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ある程度緩急のある生活

作者: 曲がった鉄板

1.緩

日頃の疲れを癒すように温泉に浸かる。疲れがお湯へと溶け出し、はぁと吐いた息は山々へと吸い込まれる。


此処は、秘湯と呼ぶには近所にあり、公衆浴場と呼ぶには狭すぎる立ち寄り温泉である。休日の昼過ぎにもかかわらず閑散としており、時折、従業員がパタパタと音を立てる。

私はこの中途半端に孤立できる雰囲気が好きだ。明日も明後日もその後も、嫌という程人と関わるタイミングはあるのに、一人になれる時間は限られている。だから、この時間を大切にしていきたい。


私は風呂から上がり、併設されている定食屋へと向かう。やはり人はおらず、厨房からも音は聞こえない。ここで日が暮れるのを感じながら蕎麦をすする。舌が肥えているわけではないので、蕎麦の旨さはわからない。しかし、日頃、人と話しながら、又、テレビを見ながら食べる飯とは違う。ゆっくりと味わって食べる事が出来る行為そのものが旨くさせているのではないかと思う。火照った体に冷たいざる蕎麦が喉を通って、じんわりと体の芯から冷えていく。


食べ終わるとぼーっとする。穏やかに時間が過ぎてゆく。8畳程度の畳張りの休憩所でゴロゴロする。


目を覚ますと辺りは暗く、外には提灯が灯っている。少し冷えたので改めて風呂に浸かり、帰路へ着く。後ろ髪を引かれるが、『また来週』と心の中で挨拶を済ませて日常へと帰る。

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