第四十五話 閑話:自己鍛錬の始め
ここはキョウスティン王宮にある図書館。
私が地球日本に帰る為のヒントを探すために、この世界の事を色々と調べているのだ。勿論、マーク様に利用許可は貰っているよ。
とは言え、何を調べれば良いのか何から調べれば良いのか、全く解らない。なので総当たりで調べているのだけど、そうなると見るべき書物というのは膨大にある訳で……辛い。
「アーリィ。気分転換に剣の訓練でもしないか?」
ルシードには私の事情を話しているので、書物を調べるのにも協力してくれている。
とはいえ、ルシードも本を読み耽るというのはそれ程好きという訳ではないようだ。目標の無く読み続けるのに少し飽きたようで、体を動かそうと提案してくる。
「そうね……ちょっと体を動かそうか」
手の持った本を閉じ、本棚に戻す。体を動かして、体力があればまた読みに来よう。
お尋ねしたのは王宮内騎士修練場。アレクシス様にお願いして貸して貰っているのだ。
修練場だけど、見学できるようスタジアムのような見学席が設けられている。医務室も併設されており、訓練だけに止まらず色々と出来そうな所だ。
私とルシードが訓練するだけの話だったのだけど、アレクシス様見学の元、ルシードの相手としてアベリックさんが。私の練習指導として女騎士のマーベルさんが付くことになった。
ルシードとアベリックさんは早速激しい剣の打ち合いを始めている。う~ん。あのレベルに到達出来る気がしないなぁ。
「私はキョウスティン王宮騎士マーベルと申します。アレクシス様よりアーリィ様の指導をするよう命じられましたので、宜しくお願いします」
「よ、宜しくお願いします。お手柔らかにお願いしますね」
マーベルさんは綺麗な顔立ちしているし、騎士なだけあって非常に姿勢が良く、出るとこ出れば非常に人気のありそうな方である。
そんなマーベルさんの指導というのが……素振りだ。漫然に行うのではなく、敢えてゆっくりと素振りを行い、所作の一つ一つを確認しながら行うようと言われた。
「体力作りは後で行うとして、今は剣の正しい振り方を頭と体で覚えてください。剣は左手で振り、右手で支えるのです。右手に力が入り過ぎていますよ!」
「ひ~!」
戦い方は戦って覚えろ的な実践方式ではなく、本当に基本からの訓練であった。
その訓練は数時間続き、終わった時には汗だくで地面に転がっている私。もう、体の何処が重たいのか判らないぐらい疲れた……
「よく頑張りましたねアーリィ様。今日教えたことは出来れば毎日行って、基本の動きを体に染み込ませてください」
「あ、あい……ご指導、ありあした……」
視線の先では、ルシードが激闘の末アベリックさんに勝利していた。
やっぱり、戦いはルシードに任せた方が良いね。もはや芋虫と化した私は、土で汚れるのも構わず寝転がりそう思った。




