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召還獣ベヒーモスが人間達の町を暴れまわる

 女亭主にゴブリン達に冷たいエールと軽い軽食である丸いピザを出した。


「何だ?俺達にご馳走してくれるのか?」


 とゴブリンの一人が言う。


「ええ、でもお金は払ってもらうけれどね」


 私が女亭主の妖精に向かってウインクする。


「お金っつっても、俺達はゴブリン族でしか使えない硬貨しかないがそれでも良いのか?」


「ええ良いですよ」


 ゴブリン達はキンキンに冷えたエールを口にすると、それを一気のみして、「何だこのエールめちゃめちゃうまいぞ。それにキンキンに冷えていて、俺は最高の気分になるぞ」

 後の二人ももてなしたエールを口にする。

「「うおぉ、うめえぇ」」

「このピザとやらとエールで俺達は最高の気分になれるぜ」


 そこで私が「良かったらもう一曲歌いましょうか?」


「是非歌ってくれ」


 私と心音と明でアイコンタクトをとって、私達が作ったオリジナルの曲を奏でた。


 それがゴブリン達と私達人間との最初の和解だった。





 ******   ******





 あれから一ヶ月、私達は城の来賓用の客室で夜を過ごして、朝になると、女マスターが経営するゴブリン達と人間達が共存する店へと行く。


 朝になり、私は鎖帷子を装備して、その上には軽い鎧をまとう。心音はタイのついた白いローブをまとい、明はタイのついた黒いローブをまとう。


 着替えたら私達は店へと急ぐ。


「早く早く心音も明も」


 心音が「あんたが寝坊するから、遅くなったんじゃない」


「だって昨日はマイスターに剣棒で勝利してうれしくて眠れなかったんだから」


「そんなのいいわけにはならないわよ」


 朝起きて到着したのが女亭主の妖精が経営する店だった。

 朝からゴブリン達と人間達がワイワイガヤガヤと共存しあっている。

 ここは唯一人間達とゴブリン達が共に共存しあえる場所となった。


 この一ヶ月多少の抗争はあったが私達が奏でる音楽に魅了されて、この店ではゴブリン達と人間達の交流の場になっている。

 中にはレベル4のゴブリンがこの店に私達の演奏に魅了されて、来ているみたいだ。


「今日も派手にやっているね」


 と私が言うと、ゴブリン達と人間達は私達の演奏をまだかまだかと言うように、待ち望んでいる。

 たまにゴブリンと人間が殴り合いになるときがあるが、私はそういう時は、『喧嘩するなら外でやれ』と言って、人間はゴブリンに圧倒されるが、明の治癒能力で、回復させたりと大変な時もある。


 でも私達が奏でる演奏を聴いてゴブリン達も人間達も仲良くやっている。

 この店の中だけでは。


 私達が店に入ると、ゴブリン達も人間達も大きな歓声を上げてくれた。

「スリーピースバンドの盟と心音と明じゃないか。今日も派手なの頼むぞ」


「分かっているよ」


 ゴブリン達も人間達も魅了できる演奏が出来て、私達は新曲を披露する事が出来る。

 昨日、うるさいとメイドに言われたが、それはともかくとして、私達の演奏を心から聞いてくれる人が入ると思うとインスピが来まくり、心の性感帯に来まくる歌が三人で浮かんだ。

 心音は相変わらず、私の人間達とゴブリン達を一つにしようとする意見には反対していたが、演奏を楽しんでくれる者が入ることで同意してくれている。


 私達は新曲を披露する。

 新曲はピアノがメインのバラードだ。

 ギターの私とドラムの明が心音のピアノをベースに静かに音を刻む。

 曲が終わると、みんな喜んでくれた。


「ねえ、心音も人間達とゴブリン達が和解してくれたら素敵だと思わない?」


「演奏するのは良いけれど、そんな面倒事に巻き込まれるのはあたしはいやよ」


「明はどう思う?」


「僕は盟ちゃんがいくところならどこへでも」


「明はかわいいなあ」


 私は明の頭をなでる。


 でもゴブリン達と人間達が共存できる場所はこの店でしかないんだよな。

 以前、この店で酔っぱらってゴブリンの三人が人間の町に入ったとき、人間達はパニック状態に陥り、城の兵士達に殺されてしまった事件が合った。

 そのゴブリン三人は私達に言ったよ、まあ酔っぱらった勢いだけれども、『俺達が町の人と解け合えばもっと人間達と和解できるんじゃないか』って、でも現実は厳しい者だった。

