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第4話「脱ニートが近づいてくる」

 初めて魔法を使ってからしばらくは、風の形を変えてみたりスピードを変えてみたり鋭さを変えてみたり、色々と試行錯誤した。


 最初の方は毎回壁を切り裂いてしまい何度も時間移動で戻ったが、最近は細かいコントロールが効くようになり壁より手前で抑えることができるようになった。


 時間移動でなんとかなると思い火属性と土属性を試したこともあったが、両方全然コントロールが効かなく家が燃えかけたり大量の土がどさっと積まれたりしてかなり焦った。

 どうやら僕の得意属性は風で間違いなく、水はまあまあ得意、それ以外は無理といった所なようだ。


 闇と光も試してみたかったが、珍しすぎるので本には説明しか載っていなかった。

 闇は呪い、光は呪いの逆バージョンみたいなもので、闇が相手にマイナスの効果を与えるのに対して光は仲間にプラスの効果を与えたり呪いを治したりするようだ。

 治療魔法なら水属性でも使えるのでまあ今のところは使えなくても大丈夫だと思う。


 時間移動も色々と試してみたのだが、どうやらドラ〇もんのタイムマ〇ンのように僕だけが過去に戻ったり未来に行ったりしているというよりは、この世界自体の時間が巻き戻っているようだ。僕だけは記憶はそのままで体だけその時間に戻る。

