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メンヘラ勇者と賢者の道  作者: やすじろう
7/13

7話 勇者だけど…なんとなく毎日不安で辛い

僕の名前はカイト、

戦士である。


僕達は船で海峡を越え、失われた街レムナンへと向かう。交通の要所で、かつては商業都市と呼ばれていたが、先の魔物大戦で、完全に滅びてしまった。

その後再興を妨げるかのように凶悪なモンスターが住み着いた。


レッドドラゴン


貪欲の象徴。炎の化身。

そのレッドドラゴン討伐が今回の冒険のメインミッションなのだ。


船を降りた僕達は、伝説の武器と、魔法のアイテムを手に入れるため、岩山の神殿へと向かっている。

モンスターと戦いながら……


「まったく、本当にお前はいつまで立っても成長しねえなあ。」


「はい、すいません。」


というわけで、またリーダーに怒られているところだ。

ガーゴイルとの戦闘でちょっとしたへまを……

今回はささいなことで、すぐに話は終わったんだけど。何でいつもこうなんだろう…


戦闘後の休憩時間のキャンプ地で、あたりを眺める。

緑が少なく、荒れ果てた大地。いつまたモンスターに襲われてもおかしくない。


そうだ武器の手入れをしないと。

荷物を広げるが何もやる気がおきない。


もう戦士なんかやめたいなあ、

でも他に行くあてなんてないし。辞めてなにができるんだろう。

毎日戦闘して、食事して寝ての繰り返し。

こんな事ならもっとなにか、別の事を身につけておけばよかった。

今更実家にも帰れないし、だいたい戦士なんてなりたくてなったわけでもないし。


「こんにちは。どうしたの。」

後ろからの声、ケンジさんだった。


「はい、ケンジさん、何でもないです。」


「深刻そうな感じだったけど。」


「今回はほんとに、何でもないんですよ。

ただちょっと、考え事というか。」


「少し話してみてよ。」


考えを話した、少しかっこつけて……


「ふむ、なるほどね。

誰でも不安になることはあるよ。前にも話したけど、不安になることは必ずしも悪いことではないんだ。

ただ作業が手につかないほどだと問題かもね。」


そういうとケンジさんはガラスの板を取り出し、表面に指を滑らせる。秘密のアイテム、賢者の道だ。異世界の叡智をまとめた本のようなものだと思っている。ケンジさんは詳しく教えてくれないのだ。なにか重大な秘密だとかで。


「カイトはイマジネーションが豊かすぎるんじゃないかな。昨日の失敗が気になる。明日も失敗しそうな気がする。

過去や未来のことを考えるのも大事だけど、

もう少し今のことも考えないと。」


「はあ、今ですか。」


「というわけで、賢者の道はカイトに瞑想をすすめている。」


「うーん、瞑想ですか…」


「やったことあるかい?」


「ないです、戦士ですから。」


「戦士だって瞑想していいんだよ。

やりかたは簡単。背筋を伸ばして座ってみて。」


「はい。」


座ってみる。


「背筋をもっと伸ばして。

おなかを突き出すような感じで。肩の力はぬいて。

姿勢ひとつで効果がだいぶ違うんだ。

そうだ後この指輪をつけてみて。」


「はあ、こうですか。」


指輪をはめてみる。

貝殻みたいな素材でできているのかな。

すべすべしている。


「そうだね、あとは自分の呼吸に意識を向けるんだよ。」


「呼吸ですか。」


「そう、自然に呼吸をして。息が自分の体に入ってから出て行くことをただ眺めるんだ。」


しばらく続けてみる、

うーん

こんなことをして何になるんだろう。

もっとやらなくちゃいけないことがあるんじゃないだろうか。

例えば……


「おっと、意識がそれているね。

意識がそれたら呼吸に戻すんだ。」


「はい…」


呼吸に意識っと。

なんでわかったんだろう。

この指輪と関係があるのだろうか。


「これは魔法の指輪で、つけている人の精神状態がわかる。」


「ええ、そうですか。」

少し怖い…


「過去も未来も、今は置いておこう。

呼吸している今の自分だけに注目して。」


「はい。」


「意識がそれたね、意識がそれたら、

呼吸に意識を戻すんだ。」


「はい、すいません。」


「意識がそれることは悪いことではないよ。

それに気が付いて、自然に意識を戻す事に目を向けてみよう。

続けていくとカイトの意識に変化が起きるのさ。」


「そうですか。」


「そうさ、剣をふれば振るだけ腕があがるだろう。

それと同じようなものだ。

10分ぐらいつづけて見よう。」


「はい。」


・・・・


「やってみてどう。」


「あまり、なんとも。少し落ち着いたかも。」


「そうだね、すぐに効果が出るものでもないからね。

一日10分から15分ぐらい毎日続けてみるように、とのことさ。」


「はい、できるかな。」


「集中力が上がったり、落ち込み感が減る人が多い。あまり効果が出ない人もいるみたいだから、あんまり過信しないでね、との賢者の道の注意だよ。」


「あの…精神力って上がるんですかね。精神力が足りなくて使えない技が使えるようになったりとか。」


「そうだなあ、集中力があがる効果もあるから、精神力にも影響はあるかもね。」


「そうですか、まあ今より悪くなることはないでしょうし…」


「そのぐらいの気持ちで続けるといいよ。すぐに効果が、出るものではないから、あまり期待しすぎると続かないからね。好きにならなくていいんだ、ただ続けるのさ。」


「はい、深いような、なげやりなような…」


精神力が上がったら……

憧れていたあの技を……

ギガブレイク……


まあいいか、それより今を意識だ。

そう思いあたりを見渡す。


今日は、こんなにいい天気だったんだな。気が付かなかったよ。


遠くに山々がみえる。

雄大な自然。

少し吹く風も、ここち良い。

しばらく瞑想は続けてみようかと思うのであった。

今後の参考に、評価いただけると幸いです。

よろしくお願いします。

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