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第四十六話 道中

  キョウスティンを出発してから一日。街ヒルビンの位置は教えて貰っているが、ルシードも行ったことの無い所なので、サテラ君に乗りつつゆっくりと進んでいた。今回は時間制限も急ぐ理由も無いからね。

 この辺りの気温は少し高めだ。森も変わらず広がっているが、生えている雑草が何となく亜熱帯的な感じになっている。また、岩も多く、地形の高低差が激しいので、歩いて移動していたら見た目以上に時間が掛かっていたに違いない。


  この辺りの魔物は活発に活動するようで、休憩で地上に降りる度に襲われていた。

 まず出てきたのはヘビーリザードという、人以上に大きなトカゲさん。


「アーリィは上空で待機しててくれ。まずは俺が強さを見てくる」

「は~い。気を付けてね」


  って事で、サテラ君に乗ってルシードの戦いを観戦。

 ヘビーリザードの攻撃は単純で、固い鱗を生かして頭から突進。何度も突撃して、獲物が動かなくなったら丸呑みして捕食するというものだ。突進のスピードはかなり速いが曲がるのは苦手のようで、ひらりと躱したルシードはヘビーリザードの側面から斬り付ける。

 背等の鱗がある部分はルシードの剣すら通さなかったようだが、お腹は柔らかい様で特に苦戦せずに勝利。攻撃に手間が掛かるから、複数出た場合は厄介と思われる。


  大きいだけあって、可食部分も多い様だ。試しにとルシードが倒したトカゲの肉を切り取っている。


「アーリィも食ってみるか?」

「いや、私は結構デス」


  キョウスティンで買い込んだ携帯食もまだまだあるのに、何が悲しくてトカゲ肉を食べなければいけないというのか……

 ルシード。食べる時は良く焼いて食べるんだよ。




  次に現れた魔物は、マイクロパイソンという小さい水牛だ。小柄で見た目が美しいのだが、性格は至って獰猛。自身のテリトリースペースに入ってくると、鋭く固い角を振りかざして突進してくるのだ。


「万一逃すと、攻撃がそっちに向かう可能性がある。アーリィは上空で待機しててくれ」

「は~い。分かりましたよ~」


  私も剣の練習をしたとは言え、強くなった感じは全くない。だからルシードが戦うのが正解なのだけど、見るだけというのはちょっと面白く無いなぁ。

 突進のスピードはかなり速いが曲がるのは苦手のようで、ひらりと躱したルシードはマイクロパイソンの側面から斬り付ける。

 突進する頭や肩は見た目以上に固いのだが、下半身等は見た目通り柔らかい様で特に苦戦もせずまた勝利した。


  倒したマイクロパイソンの肉を、ルシードはいそいそと切り取っている。


「アーリィも食ってみるか?」

「これは食べてみたいかな。美味しそうな所を少しだけヨロシク!」


  牛肉なんて久しぶりだ。携帯食はまだまだあるけど、これなら食べてみたい。ただ、筋肉質が多くてちょっと固いかも知らないね。

 それでも今日のお夕飯が楽しみだ。




  また魔物が現れた。バッドピルバグという、巨石のようなデカさを誇るダンゴ虫だ。足がワサワサ動いていてキモイ。

 雑食で、普段は枯れ葉や枯れ木を食べているのだが、偶に他の生き物をその巨体が丸まって突進しひき潰し、食べてしまうとの事。なんか、突進する魔物ばかりだなぁ。


「これは流石に一撃とはいかないだろう。アーリィは上空で待機しててくれ」

「ルシードさん。守るためにと考えてくれているのは嬉しいけど、過保護過ぎるのもどうかと思いますよ」

「お、おう……」


  ダンゴ虫君の突進攻撃はかなり速いが曲がるのは苦手のようで、ひらりと躱したルシードはバッドピルバグの足から腹に剣を突き入れる。

 見た目通り、背の甲殻部分は固いが、腹は柔らかい様で特に苦戦もせずまた勝利した。


「アーリィも……」

「駄目だルシード! それは絶対食べられません!」


  またも解体しようとしたルシードを窘める。

 天丼は基本の一つだが、繰り返すと面白みを消してしまうから要注意だ。




  魔物は多かったし、お陰でゆっくり休憩の時間も取れなかったが、それでも目的の方向へと私達は進む。

 そしてとうとう見えてきた闘争の街ヒルビン。街の大きさはヒョーベイよりも小さい。街の周りは殆ど岩場となっており、この街だけ別世界に来たようだ。

 街の外壁よりも背の高い建物が街中にあるのが見える。円形状に見えるあれはコロシアムなのだろうか? 闘争の街に似付かわしい建物だ。きっとあそこでは日夜、生死を掛けた戦いが繰り広げられているのだろう。


「あの街だな、アーリィに似た人物が居るかもしれないって所は」

「情報源があれだけど、今の所唯一の情報だからね。最悪、空振りでも良いでしょ」

「そうだな。中々面白そうな街だ」


  ルシードの戦闘欲が疼いているようだ。男の子だねぇ。

 この街であの謎の私のどちらかに出会えるのだろうか? それとも地球日本に帰る為のヒントが見つかるのだろうか。

 先は長いのだ。期待し過ぎず、気楽にやっていきましょう。


 サテラ君を操作して、街から離れた熱気の立ち込める街道へと降りる。

 降りる先の熱気は熱意の表れか、それとも地獄の業火か。

 降りて進まなければ判りはしない。

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― 新着の感想 ―
デジャブを経ての実食。でも、三度目のやつは流石に食えませんね(笑) 鰐の肉は結構うまいので、蜥蜴だったら何気にいけそうな気も。 相変わらずやり取りが軽快で、なかなか面白かったです!
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