古城奪還
私は図星を指されて、戸惑った。
私は生まれてこの方、人間として生きてきたし、割と箱入りだった。
エルフの友達と言えばロベリアがいたけど、基本的に亜人達とは深い交流を持っていなかったせいか、良いイメージがない。
この女以外に切れ者かも知れない? 天才である私の思考を読むなんて。
「ズバリ言いましょう、魔女様こう考えていますね。 不細工な亜人なんて人間じゃないって。
それは確かにそう思う人もいますが、彼らは見た目こそモンスターですが人の言葉を理解します。
今は禁書の障壁があるので、中に閉じ込められる形でほぼ出入り禁止ですが、魔女様が魔道濃霧をとりはらいデーモン達を手なずければ一躍女王様をなのれますよ。
「なにそれ、それって、新たな魔王の誕生祭でもやろうっての!?
私はいやよ、普通の魔女として生きていきたい。 禁断の魔女として、魔王城(配下)に君臨する。 亜人の王。
まあ、私だって、エルフなんだけどさ、流石に吐き気が………
大丈夫です。あそこは、元魔王の植民地ですがその前は、レギルランドという普通の国だったのですよ。 強制収容所にいられている人間も助け出せば一気に町も活気づきませよ。
「ふーむ、確かに人間がいるなら考えなくもない話だった。 強制収容所送りになった人間に再び人権を与え、亜人達を生活させれば一気に一大居住区だ。
とりあえずデーモンと亜人だけの生活からは解放される」
ダークエルフの女王として名前を変えて暮らすのも悪くない――のかもれない?
ということは、まずはスローライフね今流行ってるヤツね。
脱獄生活からの脱出の糸口が見え始めたことで少し元気が出た。
禁断の魔女とか言う不名誉な二つ名もすてて、ダークエルフ・メルティーナ(仮)を名乗るのも悪くない選択かもしれない? 勇者様とは一生かかっても再会不可能になるだろうけど………
魔道城塞都市――デスガイズ城――
かつてはレギルランド都呼ばれる人間の国家だったらしい。
それがここ数年での魔王軍に進軍で、魔王領の拡大に伴い魔王の植民地となった城塞都市だった。
昔は資源豊富で人口も多く発展した都市だったと聞いてはいるものの、今はその面影はない。 今や、デーモンの徘徊する、荒野、廃墟城としかいえない。
本当にこんなところで生活できるんだろうか?
一抹の不安を覚える物の、ここ以外ではもはや逃亡犯である。
なんとしてでも、新たな安全な生活場所を手に入れなければならない。
何はともあれ、まずはアークデーモンと魔障だ。 この城は闇に満ちている。
勝手知ったるなんとやらというわけでもないけど、魔物のいない隠し通路を通って玉座の魔から工房のある地下室へと向かう。
豪奢な大扉を開けて封印の間へと踏み込む。
かつて私が禁書の実験を失敗して、作り出してしまった。 文字通り魔界の起点となる場所だ。 地脈の中心であり。
無尽蔵に魔物を召喚できる魔力炉心に成り果てている。
今は魔力の供給元出会ったネクロノミコンがなくなったことで活動を停止しているけど、
また、禁書の力で魔物を無尽蔵に増やしてしまうと後がやっかいだ。
ってことで、今度こそ禁書の力で、完全にこの力場を制御してしまおうというわけだ。
うまくいけば、アークデーモン達は私の支配下置くことができ、魔障の影響下にある。亜人達も正気を取り戻すだろう。
後は強制収容所の人間達を解放して、元の城塞都市レギルランド時代の統治を復活させれば、ある程度の機能は復活するだろぅ。
もちろんぐちゃぐちゃになっている側面は否めないので、かなりの復興作業が必要になるだろうけど、そこは私がなんとかするといわけね。
「大丈夫ですか、魔女様? 魔女様は既に二回禁書の制御を失敗していますよね?
二度あることは三度あるとかになりませんか?
いやですよ、二人まとめてデーモンのおやつだなんてね」
ずっとついてきているリディアが私の過去の失敗を責めてくる。
確かにここで失敗してしまえば、デーモンから逃げるので手一杯になる可能性はある?
何せ、禁書の操作には大規模生力が必要になるために、失敗はできない。
まあ、そのときはリディアが私を担いででも逃げることになるとは思うので、一応保険はきく。
とは言えまあ、ここで失敗してしまえば後はないのは確かだった。
手に持つ禁書に魔力を集中する。
『誓いをこの手に、我は盟約の王女となる者、この悪しき古城を平定する者なり、
盟約につらなる魔族達よ、我にひれ伏せ! 闇の軍勢!」
底冷えのする魔力が漂ってくる。
私の魔力に反発する意思――それはこの地に住まう最強の魔の眷属――デスガイズ(死霊)だ。 既に勇者に敗れたそれは、元の形をなしてはいない。 闇の集合体。
ドロドロのペーストとなった黒い死体だ。
それは今はもう単純な復讐心の塊となって、私へと襲いかかってくる。
『我を生き返らせよ、魔女よ。 貴様ごときがこの城の主都は片腹痛いわ!
命をよこせ! その身体我が物としてくれよう。 喰わせろ――!』
既にまともな思考回路すらないであろう。 ドロドロの闇の塊が吠える。
だが、妄執と成り果てた魔王の側近その力は絶大であり、油断して良い相手ではない。
「あわわわわ、 魔女様、これ大丈夫なんですか? 魔女様が負けると私もまずいですよ?
なんとかしてくださいね。 絶体絶命じゃないですか!?」
「フフ、Sランク魔女・メルフィがこの程度の相手に、遅れをとる物ですか?
いいでしょう。 とくと見なさい、秒殺してあげます――!」
「ネクロマンシー(呪術召喚)・前衛召喚――!」
地鳴りとともに現れたのは、高位の騎士型アンデット・ダークナイト3匹だ。
私は元々召喚能力は持っていないのだけど、ネクロノミコンを使えば、この程度の使い魔は瞬時に生み出すことができる。
打たれ弱い魔女として単身で戦うのは不利―― 前衛を呼び出すことで時間を稼ぎ、
一撃で決着をつける作戦だ。
とはいっても、相手は魔王の側近、たかだかダークナイト3体ではそう長くは持たないだろう。
その間に、息をつかせず詠唱を開始する。
『銀色の手に満ちる魔力の渦よ、我が力を示せ、顕現せよ。 スターライト・スピアーズ(顕現せし銀河の槍)
そこだ――! いけ――!
放流する魔力の槍は、光速で、デスガイズを貫いた。
神聖属性の槍を、身体の中心に受けて無事で済む訳もなく、怨念を残して霧散した。
高位魔術を使用するのには大分時間がかかった物の、作り出した光の槍は相手を一撃で屠った。
いきなり城取りとかやってたら、後々書くことに困るのではとか色々フレンドに言われましたが、
スローライフ系って、呼んだ数は多くないけど、城から始まる者はほぼない?
まあ、私は、年密な計画や、地図を考えるのは苦手とするので、結構勢いで書いてる節があります。
畑のどこをどうしたー溶かそういうのは苦手ですね。 この小説書くのにずいぶんエネルギー費やしたのはスローライフ系お話が苦手なためだったりします。
まあ、ビューがどうやっても伸びないとかならない限りは書いていきます。
ついでに12時頃はみんな何かしらで忙しそうなので、11時にずらしてみます?