 町の人間はゴブリン達に恨みがあるものでいっぱいだ。

 この店に来る人の中にも、ゴブリンに肉親や家族を殺された人は入ると聞いている。

 それは肉親や家族を殺されたら、憎む気持ちはいっぱいだ。

 でも私達の演奏を聴いて、ゴブリン達も人間達もそんな憎しみを互いに忘れて、心が穏やかになっている。

 音楽はゴブリン達や人間達にも言葉よりも伝わりやすい。

 現に私達がいる世界では、音楽はかかせない物となっている。

 私は音楽を聴くのも奏でるのも作るのも楽しい作業だと思っている。

 音楽は言葉よりも伝わり、ゴブリン達の洗脳を解いてくれている。

 戦うよりもこうして楽しく和解できたら良いのにと私は思う。

 そのクラウザーとはいったい何者なのか?

 それにレベル4のゴブリンとレベル5のゴブリンの力は圧倒的にレベル5のゴブリンの方が勝っていると聞いている。

 もしこの店にレベル5のゴブリンが来ても私達は戦わずして演奏でレベル5のゴブリンを改心させる事が出来るのだろうか?

 だから私達は歌う。

 心音は半心後四ヶ月が過ぎれば、この世界とおさらばだと言っているが、どうも私はそれで良いのか引っかかる。

 明は私に賛成しているが、でもこの世界を一つにするためには心音の力も必要だ。


 そんな事を思いながら今日と言う日が終わろうとしている。

 城に戻る途中明が「ねえ、あの妖精が営む、ゴブリン達と人間達が共存する店をオルガメッシュ王に伝えるのはどうかな?」


 そこで心音が「ちょっと明、また面倒くさい事になるでしょ。どうしたらそんな考えが浮かぶのよ。全く」


 私は黙っていた。

 でも明の言う通りオルガメッシュ王はゴブリン達に恨み言を持っているが、争いはあまり好ましく思ってはいない。だから明の言うとおり、オルガメッシュ王にもあの私達が演奏する店に招待するのはどうだろうか?と考えてしまう。

 でも私の意見を聞いたら心音はさぞご立腹となるだろう。

 

