住人増加1
その日は、少しバタバタしたが、皆でにぎやかな夕飯を食べて早目に寝ることになった。結局二人の事情を聴いて、最初案内した部屋にはマリアだけ使ってもらって、別の畳の部屋に布団を敷いてカロにはねてもらうことにした。とりあえず夫婦扱いはやめることにした。その晩は、2人の男の子の様子はマリアが見ることになった。様態に何か変化があったときは、遠慮しないで加奈を呼ぶようにくどいくらい言った後だったが。
次の日、久しぶりの我が家の目覚めは爽快であった。いろいろ問題はあるだろうが何かどうにでもなるだろうという感じだ。横で寝ていたベルは私が起きだしても珍しくぐっすり寝ていた。子供のわりに意外に体力があるのだがさすがにこの旅は疲れていたのだろう。寝ているベルのためにそっとドアを閉め下に降りた。子供たちが寝ている部屋を覗くとマリアが布団に伏せ、うたた寝をしているようだった。加奈が来た音で気づいたのかもたれかかっていた布団からはっとしたように身を起こした。何か言おうとしているようだったがそれを止めさせた。
「いいから、いいから。こっちへ来て」
小さい声で加奈が言うと、子供たちのほうを気にかけながら立ち上がった。
リビングに来て座ってもらい、遠慮するのを押しとどめながら、お茶の用意をする。
子供は大丈夫そうではあったが一応様態を聞く。実際問題、加奈にはこれ以上子供たちが悪化したらばどうにもできないのだが聞いておく。
「2人とも昨日はあれから目を覚まさずにぐっすり寝ていました。本当にありがとうございます。あのままだったら先はなかった私たちにとって、あなた様には感謝してもしきれません。わ・」
「もうそれはいいから」
「いえでも、言わせてく・」
「本当にもう勘弁してください。たまたまの巡りあわせですから。袖すりあうも他生の縁って私の生まれたところでは言います。私たちは会うべくしてあったのだと思います」
これ以上この木っ端恥ずかしい感謝の言葉を聞いていられなくなってぶったぎった。しかし、最初は照れくささから適当なことを口から出まかせで言っていたが、自分で言っていながら確かにこの獣人たちと会うのは何かの縁であったのかもしれないと思った。
まだ何か言いたそうなマリアの目を見つめながら真摯にこの思いが伝わればと思いながら言った。
「マリア、私たちは、私とベルとハクとイエロー、レッド、ブルー、ブラックの5羽でここで生活しています。ベルのため・・・いえ、私たちのためにも人と出会えることは大歓迎なのです。だから言わせてください。ここへ来てくれてありがとうございます。元気になったら出ていくことになっても私のほうこそ、あなたたちが今ここにいてくれて感謝しているのです。」
投稿中断してすみませんでした。復活して続投するつもりです。読んでくださっている皆さま、引き続きよろしくお願いいたします。




