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悪役令嬢とは

「いらっしゃい。 メルティーナ様のより預かった、ご奉仕獣鍋だよ――!」


「わーい、おいしそうです――!? いただきますね――!」


 とかいってるメルティーなの格好をしたエステルを尻目に、配給していく。


 メルティーナ様はもちろんセルフです。何せ元はメイドですしね。


 太陽が最も高く時間――正午に、炊き出しテントはそれなりに賑わいを見せていた。


 が思ったほどの勢いがない。

 人間を中心に普段か飢えている者達は、我先にと集まる。


 だが、亜人を中心とした元魔王の部下達――元デスガイズの部下で、現フェルディナントの部下達はメルティーナがやることが気に入らないらしく、悪の女幹部だとか、悪役令嬢でどこどこの出身の性悪だとか、あることないこと、噂を色々と立てているのだった。


 まあ、実際エステルは悪役の元令嬢、何せ魔王ですから……

昼に大いに賑わいを見せるテントに、顔を出したのは鍛冶屋で働くレンリだった。


「げっ、イヤなやつに顔合わせちまったな」


 昨日妙な雰囲気で別れることになった私に対する愚痴かと、思いきや彼の視線の先にいるのは、メルティーナに扮装したエステルの方だった。


 その顔は本気でイヤそうだった。


「ククク、よくぞ魔剣鍛治氏レンリよ、先日は妾をほったらかしたあげくに、一般市民にお遅れをとる始末。 魔剣士が聞いてあきれるぞ!


 妾自ら引導を渡してやれぬ事は残念というほかないが軍門に降るならば、貴様を配下だと認めようぞ」


「うっせい、俺はただ、ただで飯を食えると聞いてきただけだ! そういえば、あんたとは一度も戦ったことがないな。 ここで白黒はっきりつけるか!?」


「抜かせ、すでにその身は我が下僕よ、契約の証を忘れたわけではあるまい。 これを見るが良い。 呪いの契約書よ――、この存在を忘れたとは言わせぬぞ。ククク」


 その契約書を突きつけられた瞬間、レンリがそれまでの勢いを忘れたかのように縮こまった。


「くっ、正々堂々勝負しろ、卑怯だぞ!」


 言葉こそ堂々としているが、その様はすでに猫ににらまれたネズミのように勢いがない。

 何せ、私が用意した呪いの契約書だ。彼はすでにそれにサインしてしまっている。


 私よりは契約者はエステルになるのだが、そこまでは、彼は理解していない。

 ただ、ただのGランク、ダークエルフにすぎないエステルに対して、相当な重圧を受けているのは想像が難しくない。


 彼がメルティーナと認識する相手もしくはエステルには絶対に逆らえないバットステータスが彼にはかかっている。


 さすが女王様…… 我がことながら怖い。


 エステルが悪役令嬢もさながらの振る舞いをするために、メッキながら彼女を恐れる者もいると聞く!?


前後書きはヴァルハラの方でふれているので、こっちは手抜きです。

主に近況ですが。 まあ、休載ごめんなさい。

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