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油断

 彼女はこちらが召喚魔法に関してEXランクに達していることはまだ知らない。

 ならば、つけいる隙はそこしかない。

 確実に勝てる方法があるとすれば、相手の知らない切り札を使うことだろう?


 ロベリアは結界を突破するのに時間をかかるとみるや、戦闘スタイルを切り替え腰に備えた短剣へとてを伸ばす。2対の短剣、彼女の部族に伝わるという宝剣――風陽、陰水だ。

 緑と、青の対となる宝剣。それで接近戦を行う彼女の攻撃はまさにブレイドダンス(剣の舞)だった。 暴風と、濁流、二つの属性を持つ衝撃波が結界を軋ませる。


 まだ切り札を着るわけにはいかない。

 再び結界を強化する――


 修復した結界はだが、すぐにひびが入っていく、攻撃は激しくあまり持ちそうもない。

 切り札を切るか? だけども、禁書による魔術は、ロベリアにとっては好ましい者ではないだろう?

 裏をかくには相手の知らない魔術で一気にたたみかけるべきだけど、そもそも勝つ必要があるのか? ロベリアが私を殺すの?


 脳裏によぎった疑問がわずかな隙を作る。 一筋の亀裂が入った箇所を宝剣による刺突。

 必殺の一撃が乗った――それは結界を突き破り、私の肩口を突き刺した。


「あっ、痛っ――!」


 わずかな戸惑いが勝負に決着をつけた。 まずい痛みと恐怖で、体が動かない。

 今の一撃には迷いがなかった――本気で殺される。


 何とかしようとしたが、頭が混乱して体がうまく動かなかった。

 これはまずい――このままでは本当に!?


 瞬間追撃体勢に入っていたロベリアが後ずさった。

 よく見ればロベリアの背後にはリディアが立っていた。


「どうします? コイツ殺しますか、魔女様?」


「やめて、お願い――殺さないで!?」


 混乱した頭でそう一言口にすると、リディアは、わずかに力を抜き、精密にロベリアの心臓部にナイフをあてがった。


 その顔刃どこか納得一定なさそうだったが、私が易々と敗れたのことで、何かしらの因縁を感じたのだろう? かなり前からその場で、出るタイミングを伺っていたに違いない。

 勝利を確信したときこそ、最大の隙は生まれる。 ロベリアは私に勝ち誇ったときに、好きを作ったのだろう。


 そこにリディアに付け入る隙を与えたに違いない。


「武器を捨ててもらおうか?」


 殺気立っているリディアは別人のように鋭い声でそう言い放つ。


「仕方がありませんね」


 ロベリアが武器を捨てると、リディアが彼女の腕を拘束していく。


先日初めて誤字報告というものがありました。 修正してくれた個所は簡単に治せるので助かりました。

 ありがとうございます それはともかく、金曜日に予定が入るので、更新をいつ行うかが問題になりそうです。

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