 つまり、過去に戻って未来を変えるなんてことも可能ということだ。

 やはり無敵だった。

 なんかこれ、使いまくると将来的に対価取られるとかありそうで怖い。

 まあ、今のところ使いまくっていても何も起きていないので大丈夫だろう。


 そんな感じで時間移動についての実験や初級風属性魔法と初級水属性魔法の練習をしていたら、やることが無くなってきたので中級魔法に挑戦することにした。


 簡単に挑戦してみようとは言ったものの、中級魔法は思ったよりも難しかった。


 水魔法の治療魔法も中級水属性魔法に含まれるのだが、水魔法自体そこまで得意ではないのでかなり苦戦した。

 操作しにくい水属性魔法を体の中で怪我の場所に持っていき、長い間その場所を維持しなくてはならないのだ。

 魔力を怪我を治すような形に変えるというのも本当に難しい。

 しかし治療魔法は冒険者にとってかなり重要そうなので頑張って取得した。もっとも1年ほどかかったが。

 治療魔法のためだけに何回指先を紙で切ったことか。思い出すだけで指が痛くなる。

 指の皮が若干強くなっていそうだ。


 中級風属性魔法は若干苦戦したものの、比較的簡単に取得できた。

 中級魔法は全体的に少し規模が大きくなるので、何度かこの部屋に犠牲になってもらった。竜巻とかが主な例だ。


 他にもいくつかの中級風属性魔法や中級水属性魔法を取得したが、火属性と土属性に関しては初級魔法でさえ取得するのに二年もかかった。

 無論中級魔法なんてものは無理だった。

 放つのに時間が物凄くかかる上、魔力の消費も激しく成功率も低いので戦闘では全く使わないと思うが。

 使うとしたら肉を焼くときとか落とし穴を作るときくらいだろう。


 魔力の消費量は魔法を使っているうちに段々分かるようになってきた。

 本によると、50くらいの魔力は常に残しておいた方がいいらしい。

 0になったら動けなくなるからだそうだ。

 これは要注意だな。

 ちなみに時間移動は魔力も消費しない。

 もう本当に反則だと思う、このスキル。


 そんな感じで魔法を鍛えていたら、いつの間にか僕は6歳になった。

 ちなみに時間のシステムや1年の長さなどは地球と全く同じだ。

 季節と呼ばれるものは無いが、月はあるようだ。


 そして6歳の誕生日の翌日、アナベルが僕にこんなことを言った。

 ちなみに僕の誕生日は3月8日だ。


「6歳になったのだし、今日からは剣を習ってもらうわよ。ウスターシュがうちのお庭で教えてくれるから、頑張って」


 剣…まあ、確かにウスターシュもクロードも扱えるようだから、男ならやるのが普通なのだろう。異世界だし。


 クロードは魔法は全然上手く使えないが、剣の腕はそれなりに上手いらしいのだ。

 この目で見たことがないのでどのくらいなのかは分からないが、自慢できるくらいには上手いらしい。

 それなら何故ウスターシュに教わるのか疑問に思ったが、どうやらウスターシュの方が上らしい。


 やばい。あの男、優秀過ぎてやばい。

 もしかしたら人間じゃないのかもしれない。

 人外とか言われても僕は信じる。

 そもそも、なんでこんなに優秀な執事が家にいるんだろう。

 王家お抱え執事でもおかしくない。

 そのくらいできる人オーラが凄まじい。

 そして実力も凄まじい。

 やばい。

 そのやばさに僕の語彙力が飛んでいくくらいやばい。


 という訳で、僕は剣を習い始めた。

 ウスターシュに言わせると、僕の剣の技術は「普通」らしい。

 フィリベール様は字がお上手ですし頭脳系なんでしょう、だそうだ。

 頭脳面も肉体面も礼儀作法も全て完璧なウスターシュに言われるとかなり微妙な気分だ。

 そもそも僕が六歳にしては頭がいいのも前世の記憶のおかげだし、そう考えたら時間移動以外取り得ってないんじゃないか?

 時間移動も何故か授けられただけのチートだし。

 だめじゃん、僕…。

 目から塩水が出てくるよ…。

 魔法だけでも頑張らないと…。


 ちなみに、僕は魔法が使えることを家族にばらしていない。

 練習し始めたのも1歳の時だし、その時から魔法について理解できたなんて流石に怪しすぎる。

 上級魔法は大規模すぎて今はまだ練習できないが、6歳だったら中級魔法でも多分十分だと思う。

 まあ、僕の魔法能力も平均より少し高いくらいなので、使えるに魔法の範囲に関してはそこまで期待していないが。


 とりあえずこれからはいつもの魔法練習に加えて剣の練習も頑張っていこうと思う。

 才能は普通でも、努力すればそれなりに上手くなるだろう。


~~~~~~~~~~~~~~~


 こつこつと剣の腕を上げる練習をし始めてから半年。

 今度は、アナベルがこんなことを言い出した。


「九月から学校が始まるわ。普通の人は別に行かなくてもいいのだけど、フィルの身分だとぎりぎり行かないといけないから。学校に行ける身分の中ではかなり下だからやりづらいかもしれないけど頑張って」


 いやいや、いきなりすぎるでしょ。

 そもそも学校なんてあったの?普通に初耳。

 しかもぎりぎり学校に行ける身分とか終わってる。

 この世界の仕組みからして上の方のお嬢様お坊ちゃまに見下される運命が見える。

 最近分かってきたが、この世では国を仕切るのは王様だし、貴族だっている。

 ゲームでよくある世界のような感じだ。

 僕の家はまあまあ有力な貴族のかなり遠い親戚。

 ぎりぎり貴族だが形だけなので貴族らしいこともしないし権力もほぼない。

 多分僕の孫あたりには貴族で無くなっているであろう。


「学校って、なにやるの?」


 単純な疑問をぶつける。


「うーん、剣とか魔法とか礼儀作法とか文字とか計算とか…あと、歴史も」


 歴史と礼儀作法以外全部もうやってるんですが。

 あれ、僕って案外頑張ってる?


 というか、クロードは子供の時に貴族だったはずだから文字も習っているはずだ。

 何故読めないのだろう。


「まあ、文字とか計算とかは大人になったらみんな忘れちゃうわ。冒険者でもない限りそんなに使わないしね」


 おいおい。

 まあ、僕は冒険者になりたいからきちんとやっておいた方が…もうできるけど。

 とりあえず歴史を頑張ろうかな。

 「アンベール王国の歴史」はまだ読んでないしちょうどいい。

 礼儀作法はまあ、僕にはどうせ使う機会が無いだろうし形だけ頑張ればいいだろう。


 そうか、学校か…。

 この世界ではまだ友達がいないし、少し楽しみだな。

 できれば友達が欲しいけど、僕の身分だとできないかもなあ…。

 同じような身分で優しい子、いるといいな。


 とりあえず入学まではアンベール王国の歴史を読んで予習でもしておくか。

 どうせ暇だし。

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