ダークエルフのメイド
「貴女、ダークエルフね。 ちょっと、外で内密に話がしたいんだけどいいかしら?」
ただでさえ訳の分からない状況――知った世界から数年たっている上に半分荒れ果てた城内。 とりあえず、掃除と整理とかしないといけないであろうメイドはビクッと震えた。
いきなり正体不明のエルフの魔女っ子が話しかけてきたのである。 まあ無理はないのかもしれない。 腕をつかんで暗がりへと引き釣りこむ、抵抗されるけど、これでも冒険者だ。
流石にメイドとに引っ張り合いには負ける気はしない。
「なんですか? 貴女は!? ここはレギルランド城玉座の間、くせ者だったら、容赦はしませんっよ!」
威嚇してくるダークエルフの声は震えていた。
おかしい、私はそんなに怖い容姿はしてないはずなんだけど。
まあ、状況が状況だし、どっちにしてもこれから聞いてもらうお願いは、あまり心穏やかな内容でもないし。
「あの、私魔女メルフィっていうものなんですけど、知ってます?」
「たしか、勇者のパーティに入ったばかりの賢者の一番弟子?」
「そう、私がそのメルフィなの、ちょっと事情があって、貴女には私の影武者をしてほしいんだ?」
「貴女どう見てもエンシェント・エルフじゃない? メルフィは確か人間だって聞いてるわよ。 嘘はよしてください!?」
「これが嘘じゃないんだな、いいですか、魔女メルフィ様はとても怖いお方なんですよ?」
脅しの現場とは言えそう堂々と言われると、なんか腹が立たないでもないが黙って聞き流す。
「これがその証拠です」
ダークエルフの彼女が、リディアに手渡された紙切れを見た青ざめる。
禁断の魔女・メルフィ――賞金1億、人相書き入り――
「イヤー、殺される――! 誰か助けて、むぐっ!?」
「おとなしく言うことを聞かないと、貴女に禁書による呪いをかけます。 いいですか!?」
「分かりました。 何でも言うことを聞きます。 ですから呪わないで」
「今、何でもっていったね!」
ビクッと、そのエルフは反応した。 ここまで脅す必要はないのだけど、反応を見るのが面白かったもので……つい。
「じゃあ、貴女はこれから、厄災の魔女メルティーナ、まあ言っちゃうと私の影武者ね。
そういってデスガイズを倒した新生魔女、厄災の・メルティーナ(この場で、私とエステルの容姿を合わせて、色々いじってそれっぽいのを作った。)
――の姿を映し出す。
ミラーリング(現し身)の魔術だ。
「あのー、私にはエステルという名前が、ありまして?」
「何でもっていったよね?」
「ヒィ、分かりました、今日から私は厄災の魔女メルティーナとして生きます。
お母様ごめんなさい。よよよ」
こうして、メイドのエステルを仲間にした。
彼女は立場こそメイドだが、その美貌は美しく、新生メルティーナ城を統括する上流階級のエルフとしての風貌を備えている。 美しく長いロングストレートの黒髪は私とは対照的にいかにも、魔王様といった感じだった。
瞳はダークブラックで鏡面のように相手を映し出す。
体型こそ小さいものの艶やかな容姿は、魔王としては相応しいだろう。
もちろん彼女にはメイドとしての私生活もあるため、普段は姿形をミラーリングで変えてもらうことになる。
「で、エステル貴女、魔術は使える?」
エルフという種族は弓や、魔法を得意とする物が多い。 魔王代行なのだから少しは戦えた方が都合が良い。
「えーっと、蝋燭をつけるための炎の魔術が少し」
といって、彼女は、小さな火球を作り出した。
が――しょぼい。
ほんとに蝋燭しかつけれないような出力だ。魔力も最低ランクのGクラス。
とても戦えそうには見えない。
「まあ、いいわ、ここに、デスガイズの次にのさばってる。魔王の配下って誰?」
それなら、魔王代行のフェルデナント様が、いつもバルコニーでワインを傾けていますが?
「よし、そいつを倒そう!」
節目を戦闘シーンにして区切る。スローライフ系で行こうとしたのですが、
戦闘メインで行くとスローライフ系とは言わないらしい? 今後色々スローライフシーン入れているのですが、苦手ながら、戦闘シーンがちょくちょく入るので、ふれ敵には別物なんだそうです?