12.我が家の戦力?
「ベルの大魔法成功記念だから、あなたたちもベルを祝ってね」
とハクたちにいうと、イエローが首をかしげた。
「コッコッ」
自分に注目してもらいたいかのように、可奈の気を引く。
「どうしたの?」
イエローがいまだ溶岩溜になっている穴の横に移動する。
「ちょっと、イエロー危ないから」
可奈の注意も無視して、トコトコ行く。他の鶏たちは、何やっているのだかと言う顔をして、イエローを見ている。
・・・と
チュドンッ
ベルよりも威力も低いし、範囲も小さいがミサイルが100mほど先に打ち込まれた。
はあぁ?
何が起こったの?
「すごいっ!イエローやったねっ」
隣でベルが飛び上がって喜んでいる。他の鶏たちはコケコケ鳴いているのやら、呆れた様子をしているのやら様々だ。
えっ?なんなの?イエロー?
えっえっ??
イエローを見ると、開いた嘴から少し煙がたなびいている。
はあぁ~あ?あんたがやったの?
声に出していたのだろう、隣にいるベルが自分のことのように得意そうに答える。
「そうだよ。イエローは魔法が使えるんだよっ!すごいでしょ」
「・・・スゴイデスネ」
なにがなにやらわからない。いつから鶏は嘴が小型ミサイルを出せるようになったんだ。
チュドンッ
鶏って、お尻から卵出すだけじゃナインデスネ。
2回も放ち、得意そうに、ふうっと軽く息を吐き、残った煙を吐き出すと、やりきった感丸出しのイエローがこちらを振り向く。よく言われるドヤ顔である。
ここで、可奈ができることは、一つだけだ。
「すごいよ、すごい、あんたはやればできる子だったんだね。今日は、ベルとあんたのお祝いだよ。」
そばに来たイエローを頭から体まで撫で回し、手放しで誉める。必殺誉めて伸ばす作戦だ。もう結果が出ていて、順番が違うような気がするが。
チュドンッチュドンッチュドンッ
ドカンッ
ゴオォンッドカンッ
はっ?
顔を上げると、他の鳥たちが横に並んで、砂漠に向かってドッカン、ドッカン魔法を打ちまくっている。
えっ?これ、普通のことなの?
そんな鶏たちに驚いている間にやってくるものがいた。魔獣だ。わらわらと砂の中から顔を出すものや、遠くから砂漠の海をもぐってくるものが寄ってきた。
「さぁ、ここは、もういいから戻ろ・」
チュドン
「・・・う・・ゕ」
顔を出した魔獣に真正面から当たった。こげ茶色の液体やら黒い殻やら飛び散った。それからは、本当にわけがわからない。最初は誰が、攻撃したのかわからないが、飛び出す魔獣や砂の中の魔獣に見境なく撃ちまくる鶏たちがいる。あんたたち戦闘狂か?
最初は、呆気になってみていたが、良く見ていると、鎌鼬みたいな斬撃もあって魔獣の皮膚?殻?鱗?を切り裂いている。
あれは・・・石化?
何?あんたたちコカトリスに進化?したの?
どうなっちゃてるの?
「やったあ~石化攻撃だぁ~」
と横ではしゃいでいるベルがいる。
なにそれ。
「妖怪雨ポンでやってたでしょ?」
はぁ?あれは、アニメだよ。ホントの事じゃないんだよ。いや、今の今、ホントのことになったみたいだけど。
とりあえず、みんなを止めさせ家に戻った。
朝からハードな一日が始まった。




