ゴブリン達と人間の和解の一歩を踏み出した私達
私は鎧にまとい聖剣エクスカリバーを手にした。
心音は先っちょに星のついた炎の杖を手にして、タイのついた白いローブにまとった。
明も同様に賢者の杖を手にして黒いタイのついたローブをまとう。
私達はマイスターと共に町に進入して捕まったゴブリン達の元へと行く。
ゴブリン三人は牢獄にとらえられて、すっかり悪そうな形相から、今では何か邪悪を感じられない姿をしていた。
それにゴブリン達は衰弱しきって、この一ヶ月ろくに食べ物を食べていない様子だ。
ゴブリン達が私達を目にすると、「おお、あなたはあの時の勇者様達ではないですか?」
「私達の演奏が聴きたいと言っていたと聞いたけれど」
「俺達にはもう居場所なんてない、この事がクラウザー様にバレたら、俺達は殺されてしまう。それに人間達にも殺されてしまう。
その前にもう一度あの演奏を聴かせてくれ」
「分かったわ」
私が言うと、私と心音と明でアイコンタクトをとって、それぞれの武器を楽器に変えて、ゴブリン達に聞かせてあげた。
私達の演奏を聴いてゴブリン達はご満悦のようだ。
一曲終えて、ゴブリン達は。
「もう思い残すことはない」「俺達ゴブリンは人を殺して食ったこともある」「俺達は極刑されても文句は言えねえ」
とゴブリン達は遺言のように呟いた。
何かそんなゴブリン達を見ると、何かかわいそうな感じがした。
「話は終わったか?何かすごい良い感じの音が聞こえたが」
マイスターが言う。
私と心音と明は互いに頷きあって、「このゴブリン達を殺すことをやめさせる事は出来ないかしら?」
「あ、あなた様方は正気ですか!?この町をむちゃくちゃにしたゴブリン達ですよ!」
「じゃあ、私達が王に直に会って、殺すことを阻止するように伝えるわ」
私達はマイスターに連れられて王のところまで案内された。
私が三人を代表して「オルガメッシュ王、町に潜入してきたゴブリン達ですが、殺す事をやめていただきたいのですが」若き王のオルガメッシュに私達は懇願した。
そこでマイスターが「この者達の言っている事は正気の沙汰とは思えませんが」
するとオルガメッシュ王は「なぜ、そうする必要がある?」私が言った言葉を聞いて怒りがたぎるような目をしていた。
「ゴブリン達は悪い連中ではありません。そのゴブリン達を洗脳しているクラウザーと言う人物が原因なのかと思うのですが?」
「ゴブリン王のクラウザーか!?連中は悪い奴ではなくクラウザーに操られているだけと申すか?」
「詳しい事は分かりません」
「私の王でもあり父でもあった者はクラウザーに殺された。あの強く優しい父が殺されたのだぞ。これもすべてクラウザーとゴブリン達の仕業だ!」
「そのクラウザーと言う者はゴブリン達の王であるのですか?」
「我々もその詳細は分からない。ただレベル5も越えるほどの者だと言うことは分かっている。
実を言うと我はレベル5のゴブリンと対峙したことがある。圧倒的強さで、我は命からがら逃げ延びたことがある」
マイスターが言う「それは誠でございますかオルガメッシュ王!?」
「うむ、命からがらだったけどな!
