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仮定のアーリィは今日も異世界の空を飛ぶ  作者: 田園風景
科学と宗教の街トースアース
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第七十話 クレウス姉さんの結婚報告

  翌日の朝過ぎ。

 ベクトと一緒に、食パンと目玉焼きと野菜スープというシンプルな朝食を食べ終え「今日はどうしよっか~」とまったりしている所に訪問者。


「アーリィ、戻ってきたって聞いたけど?」

「クレウス姉さん? 久しぶり~昨日帰ってきたのよ」


  訪れたのは、以前一緒にギルドのお仕事をしたクレウス姉さん。その後ろにトムさんと私の知らない魔女っ娘が続いていた。

 二人はお変わりが無いようで……いや、少し親密度が増している? 距離感が違ってる気がする。私の恋愛レーダが二人の間に変化があったことを察知したよ!


「予定を過ぎて、何時まで経っても帰ってこないのだから。街の外に出るというのは人知れず死ぬこともあるから、もしかしたらと心配したよ」

「心配かけてごめんね。キョウスティンからの帰りにヒルビンって街に寄ってね。そこでそこにいるベクトを拾ってくるのに時間が掛かっちゃったのよ」


  と、お二人にベクトを紹介する。

 ベクトは長椅子で横になっている。手を挙げているのは挨拶のつもりだろうか。ちゃんと起きて挨拶しなさいな。


「そうだったのかい。何はともあれ五体満足、生きて帰ってきて何よりだ。できればアーリィにも祝って欲しかったんだがタイミングが悪かったね」

「祝うって?」


  意味ありげに、クレウス姉さんとトムさんが見つめ合う。これはまさか!


「実はさ、私達結婚したのよ。アーリィが帰ってくる二ヶ月前ぐらいにね」

「前から付き合ってはいたんだが、あのキメラと対峙した時からより強く気になってな……」

「おお、それはそれは、おめでとうございます!」


  ふんすと鼻息が少し荒くなる。結婚か~良いな~幸せそう~


「は! ってことは!」


  さっきから二人の後ろに居た謎の魔女っ娘の肩を掴む。


「この可愛い子、クレウス姉さんのお子さんですか? お子さんですね!」

「アーリィ、ちょっと落ち着きな」


  ぺしんとおでこを叩かれる。

 いけないいけない。暫く味わっていなかった幸せ雰囲気に、ついつい心のアクセルをベタ踏みしていたよ。


「こんな大きな子がいる程、爛れた生活は送ってないって。前にも紹介したいって言ったろ。ドミニクを紹介したいって。ほれ、挨拶しな」

「は、はい。えっと僕はドミニク・ベルナールって言います。僕が病気で倒れていた時にトムさんとクレウスさんがお世話になったそうで、有難うございました」

「どういたしまして。私も良い経験になったから気にしないで。私はアーリィ・ファスト。よろし……ん?」


  ドミニクちゃんは、ちょっと見かけない程可愛い顔立ちをしている。魔女っ娘衣装なのも合わさって、とても愛らしいのだが何か違和感が?


「……多分誤解されていると思うんですけど、僕は男です。この服装はクレウスさんが着ろって無理やり……」


  ドミニクちゃんは女の子ではなく男の娘だった。


「まあまあ、それはそれは。ドミニクちゃんはこれだけ可愛いからどちらでも良いね」

「いや、ちゃんと男って見て欲しいのですけど……」

「ドミニク姉さん」

「ん?」

「グッジョブ」


  ぐっと突き出す親指の意味を知らないはずだが、クレウス姉さんは笑顔になってくれた。


「ドミニクを気に入ってくれて良かったよ。アーリィはドミニクを子と勘違いしたけど、ちゃんと授かってるよ」

「あら。本当におめでただったのね」


  クレウス姉さんのお腹を見ると、確かに新たな命が育まれているような、そうでないような……これからよりハッキリ判るのかな。今まで身近に妊婦さんが居たこと無いから判らないのよ。

 何にせよ可能なら負担を掛けない体勢の方が、子供に良いよね。この世界じゃ特に子供は宝だ。


「なら余り立たせるのは悪いね。ほら、入って座って。ベクト! ちょっとお茶お願いできないかな?」

「まだ気にするほどじゃないんだけどね。折角だしお邪魔しようか」

「気を使わせて済まないな」

「おじゃましまーす」


  長椅子の方にクレウス姉さん、トムさん、ドミニクちゃん三人に座って貰う。ちょっと狭いけど、椅子が足りないのでゴメンね。

 テーブルを拭いて、ちょっと摘まめるお菓子をでんと。お茶はベクトが用意してくれるけど、湯飲みを出さないといけないか。

 ……で、用意できたよ。


「結婚してお子さんも出来た訳だけど、クレウス姉さんはギルド引退しちゃうの?」

「お腹が大きくなってから子育てまでの間はお休みするけど、今は引退するつもりは無いよ。ま、実際に子育てし始めたらどう気持ちが変わるか判らないけどさ」

「そっか~。子供を大切にしてあげてね。出来る範囲で協力するよ」

「ありがとねアーリィ。じゃ、早速で悪いんだけど、都合が良ければ一つ協力してくれないかい?」

「今は予定無いし大丈夫! ベクトも大丈夫よね!」


  ぼへーっとお茶を飲みながら話を聞いていたベクトの頭を掴んで無理やりうんうんさせる。

 ベクトの予定も何も無いって把握してるんだから。


「じゃ一つ、一緒にギルドの依頼を受けて欲しいんだけど」

「どんな依頼?」

「科学と宗教の街トースアースへ荷物運びするだけさ」

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