現状理解/1
見づらい、等ありましたらコメントお願いします。
気を付けているつもりですが、誤字脱字多いと思うのでよかったらこっそり教えていただけたら助かります。
/ 現状理解
◇◇◇
木々が柔らかにそよぐ快晴の空。澄んだ空気は吸えば吸うほど甘さが滲み出るような魅惑の蜜。小鳥の囀りは普段より流麗に聞こえる。零れ日の暖かさとは違い、太陽光からのフラッシュバンは瞼の上から眼球を焼くだろう。
しかし四季楓が死のような眠りから息を吹き返し、生き返るように目を覚ました場所はまるで正反対。
そこは薄暗く淀んだ空気が立ち込める小部屋だった。半ばから壁が崩壊し通路が顔を覗かせているため、部屋としてまるで機能していない。天井には穴が空いてあるのか、射し込む光によって鼻につく石擦れの埃がキラキラと輝きを放つ。
「あ、れ……ボク」
埃で喉をやられたのか、声代わり前の少年とは思えないガラガラ声。肺の穢れを吐き出すように咳き込む。息苦しそうに顔を歪ませ必死に空気を求めているようだった。
この病気になりそうなカビ臭いボロきれはもしかして毛布なのだろうか。剥いで起き上がろうとするも言うことを聞かないのか、錆びついたブリキの玩具のように動きが鈍いように見える。
ギギギ、指先を動かすだけでも錆粉が周囲の空気を侵しているようだ。
周囲を見渡そうと目線だけ辺りを見回す。四方八方グルグルと一通り見た後最後に視線を戻す。すると先程までは気づかなかったものに驚いたのか、体を無理に動かした顔が歪んでいた。
楓の横たわるベットに身体を預けるように女が眠っていた。流れるような長い髪は美しい容姿をより際立たせる。見れば楓を助けた女ではないか。
しかし、出会った時と比べ質素、いやあの鋼鉄の鎧とは違い柔らかで零れてしまいそうな純白のドレス。
声をかけようにも発声出来ず、揺すろうにも体は動かない。諦めたのか身体の力を抜いたように見えた。
それとほぼ同時に元々扉があったであろう箇所から気配。再び視線が通路へ伸びた。
――そこにはまるで妖精のような少女が佇んでいた。
色素の薄い髪を後ろで縛り色素の薄い肌。その上には楓の足元で眠っている女とは違い、漆黒で煌びやかなキャミソールなワンピースを纏っている。いや肩に掛かっているだけと言ってもいいその姿は最早、高級娼婦のような艶やかさ。お人形遊びを楽しんでいても可笑しくない年頃の少女がだ。そんな格好に加え、瞳は灯のような朱が非現実性を加速させている。
手足は異常な程細く抱き締めたら簡単に折れてしまいそう。しかし骨と皮だけというわけでも無いらしく、骨ばった印象はない。寧ろ柔らか、とまである。強風なんて吹けばキャミソールごと飛ばされてしまいそうだ。
なんて事を楓は考えていたのか。間抜けな顔で少女を見ていた。
それに気づかないのか。それとも無視しているのか。楓に近づかず女の元へ寄る。トテトテ、なんて足音が聞こえそう。起そうとしているのか、眠りを加速させたいのか分からない強さで揺すり始めた。
揺する。
揺する。
「セシリア。セシリア」
まるで機械のような声が狭い部屋に響く。抑揚もなく短い音は詩のよう。
しばらく揺すっていると女――セシリアというのだろうか――が呻く。寝ぼけているのか薄目を開け直ぐに閉じムニャムニャなんて言う様は、再びZマークが浮かび上がりそう。
困ったのか楓の方へ近づいてくる。
「な、何かな?」
困惑しながら発生した音は先ほどよりも澄んでいた。
「セシリア起きない。どうする」
何てことを表情も変えずに尋ねられる楓の顔には困惑の色が塗られた。何て答えが最適解なのか見当もつかないのか黙り込んでしまった。
そうしていくつかの秒数が過ぎた頃、快眠を続けていた女がゆっくりと目を開けた。
見づらい、等ありましたらコメントお願いします。
気を付けているつもりですが、誤字脱字多いと思うのでよかったらこっそり教えていただけたら助かります。