お前達の言う町に潜入してきたゴブリン達から何か情報を得られないか?」
「そうか、その手がありましたね」
そういうことで私達三人とオルガメッシュ王とマイスターで再びゴブリンが幽閉されているところへと向かった。
「あんたはオルガメッシュ王」「何故我々の元へ?」
するとオルガメッシュ王は私達に視線を送り、それはこのゴブリン達から情報は得られないかと言うアイコンタクトだと思った。
私が三人を代表して「ねえ、あなた達、クラウザーとはいったい何者なの?」
「なるほど、俺達に情報を聞き出してから、殺すつもりなのだな」
するとオルガメッシュ王は「そうは言っていない、お前達の情報を我らは聞きたい。良き情報を教えてくれれば、お前達を釈放してもいいんだがな」
「釈放されても俺達にはもう行き場所なんてない!でももう一曲あんた達の歌を聴かせてくれれば、教えなくもない」
それを聞いて私と心音と明は互いに頷きあいアイコンタクトをとって、その場で演奏した。
そして一曲が終わると「じゃあ約束通りあたし達に情報を提供してくれないかしら」
「おう、してやるぜ、我々はカースト制度で強い者順にピラミットのように頂点にクラウザー様そのしたにはレベル5のゴブリンが七人存在する。そのしたのレベル4のゴブリン達は何十人もいる。ちなみに俺達はあのレベル3のゴブリンの親玉の部下だ。ちなみに俺はレベル2でこいつらが1だ」
「その頂点に立つクラウザーは西の地区のお城に潜んでいるのね」
「クラウザー様、いやクラウザーは永遠の命を手にして、我々ゴブリン達を操り、人間達を皆殺しにして、この世を自分の手で掴みとろうとしている」
そこでレベル1のゴブリンが「いにしえによるとゴブリン達と人間達は共存しあっていた頃があったみたいだと俺は幼いときに聞いた話だった」
それを聞いたオルガメッシュ王は「そんなバカな人間達とゴブリン達が共存していただと!?」
「でもそのいにしえの歴史は抹消されたと俺は聞いた。俺も本当の事は知らない」
「我は信じられぬ、我ら人間とゴブリン達が共存していたなど」
そこで私が「オルガメッシュ王、今まで伝えられた歴史ではどうなっているの?」
「我々の歴史では千年物歴史があるが、それまでゴブリン達と人間達は争いをしていると聞いている。
我ら人間達が優勢の時もあった時代もあった。逆にゴブリン達が優勢の時代も合ったという。でも今では、ゴブリン達に我々東側の人間達はもう追いつめられている状態だ。そのカースト制度のレベル5のゴブリン達を引き連れて、ここまでこられたら最後だ」
「ならば王様、人間達とゴブリン達を共存させましょうよ」
「何をバカな事を言っている。そんな事は我が許さないし、町の者達も、納得はしない」
そこで心音が「そうよ。あなたはゴブリン達に恨み事がないからそういえるのよ」
「その者の言うとおりだ、我はまだ王になるには未熟すぎると我は思っている。我の父がゴブリンの親玉のクラウザーに殺される前までは、ゴブリン達と対等に戦う事が出来た」
そうだ。心音とオルガメッシュ王の言うとおりだ。
私はゴブリン達に対して、恨み言がないからそんな戯言じみた事が言えるのかもしれない。
とりあえず、ゴブリン達を幽閉したままで私達は来賓の部屋で話し合った。
心音が「これはあたし達に関係ないことだよ。わかっているの盟!」
「・・・」
何も返す言葉が見つからない。
「何とか言いなさいよ盟!」
「心音ちゃん盟ちゃんにそこまで言わなくても」
「良いや明、こいつはバカでお人好しなところがあるから、これぐらいの事は言っておかないとダメなんだよ。とにかく私達は後五ヶ月、この間に争いは絶えないけれど、どうにか乗り切るしかないわ」
「心音はこの町の人達がどうだって良いと思っているの?」
「はぁ!?何よ今さら!?これはこの異世界の東側地区の町と西側地区のゴブリン達の問題でしょ。あんた本当にこの二つの地区を一つにさせたいなんてバカな事を言っているの?もう一度言うけれどね、もしあなたの肉親がゴブリンに殺されたらどう思う!?」
「それは確かに許せない」
「でしょ、この問題はあたし達が立ち入る問題じゃないわ。
さてそろそろ寝る時間でしょ。明日も魔法の訓練があるし、あなたはマイスターの特訓があるんでしょ。後五ヶ月よ。気が遠くなるような日にちだけど、私達はそれまで町の人を助けるふりをして何とか凌ぐしかないわ」
そういって心音は布団の中に入って眠りに入った。
そうとう疲れていたのか?心音はすぐに眠りに落ちていった。
確かにこの人間達とゴブリン達の抗争問題は私達には関係ないし、かといって、もし私が肉親を殺された事を考えると、許せない気持ちに翻弄されてしまう。
でも本当に心音の言うとおり、私達はゴブリン達とただ戦うふりをしていれば良いのだろうか?迷ってしまう。
そろそろ私も寝ないとな、この世界の星は何とも綺麗に輝いている。本当に美しい。ここは地球上では見られない星達が輝いている。
この異世界は地球からしたら遙か彼方の銀河系って感じなのだろうか?
