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第四話 真実 2

俺が教室に入る頃には、殆どの生徒は自分の席に着いていて、立って喋っていた生徒もHRまでの時間があと少しになると、自然と席に着いた。



みんなそういうことはちゃんとしてるよな〜、なんて思いながら窓際の最後列、つまり俺の席に向かおうとすると誰かに話し掛けられた。



「おはよう夏紀、ちょっといいか?」



誰かってのは勇也だった。覚えてる?井上 勇也、その眼鏡の秀才が話掛けてきた。あ、ちなみに勇也の席は、一番後ろの廊下側から二番目。目が悪いなら前に行けばいいのにって言ったら、後ろに人がいると集中出来ないとか言ってたな。変わった奴だね?



「よう勇也、どうかしたのか?」


「ああ。そ、その…えっと………さ」


「さ?さがどうした?」



どうしたんだ?勇也がどもるのは凄く珍しい。瑞穂はいつもそうだから聞いててなにも思わないけど、勇也がどもるのはかなりレアだよ?……とまぁ、冗談は置いといて、言いずらそうにしてる勇也を、俺はちゃかすことなく見ていた。



「夏紀の知り合いに、さ、西城さんっているだろ?」


「西城さん……?」



って………蒼空か。確か死神……じゃなくて、夕海さんから聞いたんだよな。本人に確認してないけど、多分そうなんだろう。



にしても、おかしな話だよな〜。夢の少女に言われたことを本気にしてさ、で、大切な人は………見つかった、のか?……まぁそれはいいとして、結局蒼空は今、俺の中では大切な人になった訳だ。



ん?ってことは、蒼空は……死ぬ、のか?……まさかな、そこまでは無いだろう。少し気にし過ぎだな俺は。


っと、話が大分逸れたな、今は勇也と話してるんだった。



「蒼空のことか?」


「あ、ああ。その西城 蒼空さん。お前どうやって仲良くなったんだ?」


「……………」



俺が黙った理由は二つ。一つは呆れ。蒼空と仲良くなり、連み始めたというものの晴斗も含め、他にも色んな人に聞かれたから、その呆れ。まぁ、面倒くさいし、ちょっとした知り合いでいつもは通してる。


んでもう一つは勇也に対しての失望感?まぁどっちも呆れだけど。だって、まさか勇也は聞いてこないだろうと思ったけど、聞いてきたことに驚いたし、まぁそのことの失望感。



「なんで、勇也がそういうこと聞くんだ?」



だから少しキレ気味になって勇也に質問した。気味ってことは怒ってないからね?ただこうすると、何故だかみんな素直になるからこんな風にするの、分かった?



「え?な、夏紀?俺は別に………すまん!晴斗」



勇也が口走った名前、晴斗。そういうことか……。



「全部話せば、楽になるかもな、勇也?」



視線を勇也から、さっきまでこっちの方を見ていた、もう一人の茶髪バカ眼鏡に向けると、一瞬だけ目が合うが、途端に窓の方に顔ごと移したバカ。まぁ、アイツはあとでいいだろう。



「っ……分かった。何故か分からないけど、晴斗にそう聞いてくれって頼まれてな」


「ま、そういうことだろうと思ってたけどな」


「夏紀、ホントにやめてくれ、お前の冗談は冗談に聞けないし見えなくて、怖いんだよ」



俺が笑顔になって思ってたことを言うと、勇也は呆れたように言った。冗談なのにそんなに怖かったか?まぁ勇也がそう思ったんなら怖いんだろうな…。




教師はいまだに来ないものの、時間も結構ヤバくなってきたから、勇也に席に着くってだけ言い残し、その場をあとにした。



席に着いたはいいが、なんか気まずい。隣の瑞穂はなにも言わないし、前の晴斗は分かるけど、その隣の楓もなにも言わない。どうしたんだ?確か……蒼空と連み始めてからこうなったんだよな?なにかあったけ?



「な、夏紀?怒ってる?」



そんなことを思ってると、前の晴斗が振り向き、怯えながらも俺に訊ねてきた。



「別に怒ってない………ただ」


「ただ?」


「聞きたいことがあるなら自分で聞け」



だってずるいだろ?自分でやらずに他の人に頼んでさ、そういうの嫌いだからさっきは少しだけ怒ったわけ。



「だ、だって夏紀よ〜、聞いても教えてくれないだろ?」


「そんなに聞きたいなら教えても良いけど、大したことじゃないぞ?」


「「ホント?」」



さっきまで黙っていた瑞穂と楓が声をハモらして言った。もしかして二人も聞きたかったとか?聞かれなかったから言わなかったけど、別に二人になら普通に教えたのに、晴斗はちょっとウザかったから嫌だったけど……。




そのあとに簡単に蒼空とのことを話した。どこで出逢ったか、どうやって知り合いになったのかを説明した。説明が終わると丁度教師も入ってきてチャイムが鳴った。三人とも何か聞きたそうにしてたけど、授業が始まったからそれもお預け、多分一時間目終わったら聞かれるだろう。


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