曇りのち、赤い空。
あそこに見えるのは、大きな煙突ですか?
眠気覚ましに消しゴムで擦れ擦れ、磨りガラス。
曇りが晴れなきゃ遠くは見えない。
霞が晴れなきゃ近くも見えない。
あなたも同じ、そこにはない彼方へ。
疑問符でぎゅうぎゅう詰めの憩いの場、どっか行け!
1人1個の慰めの台詞をぶら下げて、長い廊下歩かされる。
わたしも同じ、ここにはない安らぎへ。
訂正文で大渋滞の言い逃れの場、どっか行け!
1人1個の癒しの言葉を隠し持ち、遥かな明日へ歩かされる。
晴れない、割れない、磨りガラス。
こんな場所じゃ、今日もあなたは見つからない。
おっかなビックリ、大きな煙突にぶら下げて。
おっかなビックリ、わたしは大きな煙突から煙になって、生きた証を知らせましょう。
会いたかったけど会えないあなたに、恋の証を!
別れたくないけど別れるあなたに、愛の証を!
こんな部屋でも、薄明かりの希望は届くでしょう。
知らないけど知られたくないあなたに、生き延びた証を!
見えないけど見られたくないあなたに、憎しみの証を!
抱えた未完成の墓標をくべて、重い亡霊解き放て。
折り重なった夜明けと日暮れに添い寝して、初めてわたしは夢を見る。
見えない夢、磨りガラスの窓の向こう。
見せない夢、憤りの残留が瞳に孤独を見せつける。
気が遠くなるような眠気覚ましの途中。
見晴らしが良くなるなら、煙突のてっぺんへ。
なにもかも許せるなら、煙突のてっぺんへ。
爪痕残る磨りガラス、遠くへ飛んでいけ。
傷痕残す磨りガラス、遠くへ遠くへ飛んでいけ!
曇り空粉々になったなら、煙はどこかに消えていく。
あなたの晴れた瞳は、折り重なった赤い空を映してる。