最初は女亭主であった妖精にゴブリン達を繊滅するために送られてきたのだと言う。
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朝になり、私は良いことを思いついた。
私は二人に着替えをさせて、二人の手を握って、あの異世界に通じた店へと歩きだした。
「ちょっと盟、何なのよいったい!?」
「とにかくついてきて」
「この道って、私達がこの異世界に飛ばされた店に通じる道じゃない。どうして?」
「どうしてって決まっているでしょ。あの店にはゴブリン達もやってくる」
「もしかして、そのゴブリン達を引き寄せて演奏でもして、改心させようと言う腹ね」
「察しが良いね、心音」
そこで明が「僕は盟ちゃんが言う事なら何でもお手伝いするよ」
「明もそういっている事だしね」
と心音にウインクする。
「ったく、あんたには負けるよ!」
と心音は私の作戦に乗ってくれると言っている。
確かこの道を外れて、森の中に入っていくと、私達の世界と通じる店があるはず。
そして店に入った。
「それよりも本当に不気味な森ね」
明が怖がっている。
店に入ると、カランカランとベルの音が鳴るドアを開けると、女亭主の妖精と、黒い外套に身を包んだ子供がいた。
心美が「女亭主じゃない、最近みないと思ったら、こんな所で何をしているの?」
「いや、あなた達が来る事をあたいとリリィは気がついていた。
リリィ、あなたの言う通り、選ばれし勇者達は来てくれたそうよ」
リリィは外套を外して、銀髪でかわいらしく、真っ赤な赤い赤い赤い瞳を私達に向けた。
そこで明が「いやだ、かわいい」とリリィに抱きついた。
「ちょっと明」
私はリリィとやらにそんな事をして大丈夫なのかと心配して、明はリリィに「たわけ!」と一喝して、吹っ飛ばされてしまった。
心音が「明大丈夫!?」
「わしはこのような様相でも百五十年は生きる賢者リリィだ。お主達はこの店にゴブリン達を集めて、和解の第一歩を踏み出そうとしているのだろう」
「何で分かるの?」
「我もその意見に賛同しようと思ってな」
そこで女亭主の妖精は「ここには新鮮な肉や魚に町では手に入らない冷た~いエールなんかあるんだから」
そこで心音が「冗談じゃないわよ。あらかじめゴブリン達と関わるのは極力避けようとしたばかりじゃない。なのになぜあなたは、そんなバカな事を思いつくわけ!?」
「顔が近いよ心音」
心音の口角が私の顔面につく。
「まあ、とにかく、心音落ち着いてよ」
「落ち着いて入られないよ。もうあなたにはついていけないわ」
心音が店から立ち去ろうとしたところ、丁度その時にドアベルが鳴る音がして、店にゴブリン三人が入ってきた。
「よう、ここにはうまそうな人間が五人も入るぜ」
ゴブリン達は私達に襲いかかるつもりだ。
そこで私は剣をとりギターに変えた。
心音はやれやれと言った感じで不服そうに炎の杖をキーボードに変換して、ドラムの明は賢者の杖をドラムに変えた。
私達は店の低い小さなステージに立ち、演奏した。
私達は懸命になって演奏して、ゴブリン達は私達の演奏を聴いて、苦しみもがいている様子だ。
「ぐぎゃぎゃぎゃ」「ぎゃぎゃぎゃ」
とゴブリン達から真っ黒なオーラが霧散している。
そうだ。ゴブリン達は本当は悪い奴ではないのだ。その頂点に立つクラウザーと言う人物に操られているだけなのだと昨日のとらわれのゴブリン達から聞いた話だ。
一曲二曲と続けて演奏して、ゴブリン達は正気に戻ったみたいだ。
「何だ?この気持ちは?」「俺は今まで何人者人間達を食い散らかしてきた」「ううあああああ」
私達の曲を聞いてゴブリン達は改心してくれたそうだ。
そこで私は「ゴブリン達よ、どうだ?今の気持ちは」
「心が洗練されていくような感じになる」「俺は今まで何をしてきたんだ」「俺達は人間達を食い殺してきた」
心音が「これがあなたの狙いだったわけね」
「ごめん心音、リアリストのあんたには好ましくない事をさせてしまったね」
「でもあたし達の演奏が人間達とゴブリン達の抗争を防ごうとするのは良い考えかもしれないね」
そこで女亭主の妖精に「何をもたもたしているの!?お客さんでしょ。直ちに冷た~いエールと、何か軽食をもてなしなさい」
「分かりました」
作戦は大成功だ。この店を拠点に人間達とゴブリン達を和解させるのは悪い考え方じゃないみたいね。