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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王様のスライム

作者: tie2

「ここは人族の地、魔族の先兵どもを一歩も通すな!」という声が酒場で響いた。この町は人族と魔族の境界に程よく近く、威勢の良い言葉は日常茶飯事だった。私は町を出て、スライムを潰しながら帰路に着いた。残った魔石は魔物に食べられると凶暴化するらしい。仕方なく、いつも拾って帰ることにしている。辺りにはモゾモゾと動くものが彼方此方に見えた。


「いや、こんな土地要らないし」


 百年ほど前、増えすぎたスライムが魔族領を侵し、至る所からクレームが来ていた。スライムは自己分裂して数を増やし、食べるものも排泄物や動植物の死骸、鉱物にまで及んでいた。いろいろ試してはみたがあまり効果はなく、これ以上減らす方法が全く思いつかなかった。頭を抱えていると、人族はスライムを便利に使っているという話を耳にした。そこで、魔族領からスライムを追い出すべく、総力を挙げた。


 魔王城から近い場所では、魔族たちが網や魔法で捕縛し、絶滅に近いほど排除が完了した。領地は広いため、多種多様な魔族たちが協力して追い払った。そして人族との境界までスライムを追い出そうとした時、魔族が攻めてきたと勘違いされた。いやまあ、勘違いされても仕方がないけど。

 やがて勇者と呼ばれる老人が使者として現れ、攻めてくる理由を尋ねてきた。私は隠すことなく、スライムが増えすぎて追い出そうとしたと謝罪した。


 老人は人族は魔族よりも弱いと言い、スライムをけしかけるだけでも大変だと教えてくれた。知らなかった。その老人は物分かりが良く、スライムには困ったものだと笑い合い、詫びにいくつか約束して丁重に送り返した。しかし、魔族に見送られる老人を、魔族だと思い込んだ兵士が弓で射た。当たりどころが悪く、老人はそのまま息を引き取り、怒った魔族はその兵士を殴り殺してしまった。これが人魔大戦の始まりである。ふざけんな。


 その後、数十年に一度ぐらいの間隔で、若い人族が勇者を名乗り攻めてきた。魔族は魔物を狩る、朴訥で口が達者じゃない種族だ。それを吼えた、威嚇したとして殺そうとする。本当に意味不明な蛮族だ。かと言って、殺し返すわけにもいかない。あの老人との約束で、できるだけ追い返すようにしている。運が悪くなければ勇者は魔王城まで辿り着ける。舗装された道だからだ。あまり使ってくれないけど。


 辿り着いた勇者をどう追い返そうか? スライムが原因で起こった戦争なので、スライムに相手してもらうことにした。私及び魔王城に住む者たちはスライムを便利に使っている。魔力を与えて育成すれば影武者になるからだ。こうして酒を飲んで帰っても怒られない。

 明日は勇者がやってくる。サイクロプスが育てたスライムを倒した見どころのある奴だ。私の子飼い最強のエンシェントスライムをぶつけてみようかしら?

【作者からのお願い】

読んでいただいた後に、本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価をお願いします!

他の方の目に留まれば尚嬉しいです。


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