30. Place: 侯爵邸 続・俺の試練
Time: 夕暮れ
続・ミカエル視点です。
俺は侯爵邸までの道のりでなんとなくの事情を理解した。
要するにエドワードと姫さんが幸せになるための手伝いということだろう。
俺はエドワードに命の危機を救われたことがあり、大きな借りがある。
人生を救うという意味で等価交換だとあいつは言ってきた。
正直、割りに合わない、俺が受けた恩はこんなんじゃ足りないと思っていた。
...が、とんだ計算違い。
充分とんでもなく大変で深刻な話だった。
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今は侯爵邸の応接間。久々に来たな。
正面には侯爵。
こちら側にはエドワード、姫さん、俺、ヒルデ。
なんでヒルデがいるかと言うと、俺が提案したからだ。
相手はソレイユ、ならこちらにもソレイユの人間がいた方が見張りやすい。
格段に行動を把握しやすくなり、姫さんをより遠ざけることが出来るだろう。
それにヒルデはあれでも次期ヴァルキリー候補筆頭だ。
一応特別な力を持つらしいドローレス嬢の側に居ても、アドバイスのため、とか、実力者として先生にドローレス嬢の指導を頼まれた、とか。建前は作れる。
それにヒルデも姫さんのことをとても大切に思っている。
エドワードも姫さんも納得したようで、すぐにヒルデを捕まえにいった。
ヒルデは今も臆した様子は見られない。
悔しいわけではないが、こいつの方が何も知らないくせになんだこの落ち着きっぷりは。
別に負けたなんて思ってない。
ー「お時間をとっていただき、ありがとうございます。ご覧の通り、ミカエル、そしてこちらはヒルデ・ヴラーブ嬢。この2人には事情を話し協力者になってもらうことにしました。勝手な判断ですみません。」
そう言ってエドワードは侯爵に、なぜ協力者を必要と考えたか、俺とヒルデ、なぜ俺たち2人なのかということを説明していった。
「なるほど。了解した。テセウスやエイルたちには私から話そう。それからヒルデ嬢、久しぶりだね。突然のことで驚いただろう。詳しいことはちゃんと説明する。君の力が必要だ。オリビアを、私たちを助けてくれないだろうか?」
「オリビアのためなら協力しないわけがありません!わたしは強いですから、オリビアのことはわたしが守ってみせます!」
「ふふっ、頼もしい限りだ。よろしく頼むよ。」
そういえばヒルデと侯爵に面識があったのか?想像がつかねえな。
その時、応接間の扉が開きユリウスが入ってきた。
「遅くなってすまない、大事な話しだったよね。」
「あれユリウス様。」
「やあヒルデ!久しぶりじゃないか!」
「えっと、お父様、お兄様、ヒルデ様とは面識がおありでしたの?」
「何を言ってるんだオリビア。」
「そうだぞ知らなかったのか?」
「ぼくの婚約者は彼女の姉君だからね。」
「ユリウス様の婚約者はわたしの姉さんだからな。」
え?
「!!そうでしたの!ジュリア様が!」
「なんだ、だから仲がいいのかと思ってたよ。その様子だとエドワード達も知らなかったようだね。」
「....はい..。」
エドワードは何回か会ったことがあるらしいが、ユリウスの婚約者はそれはそれは気の良い、お淑やかな方だったそうだ。
俺も公爵令嬢と婚約したとは聞いていたが、まさかヒルデの姉だとは...。
そういやヒルデも公爵令嬢だったな。
エドワードもそういえば性格以外はよく似ていると呟いた。
そうか...いやわかるかっ!
まあ良い、ヒルデにも明確な繋がりがあるとわかったので、安心材料が増えた。
こうしてvs最悪の結末の共同戦線に俺とヒルデが加わることとなったのだ。
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その後
「よし、それでは今から特訓を始める!
ヒルデは今の実力で十分だからそのまま鍛え続けてくれれば大丈夫だ。」
「わかった!」
「ミカエル!君には1から実戦での守りの極意を伝授しよう!」
「え、でもこの前のは?」
「あれは社交場での話だ。実戦で使えるわけがないだろう。期間は3日!今回もスパルタで行く!」
「よかったなミカエル。義兄上直々のご指導だ。」
「お前は?」
「俺はとっくに終わってる。頑張れよ今日が金曜でよかったな。」
「ミカエル!始めるぞ!」
俺の試練は続く.....
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ユリウスの婚約者
ジュリア・ヴラーブ
ジュリアという名はローマのユリウス氏族に由来するそうです。
ヒルデとよく似た赤い美しい髪のお淑やかで物静かな優しい令嬢です。
ユリウスの猛アタックにより婚約が成立しました。
お兄さんがいるので公爵家はちゃんとお兄さんが継ぎます。
ミカエルはまたもやユリウスの特訓の餌食になりました。
泣き言いいながらでもいいやつなので彼は頑張ります。




