表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/25

第三話 再会 1

意識を失う前、瑞穂と晴斗の声が聞こえた気がする。



その前は………そうだ、考え事してて、確かぼーっとしてたんだよな、それで……何があったんだ?



………駄目だ、思い出せない、瑞穂の頭を撫でたことまでは覚えてるんだが、その後の記憶がない。



何でこんなことになったのか、それ以前に何を考えていたのかさえ、全然覚えてない。






* * *






心地良い風に目が覚め、立ち上がり、周りを見回すと、前に一度だけ来たときがある草原だった。



「ここは……」


「こんにちは」


後ろから聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くと、見覚えのある少女


「なぁ…俺……どうし、たんだ?」


訊かずには入られない台詞、でも、彼女なら、知ってると思った。だって彼女は「死神」だから


「事故です。貴方が車に跳ねられました」


「えっ?……俺、死んだのか?」


「いいえ、貴方の体は無事です」



最初は、事故だって聞いて驚いたが、彼女の言葉を聞いて安心した。



「そうか……よかった」


「それより、逢いましたか?」


「ん?……ああ、名字は聞けなかったけどな」


そう、五時間目の考え事、昨日誰かに出逢ったか?この答えは、彼女を一目見て思い出した。


「確か「蒼空」…だったよな?」


「ええ、名字は西城です」


西城……どっかで聞いたような……、って、蒼空と言ってること同じじゃん


「彼女が、俺の大切な?」



(……)



「どうでしょうね、でも、もしかしたら、運命を変えられるかもしれない」


「あんた、何言ってんだ?」


正直、運命とか言われても、わからないよ


「いえ、なんでもありませんよ、ほら、貴方の友人や家族が呼んでいますよ」



(……くん)



「ああ………なぁ、あんた、俺のこと知っているのか?」


俺のこと、それは、俺の昔のこと


「ええ、ずっと視ていましたから」


周りには知られたくない過去、彼女はそれを知っている。少しだけ嫌な気持ちになった。


「そうか……最後に一ついいか?」


「何でしょうか?」


「あんた、前の奴じゃないよな?」


逢ったときから感じた、前の奴と全然違う、温かさ、彼女にはそれがある。それと、何故だか懐かしさを感じる。


「っ……」


「あ!やっぱもう一つ、あんた名前は?」



(ナツく……)



「あまり言いたくないんですけど、貴方なら、……です。」


「……か、いい名前だ、それじゃ、また」







視界から彼女が消えた後、辺り一面光に包まれ、目の前が真っ白になり、覚醒する。











彼が帰ってから、少しだけ時がたった。だけど私は、その場所から動かずにいた。




彼がいなくなった場所、何もないのに、ただそこだけを見ていた。




「あの人が、私、いや、私達の………」








* * *








「……んっ」


目覚めると、目の前に紗癒、瑞穂、晴斗がいた。


口には出さないが、正直帰ってほしかった。


「ナツくんっ!」


言うと同時に、紗癒が俺の上にダイブする。


「紗癒、重い」


「女の子向かって、重いは傷つくな〜?」


「………」


事実を言ったまでだ


「な、夏紀君、だ、大丈夫?」


心配して言ってくれているのに、瑞穂のどもりもウザく感じる。


どうしたんだ、俺?


「ああ、大丈夫だよ」


一人にしてほしい。なんなんだよ、この気持ち



「っ………おい瑞穂、夏紀も大丈夫なんだし、俺らは帰るぞ」


「えっ、ちょ、ハルくん!?」


「じゃあ、俺ら帰るわ」


瑞穂の腕をつかみ、晴斗は部屋から出てく。


アイツは、気付いてくれたのか?


「……ああ」




紗癒が、俺の足の上に布団を挟み、座りながら見てくる。


「なに?ってかその前に降りろよ」


ウザいんだよ


「ナツくん……変」


降りてからの第一声がそれか


「何が変なんだよ、それより、親父達は?」


「先生にお話を聞いてる、ミユちゃんも一緒」


ここにいなくてよかった、いたら、ちょっと揉めそうかも


「そうか……、紗癒、親父達に伝えて欲しいんだけど?」


「なんて?」


「そのまま帰ってくれって、ちょっと頭が痛くて、休みたい」


嘘だ、ちっとも痛くない、ただ会いたくない。それだけ


「あ、うん、わかった」


"また来るね"とだけ言い残し、部屋を出ていった。







「ふ〜、やっと帰ったか」


「……話を聞かせてもらったが、ひどいなキミは」


「っ!……」



聞き覚えある声が、同室のカーテンの奥から聞こえ、俺は布団から下り、声がした方へ近付いた。


先週更新できなくてすいませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