31.始動
レ、レビューが増えてる。本当にありがとうございます!!
恋する乙女からは逃げられない。
「先輩、この前はすみませんでしたっ!!!」
おうおう。いきなりどうした。
恒例の社員食堂。
課長とお昼ご飯を食べてると後輩がやってきた。
いつもの亡者の念もしっかりとセットだ。
「いきなり家に行きたいとか、お泊まりとか、女性にあるまじき発言を……」
あれ?意外だ。もっと勢いで生きている子だと思ってたけど、真面目じゃないか。
(……先輩が見直したって目で見てくれてる。)
(ありがとう!お姉ちゃん!お姉ちゃんの言った通りだよ!)
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『あんた何言ってんの?いきなりそんなこと言ったら、普通に引かれるわよ!?』
「え゛っ!?」
私には少し歳の離れた姉がいる。
先輩の家に行きたいと言った時のことをお姉ちゃんに電話で話したのだ。
「でも、カワウソ…さくら先生に会いたいと思っただけで……」
『それで何で泊まりって考えになるのよ。はぁ…』
「だってさくら先生には会いたいけど、それ以上に先輩と少しでも長く居たいし…」
『とにかくドン引きね。お疲れ様』
「ど、ど、どうしたら良いの?」
『諦めて次の男を探せば?笑』
「……は?」
『あんたからそいつの話を聞くたびに、いつも思ってたのよねー。なんか冴えなさそうだし、顔だってそんなにイケメンじゃないんでしょ?お金も無さそうだしね』
「………………」
『あんた、私と同じで顔とスタイルは良いんだから他にも良い男がいっぱ…「お姉ちゃん?ちゃんと喋ってよ。さっきから雑音が煩くて何も聞こえないんだけど?この雑音って何かなぁ?お姉ちゃん分かる?」』
『ヒッ…で、電波が悪いのかもね!……やだ!!母さんから貰ったお守りが…えっ?何で電気が……いやっ!シャワーが勝手に!』
「お姉ぇちゃん?どうしたら良いのかなぁ?あと、先輩は良い男だよ?」
『と、と、とにかく言っちゃったもんは仕方ないから、素直に謝りなさい。そういうのも意外とギャップになって男受けする場合もあるから!ったく、聞こえてんじゃない…』
「わかった!ありがとう、お姉ちゃん!」
『あんたがそんなに好きな人って…私も気になるから、今度会わせ…「何?また雑音がしてきたよ?」』
『いや…頑張ってね…じゃあ』
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「先輩本当にすみません。ただ、さくら先生には会いたいので頭の片隅には置いといて貰えると…嬉しいかなって…」
「はははは!まぁ良いじゃないか!時には大胆な行動も乙女には大事だぞ!まぁ泊まりとかの前に、まずは若者同士デートでもしてきたらどうだ?」
「「課長!!」」
「その課長ってやめないか?前みたいに先輩で……」
「無理です。諸事情により課長は課長です」
……
…………
「せ、先輩とデデデデート…」
くっ!せっかく亡者たちが落ち着いてたというのに、また湧き出ているじゃないか。
「……はぁ。次の休み、空いてるか?」
「………あふんっ」
ガチャッ
「ただいま」
「キュー」
ヒュンッ!!ヒュンッ!!
見えた!!!!
今日はさくらさんで。
※忘れた方は第8話参照
「あ、さくらさん。次の休み、俺ちょっと出かけてくるからご飯は準備しなくて良いよ」
「…………」
……女の気配。ついに動き出したわね。
恋する乙女からは逃げられない。
後輩とのデート。
もちろんハイスペックなさくらさんも尾いて行きます。ちゃんと尾いて行きます。




