43.金熊戦:不動熊
やっぱり文字数が伸びない…。
短めです。急いで書いたのでいつも以上に乱雑です。
ご容赦ください。
「グガァアアアアア!?」
金熊は何が起こったのか分からず呻きながら数歩後ずさる。
今も黒い光が金熊の体に纏わりつくと、徐々に大きくなり地面を伝ってソーリスの体に這い出した。
だが、金熊と違ってソーリスに苦悶の表情は無い。
強いて言えば、見た目がいかにも邪悪そうな黒い光に戸惑いがあるようだ。
実際にソーリスが『逃走吸収』を使用したのは今回が初めてだ。
このスキルは特性上練習することも出来ないし。
オレが初めて使った時も母の子宮の中だったしな。
ともあれ、金熊を倒すための要の策、それが『逃走吸収』を使用したレベルダウン作戦だった。
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l逃走吸収(2/5LV コスト無し 祝福スキル)
l-対象を確認出来る状態で、尚且つ逃走する時にのみ、発動できる。
l-このスキルは、祝福スキル以外ではレジスト出来ない。
l-スキル保有者の半径10m以内、8倍以上のレベルを持つ者を対象とすることが出来る。
l-スキル保有者のレベルを対象者のレベルの半分を、経験値として吸収する。
l-対象に対して逃走以外の行動がとれなくなる。この効果は対象者が生きている限り有効。
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オレが初めて使ったスキルだが、今このスキルを使用するには相手のレベルが200を超えることになる。
正直、そんな奴がこの世界にいるのかどうかも怪しいレベルだ。
祝福スキルなのだが、今となっては捨てスキルと化しつつある。
だが、ソーリスは違う。ソーリスはレベル10であり、対象は80レベル以上が対象で、200レベルよりは現実的だ。事実金熊がいたし。
ソーリスがこのスキルを持っているのは、同じく祝福スキルである『徴収贈与』の効果だ。
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l徴収贈与(2/5LV コスト無し 祝福スキル)
l-死体に接触している状態で発動出来る。
l-このスキルは、祝福スキル以外ではレジスト出来ない。
l-スキル保有者のスキルを2つ対象の死体に譲渡する。死体よりスキルを一つ選択し、それを習得
l することが出来る。スキルランク、レベルは問わない。
l-このスキルで習得したスキルのレベルは全て2になる。
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スキル『徴収贈与』の基本は、『2つのスキルを死体に移し、1つのスキルを自分に移す』という物。
今回オレが貰う『徴収』効果はどうでもいい。
重要なのはソーリスにスキルを2つ渡せるという『贈与』効果の方で、本質が死体であるソーリスにはスキル渡すことが出来る。
更に、オレが取得できるスキルのレベルは3以上の物は2にレベルダウンするのに対し、与えるスキルのレベルはそのままだ。
というか、『贈与』の部分が強すぎるだろう。もっと『徴収』の部分で頑張って頂きたい。
そんな『徴収贈与』だが、今回ソーリスからスキル『料理』を貰い、オレからは『逃走吸収』『縮地法』を渡してある。
「グルルルゥゥ…」
そして今、金熊はソーリスの『逃走吸収』によってレベルを吸われつつある。
金熊は呻きながら地面に膝を突いているが、その眼はオレ達を睨みつけたまま、敵意が収まる気配はない。
また、ソーリスも『逃走吸収』の効果によってか、一刻も早く金熊から離れようと後ずさっている。
何とかこらえようとしているのか、その顔は苦しそうだ。
そんなソーリスの腕をオレは掴んだ。森へ逃げるよりも『倉庫』に入る方が安全だ。
『観察の魔眼』で見る限り、ソーリスのレベルに変化はない。ソーリスが得た経験値は『魂の契約』によってすべてオレに流れて来るからだ。
メリットのみオレが受け取り、デメリットだけがソーリスに行っている感じか。
何と言うか申し訳無いな。
やがて、金熊を包んでいた黒い光が少しずつ収まっていく。
完全に無くなると、ゆっくりした動きで金熊が立ち上がった。その姿はとてもレベルを半分も失ったようには見えない力強い仁王立ちだった。
そんな堂々とした金熊の姿勢に関心しつつも、『鑑定の魔眼』を使う。
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l名前:インターセプト・ゴールデン・ベアー(ウル)
l種族(状態):魔熊族(健康)
lLV:41(0M/194M 1M=1000000)
lHP:426/426
lMP:71/109
l攻撃力:221
l守備力:641
l行動力:133
l幸運 ;67
l
lユニークスキル
l-絶対反撃(3/5LV)
l
lスキル
l-爪術(3/5LV) -咆哮(4/5LV)
l-精密(2/5LV) -不動心(3/5LV)
l-察知(3/5LV) -防衛(4/5LV)
l-波動化(3/5LV) -力溜め(2/5LV)
l-硬骨(4/5LV) -再生(4/5LV)
l
l称号
l-突然変異体
l-ダンジョンボス
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ステータスは半減しているが、スキルには影響なしか。
だが、これでようやく同じ土俵に立てるぐらいの実力差にはなった。
ここからが本番だ。
「ソーリス、もう一度『倉庫』へ」
「……お願いします。思ったよりも逃走の欲求が強いです」
「気にするな」
ソーリスも一緒に戦いたかったのか、オレへ申し訳なさそうに謝った。
そんなソーリスに声を掛けつつ、俺は再び『倉庫』を使いソーリスはこの場から姿を消した。
そして、改めて金熊と向き直る。
金熊は先ほどから変わらず仁王立ちのままだ。
二本足で立ち上ったその姿は凡そ5mを超える姿は中々迫力がある。
手を上げて威嚇するわけでもなく、何かのスキルを使うような気配も無い。
先ほどの苦しそうなうめき声も無く、衝撃波を放つ際の咆哮を放った時の様な激情も見受けられない。
唯々、オレを見据えるだけだ。
『動』から『静』へ。
『レベル吸収』などという得体のしれない事態に対しても一瞬で落ち着きを取り戻す。
熊の癖にまるでどこかの達人の様だ。
…もしかしたら、近接時は戦闘スタイルを変えるのかもしれない。
スキル構成から予想すると恐らくカウンター型、後の先を取るようなタイプだ。
ステータスでは守備力以外はオレが上回っている。攻撃力よりもオレの方が防御力が高い。
仕掛けてこないのなら、オレが先に踏み込んでみようか。
「しっ!」
短く息を吐いて『天歩』で宙を踏み、体を回転させながらククリナイフを振るう。
狙いは頭、防御力が最も低そうな眼を狙う。
だが金熊は動かない。ククリナイフを見ずに、目線も俺の顔を捉えたままだ。
確実に何かしてくる。
そんな予見しながらも、オレはククリナイフを振り抜いた。




