第一話 出逢い 4
俺は夢の中でキレた。そしてあの少女を殴ろうとした。人を殺してなんとも思わない、しかも俺の大切になる人を殺す?じゃあ何で俺に教えた?ふざけんなよ
「ナツくん、大丈夫?」
彼女が言ったのは、大切な人じゃなくて、なる人だよな、誰だろう?
その前に、何故俺がこんなに夢を気にするかというと、簡単に言えば現実的だった。夢なのに、草の匂いがした、風が心地よかった、自由に歩けた、少女に話し掛けた、なんか解らないけど嫌な予感がしたからだ。
「ナツくん?」
紗癒は?今でも大切な人だから違うよな……って!俺は決してシスコンじゃない、そう姉弟愛だ。多分……。
「ミユちゃん、ナツくんが無視する〜」
「すぅー、すぅー」
「寝てるよぅ」
心優はかわいい寝息をたてて、いつの間にかに寝ていた。
心優も可愛いし凄く[以下略]あと俺は決して[以下略]
「ナ〜ツ〜く〜ん」
「うるさい!!」
紗癒にも多分関係あるんだから静かにしていて欲しい。
「ナツくんのバカ!」
紗癒は俺に悪口を言った後、窓の外を見た。
両親は……運転席と助手席をみると、親父は運転に集中、お袋は酔うからとアイマスク+イヤホンで音楽を聴いている。……ないな
「な〜紗癒」
俺の大切な人って誰だと思う?って聞こうとしたが
「………」
「紗癒?」
「ナツくんなんて知らない」
紗癒は何故か知らんが拗ねていた。こうなった紗癒は少し面倒、前にも心優と買い物に行って帰ってきたらこうなってた。結局次の日に直ったけど
「何で拗ねてんの?」
俺が聞いた途端、紗癒に睨まれた。
あ!俺のせいか、俺はさっき紗癒のことを無視したのにやっと気付いた。
「紗癒ごめん、ちょっと考え事してて」
「どうせ夢子のことでしょ?」
「夢子?………ああ、そうだけど」
夢子とはあの死神のことだった。そして死神改め夢子になった。命名紗癒。センスねぇ〜。とは口には絶対出さない、教われるもん。
「やっぱりね」
どうせ私なんかより……と紗癒が呟いている。
それは誤解だな、俺あいつのこと殴ろうとしたし、ってか夢だし。
「でも、紗癒の方が大切、だ……から」
なに言ってんだ俺ぇ〜〜!?今のもろ告白じゃん、しかも相手姉じゃねーかよ!
紗癒は少し頬を紅くそめ口が半開きになっている。心優は……後ろの席を見ると安らかに眠っている。両親は……母親は周りから断ち切るように、アイマスクとヘッドホンで、何も聞いていないし見ていない。親父は……運転に集中していて周りの音は聞こえていない。
良かった。幸いなことに他三人は聞いてなかった事が救いだ。
「ナツくん!」
言うと同時に紗癒が抱きついてきた。いきなりの事で俺は頭を窓にぶつけた。凄く痛いです…。
「ちょ、紗癒離れろ!」
「えへへ、ナツくんに告られちゃった」
「違うから、忘れろ、忘れろって」
顔が近いって、あ!いい匂いがする……って変態か俺は!
「……する?」
「え?なんか言った?」
「だから〜キスする?」
なんでだよ?なんでこの場で姉としなきゃいけないんだ?告白したのは…事実だけど事故なのに……。
「いや、しない、しないから」
「照れちゃって〜、可愛いナツくん」
俺の中の危険信号が凄いくらいに鳴り響いている。これはやばい、逃げようにも逃げられない……。
「だ、誰か助けて」
「おい、そろそろ着くから心優のこと起こしてくれ」
助かった〜。まさに天の助けとはこの事だよ。もう少しでやられる?とこだった。親父に感謝だな。
「もう少しだったのに〜」
なにがだ。こっちは冷や汗だらだらで、生きるか死ぬかの瀬戸際だったってのに……大袈裟だよね…。
そして無事?に病院に着き、心優のことを起こして院内に入った。
まではよかったのだが、困ったことになった。
心優を起こした後、病院に入ったまではいいがトイレに行きたくなり、家族から離れ、一人トイレを探しに行き、見つけて用を済まし、トイレから出た時に気付いた。
「ここはどこだ?」
と
答えは簡単病院のトイレ前です。
そう籐波夏紀15歳恥ずかしながら病院で迷子になりました。
「つーかこの病院広すぎなんだよ」
なにせこの病院12階まであるのだ。
そう言いつつ歩き出して約5分、行く道で会ったのは老人ばかりでなにも聞けず廊下をずっと歩いて行き着いたのが階段orエレベーター
「はぁ〜」
呆れて溜め息しかでてこない。俺って方向音痴だったけか?
「やっぱ誰かに着いてきてもらえばよかった」
そんな呟きも虚しく誰も聞いてない。
「どうしよっかな」
少し考えた末、屋上に行きたくなり、上に行くことにした。無論エレベーターでね
エレベーターで12階まで行き、そこから階段を上り屋上いこうとしたのだが、立ち入り禁止の看板がある。
話は変わるが俺は学校の屋上のドアを壊して普通に入ってる[先生や生徒会は知らない]からそんなの全然気にしない。
一応ドアノブに手をかけてみたら………すんなり開いた。というか壊れてた。壊さずに済んだみたいだね
屋上に入り周りを見渡すが……誰もいない。当たり前だが学校と一緒だ。
だけど学校とは違う……何かって言うと景色だ。海と空が重なってできる水平線が見事に綺麗なのだ。
「あっちとは比べもんにならねーな」
あっちとは勿論学校だ。学校の景色は町並みだけだから正直見飽きた。その点こっちはずっと見てても飽きない、それ程綺麗なのだ。
それから俺はかなりの間ぼーっとしていた。風も気持ちいし、見てても全然飽きない。
* * *
「ねぇミユちゃん、ナツくん遅すぎない?」
「迷子にでもなってるんじゃないの?」
「ははっ、まっさか〜……ありえるかも!?」
私達はおばあちゃんに会った後、ソファーでジュースを飲みながら話していた。
「探したほうがいいかな?」
「大丈夫だよ、お兄ちゃんなら」
「で、でも……」
やっぱり心配だよ。ナツくん方向音痴なんだもん。
「お姉ちゃん」
「うぅ……」
* * *
そんなやりとりを知らずに、俺はと言うと屋上でずっとぼーっとしていました。
やっぱりいい眺めだ、一日中いれる気がする。
「ここは立ち入り禁止のはずだけどな?」