表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮定のアーリィは今日も異世界の空を飛ぶ  作者: 田園風景
呪いの中心カオスゼロ
159/167

第百五十九話 対決!

  呪いの中継地または源流。呪いの淀みが未だ残る白い地、カオスゼロ。

 半ば魔獣と融合したアノンを囲むように、私とルシードとベクト。そしてガリアちゃんとエインとリーオン。

 この窮地に至って、ようやく揃い踏みってわけ。


「ガリアちゃん! 無事だったのね?」

「言ったでしょ? ここでまた会いましょうって」


  あのときと変わらない、生意気な笑顔でガリアちゃんが答えてくれた。

 リーオンも変わらず元気そう。エインの足も、完全に治ってるみたい。


「リーオン。二人をちゃんと見てくれたのね」


  ベクトが声を掛ける。


「ああ! この二人、無茶ばかりするもんだから、何度ヒヤヒヤした事か……けど、この通り、ちゃんと無事に連れて来たぜ!」

「うん……よくやった」


  お? 今のベクトの声、ちょっと優しかったかも?

 これはリーオン、ワンチャンあるんじゃない?

 私達がきゃいきゃいしていると、呆れた声が聞こえてきた。


「威勢よく登場されたと思ったら無駄話ですか? 私には理解できない人達ですね……」


  まぁまぁ、そう急かさない。


「人数揃ったんだから、数押しで倒してあげる!」

「それは何とも身も蓋もない……それに、前回はそれで敗北したのでは?」

「確かに、前は負けたよ?」


  完敗と言える状態だった。

 しかしあの時は、ガリアちゃんと死闘を繰り広げた直後だったし、ガリアちゃんは皇帝が殺されてしまったことで精神状態が非常に乱れていたと言える。

 今は、ある程度疲労があるとはいえ全然いける。何より、みんな落ち着いた状態でアノンと対峙できているのだ。


「だけど、前とは同じにはならない!」


 私たちは、一斉に構えを取る。

 何かを感じたのか、アノンは気を引き締めた様子で構えた。


「行くよ!」

「バーストフレア!」


  いきなりアノンが爆発に包まれる。


「アゲイン・バースト! リピート・バースト!」


 さらに爆発、また爆発!

 ガリアちゃんの連続魔法が、アノンを何度も何度も爆炎の中に沈めていく!


「ガリアちゃん、ちょっとやりすぎでは~?」

「あいつはこれぐらいで死なないわよ! ほら、来るよ!」


  繰り返される爆炎が切り裂かれ、炎の中からアノンがこちらを見据えている。

 煌めく光がガリアちゃんに向けて放たれた!


「は!」


  エインが掌底で飛来した何かを打ち払う。

 煌めいたものは……氷か!


  アノンが飛び出して襲い掛かってくる。

 それを受けたのはリーオンだ。

 魔獣の爪で切り裂かんと振りかざしているが、リーオンが腕を掴んで離さない。

 力比べとなっている。二人を包む空気の熱量が高まり、姿が歪んで見える。

 リーオンの力は魔獣にも匹敵するほど!

 だが、アノンも負けていない。

 力と力が拮抗しているのだ。


「リーオン、そのまま!」


   ベクトが横から飛び込み、アノンの膝裏、脇腹、腕に連続打撃!

 アノンがバランスを崩す、その瞬間


「うぉら!!」


  リーオンが、全力でアノンを投げ飛ばした!

 しかし、アノンは空中でビタッっと静止。狂気的な笑みを浮かべ手を掲げる。


「やらせん!」


  ルシードが高周波ブレードと超振動ナイフを起動し、凄まじい勢いでアノンを斬り付けた。

 一度や二度ではなく、渦のような斬撃の嵐!

 その渦からアノンは飛び出す。

 衣服はズタボロだが、血は流れていない。これでもか!?


  そしてアノンが狙ったのは……私!

 この中で一番容易に落とせる相手と見たのだろう。

 その見立ては間違っていない。

 私は意識をアノンに向ける。


「ぐっ! 何だこのフィールドは?」


  久々の有効活用。

 電磁盾を投影する腕輪だ。

 アノンの今の力なら突破は容易と思うが、アノンが油断したこの一瞬を止める事が出来れば十分!


「サテラ君!」


  近距離からスキルによる、サテラ君全力投擲!

 直撃したアノンが吹き飛ばされ、地に転がる!

 そして……立ち上がったその肩には、はっきりと裂傷。血が流れてる!

 やった、通った……!


「思った以上に……強い」


  アノンは私達を見据える。

 その姿には、慢心の気配が無くなっていた。

 けど負傷を負わせることが出来たのだ。アノンが何をしようと、この調子で倒す所存。


「この場で……貴方達を確実に葬る事にしましょう」

「何を?」


  アノンが指を鳴らすと……周囲から無数の顔が覗き込む。

 無数の目、牙、爪……魔獣とキメラ種の群れが、姿を現した。


「これは?」

「負けそうになったからって、卑怯者だね」

「人数差を逆転させただけですよ。最初にそれを仕掛けたのは、あなた方です」


 指をひと振りするだけで、ズタボロだった服が元通りに。肩の傷も、まるで無かったかのように消える。


「来るぞ!」


  絶望を体現した魔獣とキメラ種の大群が、四方八方から私達を圧し潰すかのように、攻め寄せてくる。

 さて、どうしたものですかね?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