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仮定のアーリィは今日も異世界の空を飛ぶ  作者: 田園風景
科学と宗教の街トースアース
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第八十話 ロボットの襲撃と犠牲者達

  崩れた外壁の煙を潜ると、そこは悲惨な光景が広がっていた。

 アース教信者の人達が壁に向かって、血を流し倒れ伏している。

 銃創、切り裂かれた傷、爆発を受け吹き飛んだ肉体。皆、壁に向かって倒れているのは逃げようとしたところを後ろから攻撃を受けたのだろう。

 呻き声が聞こえるので、まだ生きている人も居る!

 とりあえずサテラ君から降りて状況を確かめた。


「酷い……何があったの?」

「あれだ! あれは何だ?」


  ルシードが指し示す方向に居たのは……ロボット!?

 上半身は人型。左手に剣、右手に銃口らしきものがゴテゴテと取り付けられている。顔に赤いセンサーが走って、対象者を探しているようだ。

 足は分割されたキャタピラ。重心が安定しており容易には転倒しないのかもしれない。

 センサーが私達を捉えたようで、此方に向かってくる。ルシードとベクトが私の前に立って庇ってくれた。


「気を付けて! あれなんていうのかな……アイアンゴーレムみたいなもので固し早いよ。おまけに銃も撃ってくると思う」

「アイアンゴーレムね……前に倒した時は剣が潰れたな」


  確かに剣で斬るのは難しいかもしれない。魔法が使えれば何とかなるかもしれないけど、私達は使えないし。


「対象3……未登録……証拠隠滅ノ為排除シマス」

「撃ってくる!」


  ロボットが手の銃口を向けると同時に、私達は手短な瓦礫に飛び込んだ。バラまかれる銃弾が地面と瓦礫を削る。

 ルシードと別々の瓦礫に逃げてしまった。ベクトは私の所。覆いかぶさるようにして私の身を守ってくれている。


「ルシード! 大丈夫?」

「ああ、俺は無傷だ! そっちは?」

「こっちも無傷。けど、どうしよう? アレ倒せる?」

「銃があるのは厳しいな。細い所なら斬れるかもしれないが、勢いを乗せないと難しい」


  瓦礫からロボットを見ていたベクトが声を挙げる。


「斬れなくていい。数秒で良いから動き止められない?」

「……やってみよう。タイミングを合わせてくれ!」


  まばらに放たれる銃撃で瓦礫が削られるのが怖い! ルシードとベクトがタイミングの声を合わせた時、ロボットの横から矢と火弾の魔法が飛んできて、鉄の体を僅かに揺さぶった。

 どこから飛んできたと見ると、クレウス姉さんとドミニクちゃんだ! 恐らく私達がロボットと戦っているのを発見して、矢と魔法で援護してくれたのだろう。


「今行くぞ!」


  予想外の援護だったが、これに反応したルシードが飛び出す。

 ロボットはクレウス姉さんに銃口を向けようとしていたが、慌てて引き戻す。しかし遅い。

 ルシードはロボットに組み付き、両武器を押さえた。ロボットの動きを力づくで抑えるが震えている。


「止めたぞ! 直ぐに限界だ!」

「十分……」


  いつの間にかベクトも飛び出して、同じくロボットに組み付き、勢い良く蹴りつけてから、何かを掴んだ。


「多分……コレ!」


  掴んでいたものを引き抜く。

 バリバリと電撃がベクトの手に走ったが、直ぐに収まった。


「だ、大丈夫ベクト?」

「ちょっと……思ったより痺れた。けど、大丈夫」


  ロボットは駆動音を落とし、センサーも消え沈黙する。部品一個引き抜いた程度で停止する物なのね。

 ベクトがポイっと捨てたものは、重そうな音を立てて転がった。


「どうやったの?」

「バッテリーを引き抜いた。本来はちゃんとカバーして本体の中に収納する物だけど、経年劣化か何かで露出してた。固定もボロボロだったから力づくで何とか取れたよ。多分このロボットを復旧させた科学者はそこまで修理できていなかったのか、戦闘用としては考えてなかったかでしょうね」


  成程。動力が無ければ動かないのは道理だけど、あれがバッテリーって、ベクトは良く判ったね。

 っとと。クレウス姉さんとドミニクちゃんだ。二人に慌てて駆け寄る。

 何ヶ所か怪我してるけど、命に別状は無さそうだ。けど、ドミニク姉さんは妊娠してるんだから、子供に悪い影響無ければ良いんだけど。


「クレウス姉さん! ドミニクちゃん! 二人とも無事? トムさんとオマケでオッドルさんは?」

「アーリィ。私達は無事だけど、オッドルがね……」


  二人の後ろにトムさんとオッドルさんが居た。

 トムさんは無事のようだけど……


「オッドルさん……」

「けっ……ヘマこいたな」


  胸と腹に銃撃を受けている。片足も無くなっている。重症というよりこれは……

 聞いた所、ロボットに襲われた際、クレウス姉さんを庇って攻撃を受けたそうな。ドミニクちゃんが治療魔法を施したが即死を免れているだけの状態だったとのこと。


「ちゃんと護衛の仕事したんですね。ありがとうございます」

「……仕事だからな」

「少しの間待っていてください。直ぐに治療してくれるようにしますから、助かるよ!」

「あー……俺の仕事はここで終わりだ……」


  トムさんが静かにオッドルさんの瞼を閉じさせ、安らかな眠りを祈った。




  あちこちでまだ銃撃の音が聞こえる。あのロボットは一体だけではなさそうだ。

 騒乱の渦中に、ブレンダン代表の叫び声が聞こえた。

 戦いの音がまだ聞こえる。戦っているのだ。


「ベクト。クレウス姉さん達を守ってあげて」

「アーリィはどうするの?」

「ブレンダン代表を助けに行ってくる。ルシード、お願い」

「分かった。ベクト、この辺りを頼む」

「ん。行ってらっしゃい。安全が確保出来たら、私もそっちに行くから」


  ブレンダン代表は、恐らく燃え盛る講堂の中だろう。

 これ以上の悲劇は止めなくちゃいけない!

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