 あっと言う間に朝になり、私は朝一番にオルガメッシュ王の元へと言った。

 そして事情を説明した。


「何、それは誠が勇者盟よ」


「はい、私達は朝に私達の演奏を聴いてくれるゴブリン達を招き、そして人間達もその仲間として共存する店を私達は経営しています」


「人間達とゴブリン達が共存する店だと。是非ともこのオルガメッシュ行ってみたいものだな」


 早朝に二人には黙ってオルガメッシュ王にあの人間達とゴブリン達が集う店へと行くことになった。


 それを知った心音はさすがに怒りだしたよ。

 オルガメッシュに聞こえないように、私の肩に腕を回して。


「あんた正気なの?オルガメッシュ王にあの店に招待するなんて」


「これでゴブリン達と人間達が共存できる一歩前に進む事が出来る」


「ゴブリン達は人間達を殺した者もいるって聞いているわ。そんな簡単に和解なんて出来る分けないでしょ」


「でもあの店には何人か人間達もゴブリン達もいるよ」


 心音は大きくため息をついて、「もうあんたには負けるよ。どうなっても知らないからねって、私もその一人として分類されるのかあ。また面倒事を増やしてくれたわね」


「とにかくオルガメッシュ王は争いを好まないタイプの王様だから大丈夫だよ」


「あんたのせいで残りの私の人生の八十年は縮まった感じがするよ」


「大丈夫だよ心音、私が保証する」


「昔からあんたには無茶を押しつけられてばかりだったからね」


 そして私達はオルガメッシュ王を女亭主が経営する店へと案内した。


 王様が私達と行くときに、護衛は必要かと聞かれたときに、王は必要ないと私達がついているから大丈夫だと言っていた。


 そして店へと通じる国道を通り、行きずりの人たちは王様に対して、仰々しく挨拶をした。


 オルガメッシュ王は出来た王で、そのような仰々しい挨拶などいらぬと言っていた。


 私達の店に到着して、早速ゴブリン達と人間達が共存する店の中へと入っていく。


 ゴブリン達も人間達もオルガメッシュ王を見ると、静まり返ってしまった。


「信じられぬ、あの憎きゴブリン達と人間達が共存しているなんて」


 と驚いていた。


 そこで女亭主の妖精は「さあ、王様、どこでも好きな席にお座りください」


 リリィが「オルガメッシュ王を招くとは、お主等面白い事を考えるな」


「そんな事はないよ。オルガメッシュ王もゴブリン達と人間達と共存することを許可してくれるよ」


 オルガメッシュ王はカウンター席にちょこんと座り、両肘をついて何か考えているような仕草だった。


 そして私と心音と明はステージに立ち、演奏した。


 人間達もゴブリン達も待ってましたと言わんばかりに、歓声をあげている。


 王様の方を見ると私達の演奏を聴いて目を丸くして驚いている様子だった。

 まるでゴブリン達の恨み事が消えたような感じで私達を見つめていた。


 そうだ。私達の演奏は憎しみや悲しみを癒す効果があると私達は思っている。


 曲が終わって、注目がオルガメッシュ王に集まる。


 オルガメッシュ王は立ち上がり、「見事な演奏であった」とお褒めの言葉を私達はいただいた。


 あれだけ反対していた心音も、心配事を忘れて、キラキラとした笑顔でいた。


 そこで私が心音に「大丈夫だったでしょ」


「あんたの考え事にいつも引きずり合わされて来たけれど、別に問題はなかったみたいだね。オルガメッシュ王も喜んでいたみたいだし」


 そこでオルガメッシュ王は立ち上がり、「町の皆とゴブリン達よ、この者達の演奏を町の皆とゴブリン達にもっと多くの者に聞かせてはあげられないだろうか!?我も諍い事は好む者でない」


 するとそこへ、一人の瀕死の兵士が現れた。


「お、王様」


「どうしたと言うのだ。お主その怪我は?」


「ゴブリン達を繊滅するために、ベヒーモスを召還したのですが、町で暴れ回っているのです」


 それを聞いたゴブリン達は、「俺達を繊滅させるだと?」「何と惨いことを考えるんだ」


 人間達は「俺達の町がむちゃくちゃな状態になるだろうがよ」「オルガメッシュ王、これはどういう事ですか?」


 そこでオルガメッシュ王は膝をつき「すまぬ、以前からゴブリン達を繊滅させるために召還士に頼んで、ベヒーモスを召還する研究が行われていた。だが私はその召還士に命令はしていない」


 そこで私が「とにかく町が大変なんでしょ」


 明は回復魔法を使って、瀕死の兵士に回復させた。


「おおう体が、私は瀕死の状態だったのに!!?」


 兵士は走り、私達三人とオルガメッシュ王はその後に続く。


 町の方を見ると、大きな青色の怪物が吠えながら暴れている。


 オルガメッシュ王は、「おのれ~召還士め、勝手なことをしおって」


 私はギターから剣に変えて、心音はキーボードから炎の杖に変えて、明はステック賢者の杖に変えて、私達三人は戦いに挑んだ。


「がおおおおおおおお」


 とベヒーモスは吠え、兵士が次から次へとケチらされて行く。


「何だこいつは!?」


 心音が炎の杖を使い炎をとばす。

 だがベヒーモスにはその鋭い牙でそれをケチらした。


 私もエクスカリバーで迎撃するのだが、ベヒーモスの体はとても堅く、傷一つつけられない。


 そんな、私の攻撃が効かないなんて・・・。


 オルガメッシュ王は「ベヒーモスは召還獣として三本の指に入るほどの力を持っている」


「このままでは町が」


「おのれ~召還士め我の命令なしに召還するなとあれほど言っておいたのに」


「今はそんな事を言っている場合じゃない。私達はこの怪物を倒すしかない」


 そこで心音が「あたし達の演奏でどうにかならないかしら」


 そうか、ベヒーモスにも心が合るなら私達の演奏を聴いておとなしくなってくれるかもしれない。


 私は聖剣エクスカリバーをギターに変えて、心音は炎の杖をキーボードに変えて、明は賢者の杖からドラムに変換した。


 明に合図を送り、私達は演奏する。


 私達は懸命に演奏する。


 ベヒーモスにも心が合るなら、ゴブリン達と同様におとなしくなってくれるはず。


 するとベヒーモスは大人しくなってくれた。


 私がほっとしたつかの間、ベヒーモスは吠えて、私達三人をその鋭い爪でいっそうしようとしたところ、私は油断してしまった事に命取りとなってしまった。


 その鋭い爪で引き裂かれそうになったとき、私は大声で歌った。


 するとベヒーモスは私達をその鋭い爪で引き裂こうとしたが、私達は女亭主が経営するレベル4のゴブリンに助けられてしまった。


「大丈夫か!?」


「何とか」


 ベヒーモスは吠えて町をむちゃくちゃにしている。

 この状況どうにかならないのか?


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