02. Place: 教室
Time: 放課後
少しの耳鳴りを合図に、音と色が引き潮のように消えていく。時が止まった。
本日2回目になる。
僕は友人と話している途中だったので、鞄から魔道具を取り出し、今いる場所に呪印を付ける。これは呪印のある場所に移動できる魔道具。移動できる範囲はだいたいこの魔術学院の敷地くらい。その範囲内であれば、どこからでも呪印のある場所に一瞬で移動できる。
一回一回呪印をつける必要があるが、非常に重宝している。僕の必須アイテムの一つだ。ちなみに製作者は僕の弟、そして世界に一つ、非売品だ。
なぜこんなことをするかというと、時が戻った時、僕がそこにいなかったら不自然だからだ。
呪印を付け終わったので、まずオリビアを探しに行く。
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中庭付近で声が聞こえたので、柱の影に隠れて様子を見ることにした。
彼女の周りには3〜4人の令嬢達がおり、何か話をしていたところなのだろう。
いつもの如くシンキングタイム、ひとり作戦会議が行われていた。
「どうしましょう、週末にパーティーに誘っていただけたのは嬉しいのだけれど、こちらの方たちは初めてみる方々だわ」
「どちら様です?なんて聞いたら失礼に当たるでしょうし、でもどちらのお宅か分からなければパーティに伺うこともできないわ」
「ここは断る方がいいかしら....でもちょうど今週は予定が空いているからなんて言って断ればいいのかしら、嘘をつくにしても内容が思いつかないわ......ああ、困りましたわ、どうしましょう」
今回の議題はパーティーのお誘いのようだ。
しかし相手の名前がわからないらしい。
オリビアは侯爵令嬢なので彼女の参加、不参加は、パーティの格を左右する要因になる。
人目につく中庭で誘ったという状況を見る限り、相手の令嬢はオリビアの参加を強く希望しているのだろう。
今回も長引くかと思いきや、彼女の決意が固まったようだ。
「特に理由もないのにお断りする訳にもいきませんわね、せっかく直接誘ってくださっているのだし、恥を忍んでお名前を伺うことにいたしますわ」
なるほど.....
僕はすぐに今いる位置に呪印を付け、魔道具を起動して教室に戻った。荷物をまとめている間に世界に音と色が押し寄せ時間が動き始める。
「なあエドワード、週末n」
「すまない、用事ができた!!!」
すぐに廊下に出て死角に入った瞬間に魔道具を再び起動し中庭に瞬間移動した。
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「いやあいつ、どんだけ急用だよ」
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エドワードの友人君は今後ちゃんと名前をつけてストーリーに絡めていこうと思います。