41. Place: 伯爵邸 閑話 僕が初めて魔道具を作った日の話
Time: 日暮れ頃
気がついたら僕は屋敷に帰ってきていた。
疲れて眠ってしまったのか。きっと兄様が運んでくれたんだ。
「失礼します兄様、ありがとうございました。」
「ああ、今日は疲れただろう。気にしなくていい。」
(((『誰か何と言おうと世界一の弟だ。』)))
「はい、兄様...。ありがとうございました。」
兄様は覚えているかな。あの日のこと...。
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初めて魔道具を作った日、それは僕の能力が発現した日だった。
母様はその頃、具合が悪くて屋敷に篭りがちだった。
僕は早く元気になって欲しくて、外のきれいな景色を見せたくて...、そんなことを考えていたら手の中に不思議な物体が現れていた。
それは僕が初めて作った魔道具だった。
僕はなぜか使い方を知っており、魔道具を手に母様の部屋に駆け込んだ。
「母様!見てください!今日はお庭の薔薇が美しく咲いていたんです!」
そう言って僕は魔道具に魔力を流し込んだ。
そうすると魔道具が光だし、庭の花々を写し出した映像が浮かび上がった。
「美しいわ...。これはいったい...。」
「僕が作りました、母様にきれいな景色を見ていただきたくて...。」
「そうなの...。ルカ、ありがとう。こんなに美しいものを頂いたのは生まれて初めてよ。早く元気にならないとね。」
「...母様!よかったです!」
あとから聞いた話なのだが、この時母様は薔薇と景色への感想半分、魔道具への感想半分、そして早く元気にならないとねには、早く元気になってこの魔道具を解明しないとという意味が込められていたらしい。母様ブレないですね。
僕は母様が喜んでくれたことが何よりも嬉しかった。しかし、同時に僕の能力は武家として、相応しくないと思ってしまった。
そこへ兄様がやってきた。
「ルカ、聞いたぞ、能力が発現したんだってな。ルカからプレゼントを貰ったと母上が屋敷中の者に言っていたぞ。」
「兄様...。」
「さすがはルカだ。お前はやっぱり世界一の弟だな。兄様はお前の兄様であることを誇らしく思うよ。」
兄様のその言葉で僕の不安は吹き飛んでしまった。
兄様はどんな時も僕を自慢だと、世界一だと言ってくれた。
僕の自慢の兄様が、僕のことを自慢だと言ってくれた。
だから僕は勉強も修行も一生懸命頑張った。
辛くても頑張れた。
周りから何と言われても僕は僕に自信を持てたんだ。
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「ねえ兄様。僕もね、兄様が世界一だと思ってるんですよ。」
「そうか、嬉しいな。だか僕の方がルカを世界一だと思ってる時間は長いな。何せルカが生まれた時からだからな。」
「ふふっ兄様、こういう時は競わなくていいんです」
「フッ、そうだな。...夕食まで時間がある。薔薇でも見に行こうか。」
「はい!」
あの日から、我が家にとって、兄様と僕にとって薔薇はとても大切なものになった。
今日は花束でも作って母上と父上に渡すか、なんて言って兄様は笑った。
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ルカの能力発現の翌日、ホーラー家
「エイル!エイル!見てください!ルカが、ルカが私にプレゼントを〜〜〜っ」
「あら泣かないでミネルヴァ、体調は...大丈夫そうね。まあ美しい薔薇、これはあなたのお屋敷のお庭ね?すごいわ、離れていれも見られるのね」
「ええ、こんなに美しい魔道具初めて見たわ!」
「あなたはブレないわね、でもそういうところもあなたらしくて好きよ」
マザーズも仲良しです。
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今世紀最大の発明と言われる映像魔道具、実はルカが生み出したものです。
母様の能力は『解析』魔力を込めて触れたものを解析できる能力です。the研究者。
これにより、ルカのとんでも魔道具を簡略化、製造可能にしました。(創造と製造は次元が違います)
きっかけはオリビアママが欲しいと言ったからとか何とか。
現在の魔道具のグレードアップや、新魔道具開発などは、ルカのおかげも大きいです。今は母様の名義にしています。
母様が今取り組んでいるのは瞬間移動魔道具の簡略化、製造です。




