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四季 楓/1


 見づらい、等ありましたらコメントお願いします。



 気を付けているつもりですが、誤字脱字多いと思うのでよかったらこっそり教えていただけたら助かります。





  / 四季 楓




 

 四季(しき)(かえで)は秀才、その一言で表せた。


 カエデくんは何でもできるわねー、なんて言われ慣れたことだろう。


 実際、楓は出来ることなら何でもやってきた。


 首が座るのも早く、這い這いはハイスピード。あんよは上手でママ会の面子を驚かせていた。


 自転車も七転び八起目で乗りこなし、乗れない子どもに指導までする。それが実に大人顔負けな教え方だったもので、えらく評判だった。


 テストは学年で一番点数を取れるだけでなく解き方も上手い。部活動、クラブ活動には参加してはいない。が、運動会でもリレーランナーの大トリ、アンカーにも毎年選ばれている。


 やることはないだろうが彼は年上との喧嘩(けんか)にすら粘り勝つだろう。


 それでも彼自身から慢心を感じないのは楓自身の温厚さ故、だろう。


 そんな楓も、あといくつかの朝を迎えれば晴れて中学生。いよいよ簡単に物事が進まなくなる頃合で、自惚れていられるのは終わりだった。


 それでも学習塾なんかに通わせてもらえないのは彼が常日頃周囲、「オホホ、お宅のカエデ君は優秀ですわね」なんて持ち上げられ続けている養母の慢心のツケか。


 反対に養父は興味がないのか、今まで通り上手くこなせということか。物言わぬ顔で楓を一瞥し、新聞に視線を戻した。


 既に卒業式も終えて本格的な春休み(準備期間)となるが、友人は皆準備期間(春休み)を満喫していることだろう。


 だが楓は期待に応えなければならない。教師達はもちろん、今まで育ててくれた養父と養母のためにと、プレッシャーによる重圧はかかっていく。


 自室には友人から借りた漫画が数冊息を息を(ひそ)めている。いつ飛び出してきて集中を削ぐかも分からなかった。加えて、夫婦円満(冷戦)状態なため雰囲気が悪い家に居たくないと思うのも仕方のないことだろう。


 それなら休み期間中は家で出来るだけ過ごさず、図書館で自習した方が有意義な時間を過ごせるだろう。

 

 カチ、コチ。カタタタ、カタタタタン。目立って聞こえる気持ちのいい音をリズムよく鳴らす古時計。司書がパソコンにデータを打ち込むキーボード。そのどれもが集中を途切れさせずに自然と手を進めてくれるはある種のメトロノーム。


 室内から眺めているだけで凍り付いてしまいそうな寒空とは違い、暖房の入った図書館はまるで露天風呂のように暖かかい。このまま湯船に浸かっていれば眠ってしまうだろう。



「それじゃあホンマツテントウって言うんだっけ」



 古時計の針は十六時と四十七分を刺している。学校の校則では小学生の帰宅時間は十七時となっていた。ココから自宅までに必要な時間は大体十五分と少々足が出ている。


 が、中途半端に空白が残っている課題。家に帰れば十分もあれば終わる量だが、キリの悪さというのは楓が一番嫌うもの。残りを片付けるためラストスパートをかける。普段からお利口さんで通っているためそれだけの貯金を崩してでも始める辺り彼の性格が伺えた。


 しかし、



「へー、こんなとこにトショシツなんてあったのか」



 それは侵食してきた雑音によって、高まった熱は急激に冷やされていった。見ればこの季節だというのにTシャツにハーフパンツと、ガキ大将も驚愕するであろう服装集団。


 どこから湧いて出たかといえば隣の体育館からだろう。男子高生がバレーボールを練習してるのを何度か見た覚えがある楓は恐らく休憩しに来たんだと高を括る。ガタイの良い体つきから簡単に想像出来るだけのスポーツマンな声は花丸の二重丸で百点満点。


 しかし、ここは天下の図書館。出て行かなくても静かにしなければ。気を悪くした利用者が次々と退館準備を始めていた。



「なんだよ、ジャンプもないじゃん」


「ドラえもんならあるぞ」


「やだよそんな古いの」



 そんなことお構いなしか、単純に気づいていないのか。彼らは静謐な空間を侵し続ける。


 利用者の誰もが見ぬふりで、先程新聞を広げていた老爺(ろうや)はいつの間にか居なくなっていた。楓と司書以外人間が居なくなった伽藍洞。



「しょうがない、悪あがきに本をを借りていこう」



 表紙も見ないで適当に取り出した数冊を司書に渡す。楓の顔を見て少しだけ微笑む。



「これお願いします」


「はい、いつもありがとうね」



 書き込み用の図書カードを渡すと司書は慣れた手つきで手続きを終わらせ、楓に本と一緒に百円玉を一枚握らせる。思わぬ臨時収入に間抜けな声。



「えっと……これは?」


「外は寒いし、こんな時間まで楓君頑張ってたでしょ? だからご褒美」



 そう言って楓にだけ見えるようにウインクを飛ばした。突然のお茶目に驚いたのか、顔は年相応の赤さが更に濃くなっている。



「――っ、また来ます!」



 羞恥心からか素っ気なく返す。最後にぺこり、頭を下げると大股の早歩きで図書館を出ていくのを確認した。




               ◇◇◇










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 気を付けているつもりですが、誤字脱字多いと思うのでよかったらこっそり教えていただけたら助かります。


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