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第七話 初めてのギルドは絡まれるのが常

  剣に乗ったまま家に飛んで帰る案もあったけど、溢れんばかりの荷物もあるので、安全をとって降りる。しかし、剣に掴まって空を飛ぶというのは良いね。要練習だ。

 家の方向は確認できたので、何度も回り道をしたけど、何とか無事に帰宅完了。スマホの地図アプリは便利だったんだね。

 日本に居た時には考えられない程歩いて、荷物を持って、怖い人に遭ったせいか、もうクタクタだ。


  雑貨屋さんで買い物をして感じたのだけど、雑貨全般のレベルが日本と同じぐらいだったのだ。そのお陰で買うものに迷わなくて良かったんだけど、この世界はホント謎だな。

 家の中に最低限の小物をぱぱぱっと配置。ヒガンちゃんから貰ったお金はまだ余裕があるので、今後も小物が増えていくと思う。配置も変えていくだろうから、今は適当で良いのだ。

 お肉とお野菜を刻んでフライパンで炒める。味見もせずに謎調味料を加えて、今日のご飯はこれでいいや。火をしっかり通しておけば、お腹は壊さないでしょ。井戸水を汲んできて窯で煮沸。ふふん。良く知らない異世界に来て生水を飲むような愚かな行為はしないのだ。煮沸が終わったら茶葉として売られていた葉を浮かべて簡易緑茶の完成! ちなみに、地球でも水道水をそのまま飲めるような国は少ないらしいですよ。

 うみゅ、ご飯も食べて余は満足じゃ。味も醤油っぽくて悪くなかった。就寝前に、せめて髪と体を濡れタオルで拭いて今日はもうこれで限界なのだ。オヤスミ~。




  次の日の朝。昨日の残りを朝ご飯にしながら、今日はどうするか考える。最終目標に向けての最初の第一歩。昨日発見した冒険者ギルドとおぼしき所を覗きに行こう。可能なら冒険者として登録してお仕事を探すのだ。

 それと同時にこの世界のについての情報。内容は何でも良いのだ。何が貴重な情報か解らないんだから、片っ端から集めよう。ただ、私の脳内メモリ容量は大きく無い。容量オーバーすると一つ聞いて覚えたら一つ記憶が零れるトコロテン方式なので、昨日買った筆記用具を持っていこう。メモ帳も買ってあるからバッチリだ。

 服装は昨日と同じくジャケットとレザーワンピース、腰巻スカートの一式。異世界的オシャレもしたいところだけど、それは落ち着いてからにしよう。腰のベルトを締めてお出かけだ!




  目的地には迷うことなく到着。今日も良い天気で良かった良かった。天気と言えば雨が降った時の備えが何もなかったかな。帰りの雑貨屋さんで傘を買うことにしよう。この世界の傘はどんなのだろうか。魔法的な何かで、頭の上に浮いたら面白いのに。

 おっと傘のことはさておいて、冒険者ギルドだ。昨日も見たが、他の建物と異なって石作りで、頑丈そうだけど、ひたすらに重そう。

 おっかなびっくり扉を開けて中の様子を伺う。中は閑散としていて人が数人しか見えない。ん~依頼でみんな出かけているのかな?

 カウンターに受付嬢の女の子。掲示板を確認している男とその他一人。カウンター、掲示板、長椅子に長テーブルとシンプル。飾り気も少ないな。実に冒険者ギルドっぽい!


  どんな依頼があるのかなっと、掲示板を見るべく、なるべく目立たない様に端っこ伝いに移動する。


「おい、そこのお前!」


  おおぅ、見つかった!? 気配を殺した私に気が付くとは、タダモノではないな。

 私に声を掛けてきたのは、長椅子に座っていたゴロツキ然とした男。私にナンパかな? 酔ってはないようだけど。

 とりあえず、余所行きスマイルで無難な返事を返すとしよう。


「あら~、私ですか?」

「そうそう。見ない顔だな」

「はい。ちょっと用事で初めて来まして」


  む、男がイヤらしい目つきになった気がする。要警戒だ! 強気モードでいくぞー!


「俺はオッドルってんだ。キミ、なかなか可愛いじゃねぇか。名前何ての? ちょっと俺と酒でも付き合わね?」

「結構です! 用事があるので!」


  こういう時は、吊られて名乗ったりしないのだ。失礼だからって名乗ると、心理的に一歩仲良しになっちゃうからね。

 無視して進もうとすると、コイツ、私の肩を掴んできたぞ!? 精一杯の目力を込めて睨みつける。あ、慣れない事するから、ちょっと涙目になっちゃった。


「なんだぁ。俺のお誘いを断るってのかよ」


  頑張って男の腕を払い除けようとするが、全く動かない。う~む。こんなのでも私より遥かに力持ちなのか。

 男は、私が腕を払い除けられないのをニヤニヤと眺めている。う~どうしようか……


「おい! 今すぐ止めろ」


  掲示板を見ていた男が気が付いたようで、制止の声を掛けてくれた。

 う、山賊だ! どうみても山賊だ! 膨張した筋肉にもじゃ髭のドワーフ然としている。背がそこそこあるし、ドワーフじゃないよね?


「明らかに嫌がっているだろう。とっとと止めろ」

「ちっ……」


  チンピラことオッドルは悪態を付きながら、外に去って行った。まぁ、あの筋肉相手じゃ、大抵の人は逃げるよね。


「嬢ちゃん、悪かったな。あいつ……オッドルは女癖と性格が悪くてな。仕事は出来る奴なんだが、あれなんで仕事以外では、余り近寄らん方が良い。面倒なだけだ」


  見た目山賊だけど、もの凄くまともだ。見た目に寄らない事があるのはどこも一緒だね。


「助けて頂いて、有難うございました!」

「気にするな。それに此方の者が掛けた迷惑だしな。あんた見ない顔だが……ここに用ってことは依頼か?」

「いえ。依頼じゃないんです。その前に確認ですけど、ここって冒険者ギルドですよね?」

「冒険専用って訳じゃないが、まあギルドだ」

「私、このギルドに入りたいんです!」

「お前が?」


  そりゃー、さっきチンピラに力で全く敵わなかったけどさ。

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