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第一話 出逢い 2

紗癒が親父の隣 心優が俺の隣に座った。



「どうしたの?」



何故こっちにきたのか分からなかったから、取り敢えず紗癒に聞いてみた。


だけど、俺の問いは無視され、紗癒の方を見ると不適な笑みを浮かべている。まぁいっか、そう思いテーブルに置いてあるスープを飲み始めると、紗癒が口を開いた。



「お父さん知ってる?」


「ん?なんだ?」


「ナツくんね、上級生の子達に結構人気あるのよ」


「ブッ!」



飲んでいたスープが少しでた。だって今なんて言った!?



「お兄ちゃん汚〜い」



心優の言葉は耳に入らず、汚れたテーブルを布巾で拭きながら、紗癒の言ったことを頭の中で繰り返していた。


俺の聞き間違いだよね?ってかそう願いたいんだけど……。



「ほー!そうなのか、夏紀もそういう年頃になったのか」


親父の反応……やっぱ聞き間違いじゃないのか、ってか、今の反応ホントに親父って感じだよな…。その後に心優が追撃をかけた。



「そういえばお兄ちゃんね〜、中等部の子からも人気あるんだよ」



心優も俺の顔を見て笑う。可愛いよ?可愛いけど今のキミには憎たらしさしかないよ?まさに……可愛さ余って憎さ百倍?

でもこんな事言われて黙ってる俺じゃないよ?



「ちょ、待て紗癒!心優!なに言ってんだよ!」


「だって本当のことでしょう?」


「そうだよ!この前だって手紙渡したじゃない」






〜しばらくの沈黙〜






「へぇ〜、それはお姉ちゃん知らなかったな〜」


「……そんなの、知らない」


「お兄ちゃん、それは酷いよ?折角みんな頑張って書いたのに……みんな可哀想だよ」



心優の顔が俯き、ちょっと泣きそうな顔になっている。



「心優ちゃん、みんなって何人くらい?」


「え?う〜んとね〜、他のクラスの子もいたから……六人くらいかな?」


「ふ〜ん、ナツくん?貰ったの?」



冷や汗だらだらです。紗癒は笑ってるけど、なんか後ろにどす黒いものが見えてるんですけど!?



「……はい、貰いました。」


「だったら、嘘付いちゃ駄目でしょ?」


「すいませんでした。」



初めて知りました。ウチの姉の恐ろしさを……。


「ま、まぁ結構順調らしいな、夏紀」


「はは…………ご馳走様でした。」



もう疲れました。なんで朝食[昼食]を取るだけでこんなに疲れるんだ?


これ以上いると、またなんかありそうだから、食器を流しに置いて二階に逃げるように戻った。








もう嫌だ。そういうことを親にはあまり知られたくなかったのに、紗癒と心優のせいで、はぁ、もう疲れた。



まぁ、確かに先輩方や同級生[後輩]に手紙やらで呼び出された事もあったが、ほとんど無視していた。理由はたいしてないが、そういうの苦手だから………そんなこんなで女性付き合いとかは皆無です。



「はぁ〜」



今日で溜め息吐くのは何度目だろう?今日ほど溜め息をするのは珍しい……前は一体何時だったか……あ〜そうか、あの日だったな、そのせいで学校行きたくなくなったんだよな〜……。


まぁこの話はいずれ話すとして、それにしてもなんであいつらは俺にあそこまでしてかまうんだろう?疲れるんだよな〜、まったく


勿論言えない、もし聞こえてしまったら疲れる羽目になることは目に見えているから。我ながら情けないよ……。



「もう疲れたな〜」



ベッドに横になって、少しの間ぼーっとしていると、誰かが階段を上がってくる足音がした。



「多分、心優だな」



思ったことを口に出すと、俺の部屋の扉が開いた。



「お兄ちゃん!」


「な、なに!?」



いきなり入って来たんで、少し驚いた。だってぼーっとしてるところに、入って来たんだよ?普通驚くだろ?


そんな事を気に知らず、心優が話し始めた。



「お母さんがね、お婆ちゃんの所に行くから用意しといてって」


「わかったよ」


「じゃあ伝えたよ」



俺はベッドから起き上がり、部屋から出ようとした心優を呼び止める。



「ちょっと待て心優」


「ん?な〜に?」


「なんでお前はいつもノックをしないんだ?前も言ったよな」



俺は少し怒り気味に言った。だっていきなり入ってくるんだよ?中で何かやってたら………別にそういう、変なことやってる訳じゃ無いよ?……じゃなくてっ!何かやってたら驚くでしょ?誰だってそうだろ?……もういい、疲れた。



「え?だ、だって家族なんだしノックくらい、別にいいかなって思ったんだもん」



心優は少し半べそで言い返してきた。ヤバいちょっと可哀想になってきた。でもここはちゃんと言わなくちゃな



「親しき仲にも礼儀有りって言葉知ってるか?」


「知ってるよそのくらい!」


「じゃあそういうことだ」


「別にいいじゃない、お兄ちゃんのバカ!」



バカ?……ショックなんだけど、ってか心優に初めてバカって言われた。これはあれか、反抗期の現れなのか?



「うっ……、わかったら帰れ」



俺が言った途端、何かを思い付いたように心優の顔が赤くなった。今度はなんだよ?



「そ、そうだよねお兄ちゃんも、お、お年頃……だもんね」



………え?い、今なんて言った?この子絶対なんか勘違いしてるよ!?



「ちょ、ちょっと待て心優!何かお前変な誤解してないか?」


「いいんだよ別に、それにごめんね?これからはちゃんと気をつけるから、じゃあね!」



早口で言った途端に勢いよく扉を閉めて出てっていった。



「ちょっと待て、最悪だ………」



心優はもういないのに、俺は制止の言葉を言っていた。



「疲れた……」



その後またベッドに横になり、自分の部屋の天井をぼーっと見ていた。


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