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31.戦闘

ハクが微動だにせずイエローが鳴いた方向を見ている。他の鶏たちも、落ちつかなげに見ている。ついでに精霊様も、ゆっくりだがそちらの方向を向いた。


何?


「イエローどうしたの?」

ベルが不安そうに聞いてくる。

「わからないよ。行ってみよう」

声のしたほうに行ってみる。ハクは、なんだか最初からわかっていたみたいな感じだ。他の鶏たちも。イエローが見張りに立っていたのだろうか。


なんの見張り?



取り急ぎイエローの元に行く。いやな予感がする。


家を出て、家の東側の車庫へたどり着く前から原因がわかった。草っ原の向こうの砂漠に、大きくうごめく小山があった。ゴジ○?ガメ○?丸く蹲っていても、縦、横、高さ20m四方は、ありそうな大きさだ。


今いる魔獣はワーム型とか、虫型とかで、最初の頃こそ、神経張り詰めていたが今では、なんとなくそこらにいるという感じになってきていた。これは、あいつらより一段階も二段階も進化している。まだ、家の敷地内にいるというのに、存在の圧迫感がものすごい。



イエローも家の敷地ぎりぎりにいた。真っ直ぐ立って、その怪獣を見つめている。


ただ、見つめている。


孤高の姿をしている。ひどく絵になる。ってイエローの癖に。何を考えているのか。


「イエローっ」


ベルが、イエローの名を呼び、そばに走って行く。慌てて、可奈もついていく。

「ベル、バリアから外には出ないで。あまり、大きな声をださないで」

わかっているとは思ったが、一応声をかける。小さな声で。

声が響いて、怪獣の気をひきたくはない。鶏たち、特にハクが警戒を丸出しにしていないようなので、現状、大丈夫なのだと思う。でも、好き好んで、あんなでかい怪獣に家のバリアの耐久性を試したくない。


ベルはイエローの背中に手を掛け、一緒に怪獣を見つめている。隣に行きベルの肩を抱きながら、怪獣を眺める。



蹲っていて全容がわからない。わかるのは、恐竜とか怪獣とかの爬虫類系の大型版ってところか。


えっ、あれっ?翼?


えっえっえっええええええ?

ファンタジー定番っドラゴン?ドラゴン?


いや、まだ、そうだと決まったわけじゃないっ落ち着けっ私っ。


「ドラゴンだぁ・・・」

小さな呟きが、隣から聞こえた。


・・・・・・・やっぱり。


映画のロードオブ○ングを続編まで見てしまったベルが言ってるんだから、そうだよね。地球にドラゴンがいないことを説明することの大変さといったらなかったよ。あのときは。


言ってたものね、ドラゴンが、この世界本当にいるって。


でも、ここに、いなくてもいいよね。

っていうか、あれ、この家に近寄りすぎじゃない?砂漠は広いんだよ。



あっ!!砂漠が波打っている。一箇所だけじゃない。何箇所も。

あっやばいんじゃない。

思っているそばから、ざばっとばかりに砂からワーム型の魔獣が飛び出して、ドラゴンに飛び掛った。

ドラゴンも丸めていた首を挙げた。

でかいっでかいよ口がっ!!!飛び掛ってくるワームを口で捉えて、首を振るった瞬間・・・・


・・・ちぎれたよ。

投げ飛ばすんじゃないのかい。食いちぎっちゃうのかい。


次々に飛び掛る虫型魔獣を文字通りちぎっては、投げちぎっては投げ、無双だ。後ろからくるヤツは尻尾で叩き落としている・・・・はたき潰している。


横腹を狙ってくるやつがいるよっ・・と思った瞬間、鶏たちが、いっせいに飛び出した。

「やめてっ!!!戻ってきてっ!!!」

亜然としていて、間があいてしまった。声をかけたときには、もうすでに、ドラゴンの横腹に突っ込んでくる魔獣に突撃していた。


はやっ!!すごいはやい。あの子達いつのまに、あんなにすばやくなって、戦闘力も高くなったのか。

「イエロー、すごいっ。ハクかっこいいっ」

一番最初にたどりついたイエローが体当たりをかまし、ハクが両脚でドロップキックをかましている。というかえぐって吹き飛ばしている。


隣では、きゃあきゃあ喜んでいる少女がいる。

「あっレッド、ヘルファイアーを使っているっ!斬撃だっ!!!」

前にベルがゴミをマグマにした魔法を、レッドが口から?出している。ハクが魔獣とすれ違った瞬間、魔獣がちぎれた。


ヘルファイアーって何?斬撃っていつ命名したの?まだ中二まで6年の余あるよ。


目をきらきらさせて、今にもベルも突撃しそうだ。

両肩に手を掛ける。

ここから、だいたい50mはどのところだ。距離はあるというのに、地響きがものすごい。ドラゴンは、体を伸ばすと最初の見立てよりでかい。そんな怪獣が大暴れしているのだ。砂煙も半端ない。くんずほぐれつ、肉や体液が飛び散り、ものすごいことになっている。


ハクたちが、巻き込まれて下敷きにでもならないかとはらはらする。

「あっ、イエロー危ないっ!」

ベルが飛び出そうとする。両肩をつかんでいた手が外れそうになるのを、持ち直して、力をこめる。

「ダメツ!!!」

それでも、前に出ようとするベルを後ろから羽交い絞めするように、両腕を絡めて押しとどめる。

戦いをみると、イエローも、うまくかわせたようだ。

ほっとする。が、まだまだ終わらない。早く決着がつかないかっ。湧き出していた魔獣たちも終わりのようだ。

今いるやつらを始末したら終わりだ。早くっ、皆が怪我する前にっ。

最後の魔獣をドラゴンが銜えて振り回している。

「コケーッ」

ハクが突然鳴く。

一撃離脱していたイエローが、身をひるがえして戻って来る。レッドもブルーもブラックも戻って来る。ハクが皆離れたことを確認するかのように殿を戻って来た。


草っ原をゆうゆうと5羽が得意そうに翔けてきた。


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