レンリと、フェイ
よし、ここはレンリが勝てるように裏工作を――とおもったところで、周囲から視線を感じた。 そういえば、何故勇者PTの彼がここにいるんだろう?
誰かの差し金かな、イヤイヤ……
私がここにいることは、王国の大臣ぐらいしか知らないはず?
ならば彼は大臣に差し向けられた刺客――答えはノーである。
魔獣殺しフェイが、人望が微妙と言える大臣の手下になるとは思えなかった。
私は視線をの先を警戒しながらその場を離れる。
誰だ?―― 路地裏に出たところでローブの人物が待っていたお約束の待ち伏せだった。
レンリは、目の前の敵の目的を探考えてみたが、ただの賞金稼ぎとは違うと検討をつけていた。 ならなんだ。 勇者PTが狙うほどの相手? 考えてみると自分はノーである。
先程の、フェイの見下した視線は相手がターゲット出ないことを物語っていた。では誰だと言うんだ?
レンリは言うほど、勇者PTについて詳しいわけではなかった。英智の魔女メルフィに感することも知らない。
知っていればあるいは、自分を倒した少女の正体に気づいたかもしれないが、彼には興味ながない話だったのだ。
『見当は付かねえが、今この場を乗り切らないとまずいな。
気配を探れば、よく知る知り合いが4人、メルフィ、エステル、リディア、が観客に紛れ込んでいることに気づく。
特にリディアはいつでも割っては入れるといった体で、殺気立っていた。
――冗談じゃねえ。せっかくの決闘を邪魔されてたまるか。
問題は後の二人だった。エステルは戦闘能力はないので、ここはスルー。
メルフィの姿がいつからか見当たらなかった。
ちっ、標的はそっちかよ。この場にいない相手に向かって毒づく。
だがもちろん返答はない。
リディアに合図を送る。手話などできない、ヤツは読心術の類いを会得してそうなので何か適当に合図を送ることはできないか?
メルフィのいた方向に向かってフェイから見えないように注意を向けると、リディアはそちらに移動した。
後はリディアの仕事になるだろう?
俺の仕事は、フェイの注意を引く、もしくは足止めすることだった。
別に倒してしまってもかまわねえんだがな?
レンリは刀を抜く――ただの刀ではない魔剣だ。
抜刀術も使えなくはないが、今回はスピードで、勝てる相手かどうか?
勝負の基本は相性だ。
相手はどう見てもスピードと、力に訴えてくるタイプである。 こちらも一撃にかけるのはある意味では面白いが、愚策と言えた。
己のクラスはフェンサー決してスピードで劣っているとは思わないが、
一撃で倒れては役目が果たせなくなってしまう。
ならば――隙をうかがってカウンターで決める!
戦いは簡単には終わらなかった。 長期戦を望んだレンリの為である。
一合、二合と激突は続き――唐突にフェイが足を止める。
「貴様本気で戦っていないな!? 何故呪いを使わない?」
「はっ、あれはこんな人前で使っていい物じゃねえな!
アンタこそ様子見するタイプじゃねえんだろ?
どうだ。本気でかかって来てかまわないんだぜ!」
「見栄を張るな。互いに本気で戦えば、双方ただではすまんな。
これはそういう戦いだ。
持久戦を狙っているな。ワシの耐久力の低さに目をつけたか?
回りくどい――何を狙っている?」
「そっちこそ何が狙いだ! 何が目的でここまで来た!?」
魔獣殺しと、鍛冶師のたたかいはつづく。
だいぶん戦闘的な話へと切り替わってきました。 どちらがいいのかはわからないのですが、適度に日常シーンとやりくりしていきたいなあとは思ってはいます。




