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小学四年生の創造主たち  作者: なぎさ翔
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004世界の創生(土地と空間)

「川だ!すげぇ!」レオは意気揚々と言い、走って川の方へ向かった。もちろん僕もその後を追いかけていった。


「今さっきまでなかったよね??」僕はレオに聞いた。ありえない事が起こったのは分かっていた。けれど、今この様な場所にいる事がすでに摩訶不思議な事象だ。もはや少しの事では驚かない。そう思っていた。


「うん。さっきまでなかったよ」レオは答える様に言った。だがどこか僕は諭されたような気持になった。

「コップがあったら飲めるのにな~」レオは言った。


「確かに!!」僕もコップが欲しいと思った。すると、僕たちの前に突然、透明の片手で持てるぐらいのコップが1つ現れた。


「え?」自然と僕の口から洩れた。息の抜けるような。心から湧き出た言葉であった。

レオはそのコップで何の躊躇もなく川の水を汲んだ。


「ゆうと、ほら」レオは僕の前に水の入ったコップを持ってきた。


僕は困惑しながら。けれど秩序の無いこの世界にどこか万能的な安心感を感じながら自分の心のおかしな


矛盾を理解した。


僕「ありがとう」

レオ「大丈夫?」

僕「うん。大丈夫だよ」


木々の無い、白一辺倒の世界に現れた川上下の見えぬ小川のほとりでこんなやり取りを交わした。


レオが僕の口の付けたコップで水を飲んだ頃、何かのベールの剥がれたように空が晴れた。そして、周囲に海が広がった。

パァっと明るくなって、心も晴れたような気がした。そこで僕は、この世界に来て2度目の大きな衝撃を受けた。はじめは白一辺倒の世界に来たとたん聞きなじみのない、だが同情できる声が頭の中に飛び込んできた時。二つ目は今。初めて見たはずのこの風景。いや確かに今初めて見た風景がなぜか心に留まり、何とも言えぬ懐かしい気持ちを呼び起こしたことだ。


子供の頃の写真を見て、自分がその写真を取られた時の記憶の中に浸っている時のような。懐かしくて、どっぷり浸かるそんな気持ちを呼び起こした。


だが、それと違うのは、これは過去の記憶ではなくて、今作り上げられている記憶である点だ。だから、正確に言えば昔の事を思い出しているのではなくて、今、体験しているこの時を懐かしんでいるのだ。


「ふふ」レオがとても親しみを込めたまるで母親のような優しい笑みを僕にかけた。

僕はどこか心のくすぐられるような、心地よい気持ちになった。


僕は何気なく地面の持ちあがるような想像をしながら手刀を下に向けて切った。

すると水が空に向かって勢いよく吹き上げて、水しぶきが滝のような舞った。広い海の地面が次第に海面に出てきた。まるで時間が早送りになっている様に草が生え、それが枯れて、木が生えて、土が出来て、どんどんと盛り上がっていった。大体ビルの4階ぐらいの高さの山が真ん中にできると、それが止まり、周囲を眼下一杯に見下ろせるぐらいの島で出来た。


なぜだろうか。川を望んだ時の様に特段の理由があったわけではない。ただのっぱらに寝ころびたいなと考えた矢先の出来事であった。レオも驚いた表情であった。もちろん僕も驚いた。


「島が出来た,,,」僕は驚きながらも、思い通りになるこの世界にどこか面白さを感じつつ言った。


後に名付けられるこの島は、サルーザニア島と言う。

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