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コミュニケーションが苦手
麗奈が高校1年生の冬。
クラスの男子から自宅に電話がきた。
初めてのことだった。
麗奈が少し気になっていた男子だった。
二人はその夜 近くの駅で待ち合わせることになった。田舎町の人影も少なく薄暗い駅だった。
麗奈は自分の心臓の音がハッキリ聞こえるほど、緊張していた。
彼はどちらかというと不良グループに属していた。見た目はぽっちゃり。背も高くない。制服はいつもわざとブカブカに着ていた。
きっと女の扱いには慣れていた。
駅から少し離れた畑の中に並んで座った。
何を話したか覚えていない。
おもむろに彼は麗奈の腰に腕を回した。
「ごめん」
キスされそうになって、無意識に拒否してしまった。
その後、どーやって帰ったのか覚えていない。
とにかく頭の中が真っ白になっていた。
もともと学校でも話す機会はなかったが、それ以来 彼と話すことはなかった。当時はお互い携帯なども持っていなかった。
その日の出来事は誰にも言えなかった。
もしかしたら、からかわれたのか?私の反応を楽しんでいただけ?
麗奈はすっかり人間不信になっていた。