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40.夕飯は?


大量の餅を焼きまくった。どうしてこうなった。




おやつに制限したのが、まずかったのか?その日の夕飯は、ご飯ではなく、焼いた餅がいいとぬかしおった。


みんなが。


ストーブにけんちん汁をかけ、土間で、バーべキュー用のコンロを出し、がんがん焼きまくった。


私が。


あらかじめ作っておいた茶碗蒸しと煮魚のレンジでチンをベルに頼んだ。

すぐにやってくれる。ありがたい。

ベルにも皆と一緒に食べるように促す。精霊様の分は、言わなくても取り分けてくれたようだ。


気遣いができるよ。うちの子。激カワ、劇カワ。こんないい子でどうしよう。


おかわり遠慮しないな。


皆。


ベルが、可奈に代わって焼くと言ってくれる。すごくうれしい。

やり方を教え、一人でやらせてみる。コンロの高さが、ベルの胸の辺だ。端のほうで、2個ぐらい焼いて、焼き具合を確認するように言うと、すぐ要領を覚え、器用にトングを使う。長箸は、もう少し大きくなってからというと、おとなしくトングを使ってくれる。

「まだ、この長い箸は、無理だからね」

と、小さい手で、自分から持ってみる。理解が早くて結構である。でも、使いたそうにしているのが、玉に瑕か。見張っていないといけないかもしれない。イエローに注意させるよう、ハクにまかせよう。

無心に食べていると思って、鶏たちのほうを見ると、皆、ベルのやるところを見ている。気になる妹分のような感じだ。心配しているのが、伝わってくる。

イエローおまえは、餅を口にくわえたまま。こちらを見ているのは止めろ。がつがつ食べているイエローに、ベルの横にいるようにいう。


「イエロー、ベルのそばにいて」

その、なぜ?見たいな顔は止めろ。


「ベルに火の粉が飛んだら、身体をはれ。」

イエローのそばに行き、囁く・・・・脅しつける。口に銜えていた餅を飲み込んで、いそいで、ベルの隣に行った。


よし、よし。


ベルが餅を焼き上げてくれた。可奈へということだ。磯辺にして、ひとつ食べ、もうひとつはベルが食べた。

大変おいしくいただきました。お腹がすくということは、大変なことだね。性格も変わっちゃうかもしれないよ。

餅だって、たった一つと言うことなけれ、ベルが焼いてくれた餅は貴重だよ。それで結構、お腹が膨らんで、イエローにも大きな気持ちになれたからね。先ほどのいらいらが解消され、次々と出る餅の追加注文をこなしていった。

ベルと。


お腹もそろそろ、いっぱいになったということで、デザートを出した。倉庫の冷蔵庫に仕舞ってあった杏仁豆腐を出すと、何これコールが、吹き荒れた。

「あれっ?今まで出したことがなかった?」

惚けてみた。すっかり忘れていたのだ。倉庫の冷凍庫や冷蔵庫には、この世界に来る前に、大量買いした様々な食材や食品が眠っている。それも、入れてあった袋さえ残っていればエンドレスで出てくる消耗品と同じだ。さらに食べ物だけに一番心配である賞味期限も消費期限も一切なしの無制限延長だ。


杏仁豆腐は、皆が気に入り、大量に消費だ。精霊様まで、おかわりを要求してきた。


ビスクドールくらいの大きさで、茶碗蒸しや煮魚は一人前、餅を3個、けんちん汁もお替りしていましたが、どこに入ったのでしょうか?

無表情なので、わかりにくい。


精霊様は、食べ終わるとレッドを呼びつけ、背中に乗ると、精霊様のマイ炬燵になりつつある畳の部屋の炬燵の中に移動した。



精霊様、大丈夫だろうか・・・・

可奈の心配そうな様子に気がついたのか、レッドが、任せてというように、コケッと鳴いて、精霊様が入った炬燵の蒲団に身体を半分もぐらせ、寝る体制に入った。どうやらそこで、見ていてくれるようだ。

「レッド、お願いね」

「コケッ」

小さな返事が返ってきた。

賢すぎだよ。うちの子たち。


約一羽を除いて。


鶏って、お腹をいっぱいにしても、腹を見せて、寝転んだりしないよね、ふつう。


お前のことだよ、お前。ベルが、時々、片付けの合間にお腹をなでるのが、気持ちがいいのか、目を半眼にして、うつらうつらしている。


おかしいだろ。


イエローお前のことだよ。

ハクたちは、片づけをしているだろう。なんで、一羽だけ寝ているんだ?


側を通りざま、軽く腹を踏んでやった。変な声が聞こえたが、知らないふりをしてやった。

意地悪なのではない。野性の本能が、まるで無くなってしまうことへの危機感を煽ってやったのだ。

ベルが、その声を聞いて、慌てて、キッチンから戻って来たのには、失敗したと思ったが。


さらに、ハクたちは、進化していた。


鶏の翼の稼動域って、せいぜい身体の真横を上下ぐらいだろうに、某CMのアヒルのように、身体の前まで、まるで人の腕のように使えるのである。何を言っているのか、わからないであろう。私も、最初は、何気なくやられていて、気づくのが遅れた。片づけを手伝ってくれているとき、お盆に使った皿や箸を載せ、両の翼を前に突き出し、お盆を載せて、器用にバランスをとって、キッチンの流しまで持っていき、ベルが受け取るという流れで片づけが進んでいたのだ。


なんか、もう、あんたら、人と同じ扱いで、よくね?



約一羽の無精者を除いて。


当然、後片付けを最後まで、きりきり働いてもらった。


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