停止。機能は復旧できたのだが、内蔵バッテリーは交換も出来ずどうしようもなくてね。超振動は十分程度の時間しか連続使用出来ない。ソーラーや振動、生体電流等複合的な要素で充電されるが、満充電には一日かかるものと思ってくれ」
ナイフのグリップをぎゅっと握ってみると、刀身から僅かな振動が伝わってくる。この状態で超振動している状態なのだろう。この時刀身に触れば怪我してしまうのだろうけど、なんとなく触れてしまいたい欲求が湧き上がってくるのはなんでだろうか?
ナイフを鞘に納め、マジマジと眺める。これが超振動ナイフかぁ。
少しの間鑑賞し、ナイフをルシードの手に渡す。
「ルシードがこれ使ってくれない? 皆もそれで良いよね? なんだったら、お金は譲るよ」
「ああ。ルシードが使って貰って構わない」
「そうだね。そんな大層なナイフが必要な状況は無いだろうし」
「ええ。ルシードで良い……」
「お前ら……ありがとうな」
今回の戦いの中で、通常の剣では斬鉄が出来なかった。このナイフがあれば、同じようなロボットや重装甲の敵が出てきても対抗手段が増えるに違いない。
私が扱うには不安があるので、ルシードに譲ったということだ。
これで戦力アップしたねっと思い込んでいたのだが……嬉しい事というか悲しい事というか、これだけでは無かった。
「そうそう。ブレンダン代表がアーリィ君を呼んでいたよ。アース教施設横にある広場に行ってくれないか?」
「私を? なんだろ?」
「込み入った話でもないし、お詫びの一つみたいなものだ。警備もまだ多く居るから、安心して行ってくると良い」
「まあ、そういう事であれば」
私以外の皆は、大小あるけどまだ治療中だ。そういう訳で私一人で赴くことになる。
「じゃルシード、ベクト、みんな。ちょっと行ってくるね。怪我を治すのに専念するんだよ」
「アーリィも気を付けてな」
というわけで、行ってきます。




