表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/54

37.雪合戦

朝、目が覚め、カーテンをひくと、庭一面に、雪が積もっていた。

我が家の敷地内だけ。

後は、砂漠。

まあ、のっぺりと白一色と黄色一色のツートンカラーの世界だと思えば、それも面白い。2階の部屋は、暖房が、自動的に入るようになっているので、快適空間だ。熱いも寒いもない。ベルが起きだしているのが、後ろの気配でわかった。

「おはよう、ベル。雪が積もったよ」

「おかあさん、おはよう」

ベッドから飛び降り、可奈の横に立ち下を見る。

「あれっ。あれ、雪?全部雪?」

「そうだよ。積もったね」

「やったぁー」

「ふふっ、雪遊びができるね」

「うんっ」

すぐ動き出した。

「ベル、着替えて、ちゃんとご飯食べてからね」

声をかけると、すでに、服を出していた。すごいやる気だ。

「おかあさん、ご飯何する」

いつもより、いそいで着替え始めた可奈よりも、早く身支度が済んだベルが、可奈をせかすように声をかける。

「下へ行って、顔をあらっておいで」

「洗面所に、イエロー連れて行っていい?」

「縁側で声をかければ、ついて行ってくれるでしょ。もし、ぐずぐずするようだったら、ブルーかレッドについて行ってもらいなさい。」

「は~い」

下へ降りていく軽やかな音がする。昨日のことは、終わったことらしい。とりあえず、よかった。

ついでに東側の廊下の窓から、砂漠を望む。


いた。


やっぱりいた。


ドラゴン。


ここから見ても結構でかい。本当に、あのホビットの映画に出てくるドラゴンに似ている。タフさも、あれぐらいあるのかな。溶けた鉄がマグマのようになっているのを被っても、大丈夫なんて、怖すぎだよ。

ここには、エルフもホビットもドワーフもいないから。ホント勘弁してよと思うけど、

居座る気満々だな。


そうだ、昨日のやっつけた魔獣たちは、どこいったのかな。

砂に埋もれちゃったのかな?


それとも・・・


食べちゃった?



・・・そうだよね。弱肉強食、お腹がすいたら何でも食べなきゃね。考えてみれば、ここら辺、食べるものなどないよね。魔獣たちを主食にするのかな。


「おかあさ~ん」

階下から、可奈を呼ぶ声がする。しまった。ぼうっとしていたみたいだ。

「今行くよ」

返事をして、下に降りていく。

鶏たちに、納屋から土間に移した鶏の餌をやっているベルの姿があった。

「ありがとう。えらいね。ベル。おかあさんも、早くご飯つくるから」

「お手伝いする」

「ふふっ、ベルがいてくれて、助かるなぁ。お母さんも頑張らなきゃなぁ」

具体的に何を頑張るのか、自分で言っててわからないが。

「えぇ~おかあさん、頑張っているよ」

「そぉ?」

子どもの言うことだが、そういってくれると、うれしい。

こんなかわいい子いないよ。まったく。



お互い、ふふっ、あははっと笑い合いながら、朝を過ごした。


今日は、朝から、いい日だ。


後片付けやら、炬燵にもぐりこんでいる精霊様の世話やらをした後、本日のメインイベント、雪遊びをすることになった。クリスマスプレゼトが、活躍をする日がやってきた。ミトンだが、雪遊びには、十分だろう。

鶏たちに、厳しく言って、最初の足跡を皆でいっせいにつける手はずになっていた。フライングするヤツは、いつでもいるのだ。


イエロー。


早速追いかけて、雪玉をぶつけてやった。イエローをかばうベルにも、軽くぶつけた。

きゃあきゃあ言いながら、雪玉から逃れようとする。

・・・身のこなしがすばやい。

あっと言う間に、形勢逆転、イエローとベルがタッグを組んで、雪をぶつけてくる。片足で雪をつかんで、ほどよい固さにして、ぶつけてくるイエロー。おまえ、無駄に器用だな。

ハクとレッドとブルーは、可奈をカバーしようとしてくれる。ブラックは、ベルたちのグループに味方しているようだ。バランスを考えてくれたのだろう。尻が重いやつだが、空気が読めて、全体を見渡し、案外面倒みがいい。田んぼの方まで、駆け回って、皆大喜びだ。

約一名、体力がない人間を除いて。


一時休戦して、家の中庭の手付かずの雪で、雪だるまを作った。

汗をかいてしまったので、家の中に入り、ベルを着替えさせ、暖をとらせた。

「まだ、外で遊びたい」

「いいよ。おかあさんは、用事を済ませちゃうから、ハクたちと遊んでいて」

少し不満そうだが、可奈が、その日の仕事をすることは仕方がないと思ったのか、うなづいてくれた。ベルが、安心して不満を態度に出せるようになったことが、妙にうれしい。変な話だが、我がままばかり言う子供も、困るが、物分かりがよすぎる子供も、気持ちが悪い。

「わかった」

「寒かったら、すぐに家に入ってね」

「うん」

可奈の作ったお汁粉を食べるとそのまま外に、鶏たちを誘って、飛び出していった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