表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮定のアーリィは今日も異世界の空を飛ぶ  作者: 田園風景
世界最大の街キョウスティン
29/167

第二十九話 キョウスティンへの再出発

  ゆっくりと休みを取った翌日の朝。キョウスティンの王宮まで出向く準備をしている。

 前回は急ぎだった為、道中も含めて碌に旅を楽しめていなかったので、急ぎとは言われているが少しゆっくりと向かう予定だ。なので、野営の用意はしっかりとした。

 送り迎えにジゼルさんが来てくれたのだ。


「今更聞くのもなんだが、絶対に行かなきゃいけなかったのか? キョウスティンは王都を名乗っているが、別に街が従う必要は無いんだろ?」

「確かに、街としてはキョウスティンに従う義務はありません。しかし、流行病のお薬を分けて貰った恩があります。それと、貴方達お二人に貸しがあるような事が書かれていました」

「貸しか……街に入る前に魔獣から庇って貰ったのは確かに貸しだな」

「けどルシード。助けて貰ってからそれ程時間が経ってないのに手紙を受け取ったんだよね。いくら何でも話が早過ぎない?」


  この世界に電話やインターネット等便利な物は無い。まだ見ぬ魔法に伝達手段があるのだろうか? あの街は世界の王都を名乗るだけあって、非常に発達している印象を受けた。であれば、私達の知らない方法を持っていてもおかしくは無いのだ。


「街の管理者ではなく市民である貴方達にお願いするのは心苦しいのですが、どうかよろしくお願いします」

「指定されてるんだから仕方ないじゃない。大丈夫、ま~かせて」


  ジゼルさんと一時のお別れのハグを交わして、街ヒョーベイを私とルシードは旅立った。




  道中、用事や買い出し等の理由が無い限りは他の街や集落に立ち寄るつもりは無い。


「だって、立ち寄ったら絶対にトラブルに巻き込まれるって。それをイチイチ解決していたら、何時まで立ってもキョウスティンに辿り着かないよ」

「何時もお前が言っているお約束という奴か?」

「そう。お約束ってものよ」


  話としては巻き込まれるのは面白いんだけどね。なるべく急いで来てねって言われているのに到着したのが一年後じゃ、流石に申し訳ないでしょ。文句言われるのが私達だけなら良いけど、ヒョーベイやジゼルさんにまで及ぶかもしれないしね。

 街ヒョーベイを出てから暫く道を歩き、程なくしてからサテラ君に乗って空の旅に移行する予定だ。本当は、景色の良い所だけ歩こうとも思ってたんだけどね……


「これで全部だな。いくぞ、アーリィ」

「本当に強いね、ルシードは」


  少し歩いて直ぐに出てきたのは魔物のコボルドが数匹。良く見れば愛嬌ある犬顔をしているし、もふもふ体毛はちょっと興味をそそられる。が、手に持っているのは血の跡がこびり付いたナイフや槍を持っている。恐らく捨てられたものを拾って使っているのだろう。唸り声からすると、彼らはゴハンを狩りに出てきたようだ。勿論、ゴハンとは私達の事である。

 コボルドが姿を見せたと同時に、ルシードは剣を抜いて走り出していた。勢いが付いた一撃は体を大きく切り裂き、そのまま倒れる。結局、一匹も逃さずに倒しきってしまった。


「相変わらず魔物が居るな。大人しく盗賊とやり合っていればいいものを」

「魔物はどの道にも出るの?」

「ああ、大抵の道に出てくる。商隊が通る度に掃除されているはずなんだが、尽きたことが無いんだよな」


  まるで確率の設定を間違えたエンカウント方式のようね。レベル上げの為にエンカウント率が高いと嬉しいのだが、リアルで高いとこうも厄介か。仕方なし。歩き旅を諦めて、空の旅に切り替えよう。

 サテラ君に乗る為の装備は、急場凌ぎだった前回より改善したものを用意している。手袋は肘まで覆う長手袋に変更。空を飛ぶので日焼け防止の為に、肌の露出を減らしているのだ。

 そしてちょっとお気に入りの鍔の広い帽子。薄い鉄枠で局所の形を整えているので、重さと引き換えに飛ぶ時の風で形が崩れる事が無いのだ。また、その重さでしっかり被ることができる。鍔の所々に風を逃がす切れ込みを入れているのも一工夫だ。そして何よりも剣の形をしたアクセサリーをぶら下げている。この「剣」を私のスキルで操る事により、どんな突風を受けても絶対に吹っ飛ばないのだ。

 足場は変わらず紐と輪だが、座り易いように小さいサドルを括り付けている。


「じゃ、ルシード。そろそろ良いかな?」

「ああ。周囲に魔物も通行人も居ない」

「おいで、サテラ君!」


  遥か上空よりサテラ君が舞い降りてくる。練習により地面に落とさず、スムーズに私の横にサッと付ける。うみゅ、スマートな登場だ。

 サテラ君自身はまだ何も手を付けていない。研ぎも今は必要ないと思うので、拭きと油塗りで素人ながら綺麗にしてあげた。今度、ジゼルさんに相談して鍛冶屋さんを紹介して貰おう。整備もあるけど、細かい改良もしてみたいしね。


「ささ、ルシード。乗って乗って」

「おう。今回も頼むぞ」


  前回は振り落とされない様に必死ながらも、私にしがみ付くのに照れていたルシードは、もう慣れていたようだ。ちょっと勿体ないな。

 ルシードの恰好はあまり変わっていない。中二病スタイルの皮とベルトは風の強いサテラ君の旅にも強いようだ。ただ、ゴーグルが変わっている所を見ると、それなりに選んでいるようだ。


「じゃ、行くよ! 目指すは世界最大の街キョウスティン!」


  今日の空は適度に雲があり、絶好の空の旅日和だ。あの街で何が待ち受けているか分からないがそれも一興。気楽に参りましょうかね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